表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緋い葉のリンゴの木ー闇王子ー  作者: 闇王子ヴィリアン
8/13

第八話 休眠期

 俺が休眠期きゅうみんきに入っていた時のこと。


 ジョウをかついで、彼女はジョウの治癒ちゆの居場所を探していた。


 別の件もあって、ヴァンパイア狩りが流行り始めた世の中。


 ヴァンパイアがひそかに住まう街を目指している途中、協会側に拘束保護。


 ユリエルは協会が嫌いらしく、その場から逃亡。


 協会側は聖女の血を継いでいるクレアを、次の聖女にしたかったらしい。


 なんせ、ひとりで街の治安を任せていた隠蔽かなにかをしたかったのだろう。


 ジョウの延命処置をして、名実人質めいじつひとじち


 彼女は協会側にほどこされ、街を火の海と化した何者かに加担した女のきょうだい。


 つまり体裁上ていさいじょう、双子の姉として協会員関係者に紹介された。



 そしてひとりの女性おんなが言った。



「じゃあなんで、あのヴィリアンとかって言う男の子供をはらんでいるの?」



 協会側は特殊能力者の集まり。


 そして共存を目的と、している、はず、である。


 しかし、弾かなければならない者も、当然いる、と言う都合。


 聖女として公にされた彼女は懐妊していて、それが知れた。


 芽吹いてから四ヶ月目。


 堕胎はむずかしい。


 そして父親は、堕天使。


 協会側には、堕天使の血筋もいるが・・・


 宿したのは、堕天使王の息子のヴィリアンの子供・・・


 協会側としては、生まれつきあまりにも価値観が危ない思考回路なら・・・


 いっそう、それを産んだ女ごと一掃いっそうを。



 ・・・その時期の協会は内部が荒れていた。


 本来の協会ではなかった、と、のちに謝罪があったと聞く。


 つまりは体裁がつくろえないなら、ヴァンパイアに居場所はないと言われたらしい。


 あまりにも清いジョウの血に慣れたクレアは、血に困っていた。


 清蓮潔白症の拒絶反応により貧血が続いた。


 『彩路:さいろ』と呼ばれる街には、吸血抑制の錠剤くすりがある。


 少なからずヴァンパイアのために血液提供をしてくれる人間たちがいる。


 世の中の一端はそれに気づいて、ヴァンパイア狩りを本格的に公然にする手前だった。



 ハーフであったので叶ったことだが、抑制ブレスレットをした男がひとり。


 金髪に、健康的な美形。


 白いドレスに伏し目がちなクレアの前に、その少年はかしずいて、にっと笑った。


 少しして、衰弱すいじゃくしていた彼女のうれい顔がはっと息をのむ。


「ユリエルっ」


 ハグをしあって、そしてすぐに冷静に戻る。


 クレアの政略結婚、当日、協会の控え室で起った、奇跡。



「クレアっ・・・」



 一陣の風が吹いた気がした。


 彼女はその時、自分でも「驚いた」と言う顔をした気がすると言った。


 目の前には、親友のユリエルと意識不明のはずのジョウ。


 ユリエルの血を飲んでヴァンパイアになったジョウは、後悔しないと言った。


 そして結婚式当日、三人で、協会から、逃亡。


 ヴァンパイアを公認している街『彩路』へ向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ