妄想の帝国 その76 学級会コクカイ
トンデモ政策連発の政府のせいで破滅し、国際機関の介入を招いたニホン国では、国民への再教育が行われていた…
さて、みなさん、本日は旧ニホン国後期のコクカイについて、学びます。
そこの老年の旧ニホン国民の方、眠らないでください、眠ったら、旧ニホン国再社会科の再履修になりますよ、再履修が重なれば、新ニッポンの成人権を失います、そうなれば…わかってますね。
はい、そう、きちんと目を開けて、ノートをとりましょう。ここは文章試験だけでなく、模擬国会での答弁にも影響します。コクカイのようなやり取りがあった場合、その際は落第、そうなれば…わかってますね。
さあ、映像再生…
このジコウ党の若手議員、一見良い質問をしているようですね。当時社会問題となっていたトン一教会とジコウ党との癒着を指摘している、しかし、よく聞いてみてください、気が付いたことはありませんか?
はい、そこの旧ニホン国女性の方…、はいそうですね。確かに表面上はトン一協会とのつながりを明らかにするよう、時の総理キジダダ氏に質問していますが、その答え、調査しますに具体的な答えを要求していませんね。そう、上辺だけなのです。いつまでに、どのような、調査をするのか、国民の被害がどれぐらい大きいか、どのように判断するか、そういった具体的なことを何一つキジダダ総理は答えていません。そして、それに対して追及もしない。
まるで、台本があるかのような穏やかなやりとりです。
このようなやり取りは旧ニホンの学級会的やり取りと名付けられています。学級会というのは旧ニホン国のいわゆる義務教育という学校現場で、クラス単位での話し合いの場のこととされています。学級会では、一見、問題解決のために意見を出し合っている、ということになっていました。実際、一部では活発な議論がみられたこともありました、先進的な本当にごく一部の学校ですが。しかし、大半は教師と生徒の暗黙のシナリオに基づいた一種の劇、茶番であるとされています。
たとえば、クラス内におけるイジメ、これを解決しようとの話し合い、“イジメは悪いことだ”“何とかしよう”という意見がだされますが、加害者の行為をどう防ぐか、その言動がいかに間違っているか気づかせ、反省させるにはといったより深い議論になることはほとんどなかったようです。さらに服を脱がせる、相手のものを隠す破壊するなどといった犯罪行為が行われた場合、警察という犯罪取り締まり組織に訴えるどころか、そのこと事態を議題にすることを避けたといわれています。
このように本当に重要な、解決すべき問題を議題にすることを意識的に避けるのが旧ニホンの多くの学級会だったようです。逆に教師の不正や生徒に対する人権侵害、先ほど述べたような犯罪といえるイジメの問題を議題にしようとする、追及する生徒は教師からだけでなく同級生たちからも攻撃を受けたようです。予定調和を乱すものとして。これらのことから、旧ニホンの学級会は本来の級、すなわちクラスの問題を真に解決するものではなく、あたかも問題がなかった、またはきちんと解決していると教師、生徒双方が思い込むように機能していた、と言えるでしょう。
そして、そのような学級会の場で特に教師が気に入るような発言、よい意見ではあるが、いわゆる波風をたたない発言をする生徒が優良な生徒、いわゆる優等生とされました。彼らは成績も悪くなく、周りの大人たちからも非難されないよう、すなわち無駄に反抗しない従順さを身に着けた生徒としてみなされました。そういった生徒は進学する際の内申書という学業以外の点数付けでも高得点を獲得したのです。そして、やがて彼らは政財界、優秀な官僚になり、そして旧ニホン国のコクカイの場で発言する…
もう、おわかりでしょう、彼らが議員が官僚や秘書たちがシナリオを書いたスムーズなだけで中身の薄いやり取り、議論というのもはばかられる話し合いをするようなコクカイをつくりあげたのです。与党ジコウ党などの議員はこれ以外は口汚いヤジしかできない、最長任期を誇ったという元総理でさえ、そのような有様。
逆に野党が活発な議論を仕掛けようとしても、ヤジを飛ばすか、はぐらかすかできない。台本のある、決まりきったやり取りしかできない、そう真に議論することを避ける旧ニホンの学級会の延長でしかないのが旧ニホンのコクカイと呼ばれるものでした。
コクカイは旧ニホンの感じでは国会、国の会議と書かれますが、内容は議論ができない、いや議論にすらならない与党議員たちが国のためにやっているから高い報酬をもらってもよいのだと自己満足にひたるためのお遊戯会のような酷い会議の酷会といえましょう。
こういったコクカイに対し、旧ニホン国の大半の人々が反対を唱えなかったというのは我々カッコクレン、世界の大半の国家、先進国といわれる国が理事を務める国際機関にとって実に不思議なことでした。害にしかならない政策を出し続け、旧ニホン国民の大半が食糧に事欠くようになっても、ついに世界が、すなわちカッコクレンが介入しなければならなくなるまで旧ニホン国政府が国民によって倒されなかったこともです。
しかし、旧ニホン国の現状、世界に知られていなかった様様な事柄が明らかになるにつれ、特に従順なだけの人間を作り上げる教育システムの弊害が暴かれることにより、旧ニホン国の衰退の原因が徐々に明らかになったのです。
そう、真の問題解決を避けることを良しとする教育システム、そして弱者を犠牲にしようとも波風立てないことを優先するいわゆる旧ニホン“世間様”が、建設的な野党やリベラル勢力を潰し、国から追い出し、学級会的コクカイを続けさせ、このような衰退を招いたのです。
我々カッコクレンは旧ニホン国民の救済のため、新生国家新ニッポンを作り、旧ニホン国の悪しき慣習をなくし、旧ニホン国民の再教育のため、新たな教育システムを作り上げたのです。
このような学級会的コクカイを二度と行わないようにするため、いかに今までのやり方が間違っていたか、どうすれば問題解決のための議論が行えるようにするか、きっちりと学んでいただきたいと思います。
ここまでで、何か意見は?反論はありませんか?
…ないですか。では、何か質問は、ここがよくわからない、少し違うのではといったことでもいいですよ。…たとえば、うちの学校では違いましたとか、町内会でしたっけ、身近な会議ではこうだったとかいう話でも…。
ないのですか…。何か言いたいことは?…では、この時間はここまで…。
次は模擬国会ですが、何か聞きたいことは?皆さん意見を言って、議論しないと落第ですよ…。え、意見はどこで調べればって?その、議題を決めてから、自分で考えて調べてください、意見そのものが知りたいって、だから、台本があるわけじゃないですから…
旧ニホン国民として生きてきて、今から新ニッポン市民となるのに、何か考えたり、どうすればいいかとか調べたり聞いたり、する気はあり…ますよね。…わからないんですか…
…とりあえず、学級会的コクカイ については終わります。
旧ニホン国民を前にした講師は
(はあ、またロクな反応なし。聞いてるんだか、英語だからわからないんだか、翻訳ソフトは機能してるはずなんだけどねえ。もう講義そのものが学級会的コクカイに近くなっているような、いえ、講義のやり方を工夫してなんとか批判的思考を身に着けてもらわなければならないわ、真にニッポン市民に再教育しないと…でも、結局、新ニッポン市民のフリをして、活発な議論の暗黙のシナリオを作るだけかもねえ、あの人ら)
と頭の中でつぶやきながら教室を後にした。
どこぞの国では、スポーツだの、キャンペーンだのを展開し、に増税やら、議員への縛りを緩くし、あげく様々な疑惑から国民の目をそらそうとしているようですが、それにあっさり騙される国民のほうも大丈夫なんですかねえ。まあ、人権意識が希薄らしいんで、ギリギリまでそのままなのかもしれないですが。