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緋い葉のリンゴの木ー闇王子ー  作者: 闇王子ヴィリアン
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十参話 カタコトの愛


 健全の天使の羽根は灰色だとあの本は言った。



「そう言えば・・・緋い葉のリンゴの木は、どうなるだろう?」


「ん?」


「緋い葉のリンゴの木が出てくる本を一緒に読もうって言った」


「あ。それなら、買い直して持ってますよ」


「ん?」


「読みさしのまま、最後は知らないんです」


「あの時のまま?」


「はい」


「・・・なるほど」


「ん?」


「面白い話なら、サラにも聞かせてあげよう?」


「それはいいですねっ」


「そうですね」




 こうして俺たちは後日、ハンター側と契約をむすんだ。


 『グリーンキャット』・・・いる筈のない者たち。


 会社名からして普通じゃない。


「ありえない」と一般人にすぐに言われる。


 それか、「緑の猫って本当にいるんですかね?」って言われる。


 クレアは、「仕事が出来そうなひとたちが集まっていそう」と言った。


 クレアって普通じゃない、ってやっぱり思う。


 やっぱり、って、最初にいつ思ったのか分からない。



 まぁ、最近は色々と充実している。


 毒抜きの治療を受けながら。


 堕天使界の階層で何が起きているのかには、興味がない。


 なので隠れているにはちょうどいい制御装置をもらった。


 デザインが気に入ったから身につけている。



 『緋い葉のリンゴ木』について、クレアと一緒に読んだ。


 ファンタジーな短編集。


 幻想的ではあった。


 内容?秘密。


 協会と密かに連携しているハンターの総元『グリーンキャット』の社長の奥方。


 そのひとが実は執筆したらしき情報を得た。


 なので秘密、だ。




 それから、クレア・・・


 彼女を殺そうかと思った。




 あの大火事の日、


 ジョウをかついでユリエルが現われるまで、


 ここで一緒に死のうかと、


 脳裏に闇が差していた。



 俺の子供を宿したことが知れたら・・・



 そして今、ハンター派閥の協会員の俺。


 この話を、ファンタジーな文献として出さないか、と話が来た。




 冒頭に予告はあったけど、


 ・・・言っただろう?

 

 これは「追憶ついおく」、過去形だ。


 今は一緒に、生きる希望ってやつでえ始めてる。



 その本いわく、緋い葉のリンゴの木の実は、美味しいと書いてあった。


 現実世界のリンゴと、どちらが美味しいだろう?


 時代は変わった。


 俺はヴィランじゃなくて、ヴィリアン、でいいらしい。





 ――――――――――




 サラが無事に生まれたことを祝して。


 監修かんしゅう クレアとユリエルとジョウ。



 それと・・・案外と早く回復して、誤解が解けたリーオも監修のひとり。


 昔のように、俺になつきはじめた。


 跡継ぎ問題がこの先あるだろうが、とりあえず、今は案外と安息の居場所がある。



 神って言うものを失った天使。


 それが両親。


 そして俺は空を見上げて、神って本当にいるのかな、って思えた。



 神を信じてみたいような、不思議な気持ちがした。


 良い風が吹いていて、良い天気で、心地よくて。


 時間が待っていてくれた気がして。


 それ以外に何が必要かって、言の葉で。


 これだけの時間が必要だったんだよ、って誰かが言ってくれた気がした。



 神の夢に生える、緋い葉のリンゴの木。


 それは別に関係なく・・・


 神を、信じてみたくなる日だ、って思った。

 




 ここでこの記述を終える。


 コメジルシで強調しようかと思う。



 ※この記述はファンタジー





【 記述 コードネーム『闇王子』ヴィリアン 】

 


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