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ガラスのトンネル工事

ガラスのトンネル工事

イタチコーポレーション


長い道路は、黒いコンクリートで、仕切られ

アスファルトが、タルトのように

そのゴミのような長い駄列を、続けていく

歩くこともない

その灰色の巨人は、

壊れることを、望みながら

朽ち果てることの分かる

時限爆弾を、解かされた粉砕した体を

無機質な悪質な接着剤と、外部から入れられた

ゴミにより構成され

無意味な時間を、牢獄の中、使われ続けていく

日光 月の満ち欠けを

数える間も

体中を、激痛が走り

その痛みさえも、不要な整備により

異質な物を、流し込まれ

拷問の継続は、チクリちくりと継続される

私の眼球は、とうに溶け

ただ、死体の眠る台ととなり

その屍の呪いの上で

ただただ、人を呪うのである


「それで、依頼は何でしょうか」

背後の戸棚には、新聞紙を敷き詰めたように

横に紙が重ねられており

それは時に本だったり

その他の雑誌、不明な紙と意味を得なさそうであるが

それでも、その棚の下には、

番号が振られたシールがあり

それが何らかの意味を有することを、示しているようであった

「実は」

私の背丈は、さして高くなく低くもなく

多少低いが、それは並んで歩く人間が多ければ

子供と見間違われることの無いような

その程度の背格好である

いつも、鼠色のようなよれよれの灰色のスーツを着て

車で、地回りのように

ぐるぐると同じような場所を、目が回るように走らせて

状況の確認に勤しむような

管理職の一つだろう

もう少し、クーラーの利いた机の上で、仕事をしたいような気もするが

これだけ長いと、それも逆に、面倒に思えてくる気がする

このような外回りが長いのも

私が、とばされた左遷組というわけもなく

元から大して成績も高くなく

そして、自分自身

これにさして、それ以上のことをやりたいという事も

余りなかった

車で、山を越えたり

工事現場、事務所を、走れば、

比較的、森林を通ることも多く

そう言う意味では、目の保養が多い

少なくとも、車や住宅地の多いところだけよりは

変化を見られる

私は、今年で、もう2、30十年は同じような仕事をしているが

細菌どうも、よく分からない噂を耳にする

と言うのも

夕方等辺、工事も終わり

後は交通整備の方に、仕事が、大きく一つに移る時間帯、人通りもなく

民家も無いというのに

そんな暗くなった時間に

一人の人影を見るという

背丈は、160以上

もしかしたら、高いかも知れないが

余り印象に、残っていない風である

髪、長く、白い服を着ており

いわゆる、一体型の服装は、ワンピースという風であったという

その他に装飾品はなく

足は、素足に、靴を履いていて

反対側の、停車の待機場の前

カウントダウンを示す所に

立っている気がするが

どうも、要領を得ない

見たような気がするが

こちらにあるいてくる風もなく

ただ、そこにいたという

問題点は、それが、見間違いだと思い

気にしていない所で、忘れていること

そしてその後も、暗闇で、向こうに、木肌

もしくは、勘違いだと、思うせいもあるだろう

時間帯も、辺りが暗くなる森に囲まれたような場所も多い

この話も、忘年会で、今年の失敗を語ったとき

どうしてもでない奴が

そう言えば、と、失敗とは、違う形で、話し始めたが

終わる頃、それに対しての反応が、違うではなく

自分も見たという人間が、数多く居り

それは、怪談話の類ではなく

余りにも多かった

確かに、夜中の森とは、一種独特な世界観が広がっており

その空気の水の含み方は

まるで、水に沈んでいるようにさえ思われる

それも、視界の悪い

光るものなど、動物の目くらいである

そう言う、人間が居るように見える

幻覚を見ても、それは、あまりおかしいとは言えない範囲内であろう

しかし、それにしても、これだけに事を言うのは、おかしい

その後話は、流れたようであるが

その後の仕事で、そう言う話が、たびたびであるようになり

意識することで、それが非常に強い認識として

存在していたが

相も変わらず

それは、反対側の待合所の場所に、幻覚のように

白い服を着て立っており

それ以上の情報が、出てくることは、無かった

それでも、自分の目のみ間違いではないと

確実に、認識した瞬間

それは、ぼやかすことも出来ず

何か居るのではと現実に認識してしまう

それが、一つの異常 クレーム 問題点改善として

私の元へと紙として回ってきたとき

すこし仕事ながらに、調べてみることにした


その工事現場の付近に民家はないが

しかし、時として、散歩道であったり、登山道が、存在していたりすること

もしかすると山菜を取りに来た住人が居たのかも知れないが

果たして、荷物も持たず、しかも、春先ではない時期にも目撃した人が居るほどである

第一ワンピースという服装で、しかも素足に靴などと言うことは、考えられるのであろうか

少なくとも山にはいる服装ではない

見た人間にしてみれば、暗闇の中

白い物を見れば、異様なものと感じるのは当たり前だし

黒の反対色の白とは、昼間ならまだしも

夜では、異質に写る

それこそ、暗闇の中で、幻覚を、見てもおかしくない

なぜなら、目をつむっても

人は、何か、ぼんやりとした明かりを、見ることも出来る

なまじ、カウントダウンを、繰り返す明かりが、漏れだし

それに大して、闇や霧が、反射し

白い何かに見えても

何ら不思議ではない

しかし、それにしても、人数が多い

一人一人聞いてみると

わざとなのかは、知らないが

生真面目なおっさんたちが

皆、口々に、そんな物を見たような気がすると

口にするのだ

その数は、ちょうど二十人を越えていた

割合にして三分の一という感じだろうか

問題点は、その場所が、点在して居らず

一カ所

いや、一つの山の車道の幅を工事修復している現場であり

五カ所程、冬になる前に

急ピッチで工事が進められていた

その関係で、カウントダウンを、知らせる

機械が間に合わず

仕方なく、二カ所

夜中の整備を、してもらっているのであるが

問題は、それ以外にも、

帰りがけの工事員が、向こうの停車場で、人影を見たという

つまり、これは、交通整理だけではなく

不特定多数が目撃したことになる

ここまでくると

一種のイタズラを疑いたいが

予備として、監視カメラの一つ古い型を、事務所から持ってきて、その暗視カメラを、設置することで、一応の態度として、示した

しかし、それが、大きな問題点として

浮上することになる

確かに、何かが、動いているように、見えるのだ

いや、動いていると言うよりも

白い何か

それは、時刻が、午後六時半ほどを示している



私はいつものように、白い軽を、走らせて

午前八時頃事務所をでると

車を走らせ始めた

国道を出て

そのまま、山に向かう方向へと、走らせていくと

次第に、車の数は、まばらになり

時折、軽トラや工事のトラックなどの大型の運搬車が

隣の県へと向かっていくようである

私はそのまま、近くの公園で、十五分ほど

作っておいた朝食を食べ

今回の件とは別の

近くの工事現場の事務所により

書類を、作成し

そのまま、工事現場を出て、道沿いのカレー屋に入り

トンカツカレーと食べた後

店を出た時刻は、一時を回っていたのだろうか

車道を、徐々に、傾斜に向けていくと

一本道は、グニャグニャと

歯磨き粉を、折り畳むような道が、徐々にその感覚を狭めながら

上へと向かう

時折それは、下るが

やはり総合的に考えて

それは、登っていくので、登りが多い

一番始めの工事現場は、今日は休みでおり

私はそこに、残っている

隠すように設置された

暗視カメラを、回収し車に入る

電池式であり、物が動いたときのみ、映像が残るようになっている

私は、昼間の映像は、飛ばし

良く確認されている

日暮れの暗くなってきた頃の

時間帯に、重点を置き

その映像を、パソコンにつなぎ確認する

ケーブルを、さし

大きな画面で時間を、早送りにするが

この場所は、カウントダウン式の機械が、導入されており

人影は、工事がなくなると無く

ただ、時折通る車が、その映像を、細切れに映し出している

それは、午前零時程だろうか

向こう

つまり、車が、明かりを出しながら

走った映像が、前の画面から映り変わったとき

何か一瞬

白いもやのような物が

ライトの横に、写った気がした

しかし、それは、巻き戻して見ても

どう見ても、白いもやであり

とても、それを、女性と呼べるようなものではなく

違うように感じられた

私は仕方なく、動画を、すべてみてみたが

どうも、それらしい物が、見えない

時刻はしらみ始め

青い色へと変化し

暗視カメラの映像が、白黒から変わり始めたとき

一匹の狸のような生き物が、道を、横切る

自分は何をやっているのだろう

ケーブルを、取り外そうとしたときになり

ようやく工事員の姿が、ぽつぽつと見え始める

完全に、周りは明るく

時刻は、八時を、過ぎていた

そのときは、まるで、仕掛けた網に何も掛かっていないような気分であったが

私は、画面の隅に、白い姿を見つけた

それは、虫か汚れかと思ったが

しかし、ようやく気づいてみれば

それは、すべての映像に

始めからあり

それが、ある時ゆっくりと動き消えた

「あれ」

私は、急いで巻き戻しをし

その映像に、白い汚れのような影が、四隅の端に現れるのを確認すると

ちょうど、私が、このカメラを仕掛けた

直後であった

それは、私と入れ替わるように

直ぐに、その何かが、そこに、映り込んでおり

私は、何か、設定というか

設置ミスをしたのかとも

考えたが

どうも、その質感は

布のようであり

ある時、それは、ゆっくりと、消える

その感 それは、そこに映り続けている

ごみだろうか

私は、そう思いたいのであるが

それが動いた瞬間

何か、足音のような物が

パソコンのスピーカーから流れた

私は、良く分からず

その部分を、パソコンに取り込み

電池を交換して、元の位置に仕掛け

もう一度コード入れて確認したが

白い物が、うつりこんでは居ない

車に乗り込むと

停留所のような場所から、エンジンを、ふかし

車を、前方に、発進させる

次の工事現場まで、すぐで、十分程度である

私は、車のクーラーを切りながら

窓を開ける

比較的涼しい風が

前の窓から流れ込んでいる

最近は秋だというのに入道雲が見られるように暑い

しかし、木々に遮られた

車道の下は、じっとりと涼しく

一種 恐怖のようにも感じられた

工事現場では、黄色い作業服の反射板が、よく見え

その中で、シルバーが木漏れ日の下かがやいている

「やあ、お疲れさまです」

私は、作業監督に、そう言うと

軽くお茶を、出す

相変わらず、作業は、順調であり

何かおかしな事がある風でもない

何か問題点を聞いても

特になく

私は、ここにも仕掛けてある

監視カメラを持ち

車内に戻る

パソコンの中で、ビデオを再生すると

先ほどとは、アングルは違うが

暗い映像の中に、白い姿影が、映り

それが、夜なのだとわかり

首を傾げる

あれ、おかしい、これを仕掛けたのは・・

いや、時間帯的には、合っているのか

いやしかし、先ほどの映像は、昼間から始まっていた

バグったのか

古い機械は、電気が通っていない分

一応、写るか確認した後に持ってきたが

これは交換した方が良いかも知れない

そうは思ったが、あのときは、私が写っていたから

映像が、そのとき記録されていたのかも知れない

事に気がつき

そうかそうかと、早送りを、する

相変わらず、何も写らない

写っても、道を、横切る動物の影や

木の葉のまう瞬間を

一瞬だけ写したのみであり

それを良く確認しても

やはり、木の葉以外写らない

よくよく考えてみれば、心霊特番で、霊が写ること

事態、いや、この現象が、霊かも分からないし

第一 写る存在とも限らない

其れが、霊にしろ何にしろ

そう考えると

やはり、今自分がやっていることは

あくまでも、何かを納得させるだけの

自己満足の分類にあるような気がしてならない

その後、同じようなことがおこり

さして、特質すべき物はない

挨拶をすませ

車を、監視カメラを、セットした後

動かした

今回の工事は、別の現場も空いて

其れが合流する形で、進められている

何カ所かに分けて、

時には、左右から、その場所を狭めるように、やるところもある

人員も他所なりとも入れ替わりながら

交通整備を含め進められており

今日だと五十人程度

この現場にはいることになる

実際には、入れ替わりを含めているから

もう少し少なくなることではあるが

この土地の図書館に、行ってみたりしたが

この山に、特に、有名な、伝説の類はなく

其れと同時に、神社の類も存在していない

ただ、山には、名前が付けられており

その名前も、土地柄というか

其れが、高いから高山 低いから小山

と言う程度であり

たぶん近くを流れている何本の渓流からか

渓流山と地図上にある

一応 司書さんに、聞いてみたが

何か、民話は無いようであった

つまり、何かがあるとすれば、其れは、昔のことではなく

現代

何か、崩落か交通事故か

そう言う 人為的な物か

それとも、肝試し的なことも別の意味であるのかも知れない

しかし、パソコンで調べてみたが

所詮 乗っていないことは、パソコンには表示されることもなく

私は、地元の人間に、聞いてみようかとも、少し

考えている

次の現場は、トンネルのすぐ近くであったが

ここも人はおらず

カメラを確認してみたが

先ほどと大差ない内容となった

この山のある意味不可思議なところと言ったら

其れは、この道にある

道があるという事は、交通の便が考えられるが

しかし

この道は、山を挟み

隣の県の山道へと続いていく

しかし、この国道が、出来る前には

この山は、道が無く

後になり、制作されたことが

資料から読みとれる

つまり、昔の人間は、この道を、使っていなかったことになる

つまり、この近くに民家がないのは

其れは、峠として、機能していたわけではなく

それ故に、家がある必要性が無いのである

交通の便があるところには、必ずと言っていいほど

人が居る

其れは、旅籠町であったり

其れこそ、炭坑なんて言うのは、需要があってこそ

はじめて成り立つのだ

その重要な意味がなくなれば、その存在は、消失し

道も家も

当然人も消える

それに置いて、この場所は、比較的

人間的歴史の浅い場所であるようではある

つまり、霊的なものの存在が

今一つ疑わしくも考えられる

私は、最後まで、画面を見ていたが

特に何も写っていなかったが

一応、データーを、残し

また、カメラを再度設置し

車に戻る

暗い森の中

白い影が見えたと思ったが

曲がり角のカーブに設置された

橙色の確認用の鏡であった

「違うか」

私は、そう思い

エンジンをかけ

ゆっくりとカウントダウンの橙色の機器の前に

その車を、止めて

一分を、切った文字盤を、眺める

反対側に何か車の影はなく

しばらくして、青信号になり

私は、車を走らせる

時刻は、二時を、周り

三時に、近づこうとしている

この後、後一件現場があるが

其れが終われば、今日の業務は、終了である

バックミラーを、何となくちらりと見ながら

ライトをつけて

そのビームのまま

短いトンネルの緩やかな角度を緩やかに曲がる


どこからかしみだすのか

排水が悪いのか

一応舗装されているトンネル内の道路は

黒く濡れ反射している

まるで、氷のようなそんな色合いも

冬になれば、閉鎖され

こんな場所を通れば、かなりの確率で、スリップして

トンネル内に、車体の壁を、ぶつけることになりそうである

ただ、雪が積もる時期に、そんな場所に、車が、通れることはまず無い

除雪機で、ここまで来ても

小型でなければ、このトンネルを抜けることはおろか入ることも出来なさそうであるし

第一 この道を通る理由も無いだろう

小さな雪上車が、この小さなトンネルを、一人

走るのも、少しおもしろい絵図等のような気がする

トンネルを抜けると

そのまま、曲がり角を曲がり

さらに上に、登る

山道は、とにかく、斜面に、へばりついたような

場所が多く

こんな場所で、チキンレースでもしよう物なら

海とは、比べものにならないであろう

そのまま、車を進めさせ

下から第四番目の工事現場に着くと

私は、見晴らしが良い左側の車道を歩き

そのまま、先ほどから繰り返している

カメラを回収して

ぽてぽてと車に、戻りドアを閉めた

パソコンには、

なぜか、一番始めと同じように

白い物が、今度も写っている

何だろうか

同じように見えるが

少し位置が違う

其れは、先ほどの四隅の一角

右斜め下ではなく

左の横に

まるで、見切れるように写っている

同じような質感から

このカメラ特有の

品番による欠陥か

それとも、設置方法に、ミスがあるのだろうか

新しい物の設置は何回もやったことはあるが

別の場所から、もらったその機器に関しては、今回初めてであり

部長からは、余っているあれなら良いと

貸し出してもらったのだ

文句は言えないが

しかし、これは、機械による不具合なのか

それとも、何かいじょうが起こっているのか

理解できない

そう思ったとき

其れは動いた

其れは、ゆっくりと

いや、あっさりと横に横切る

黒い髪が、揺れ

明らかに、人間が、画面の横を、横切る

何なんだ

私は、とまり

もう一度確認しようとしたとき

振動があり

窓にノック音がした

飛び上がるように

横を見ると

そこには、

黄色い作業服を羽織った

男が、こちらを見ている

黄色いヘルメットの下の金髪の髪を、見て

見覚えがある事に気がついた

最近入ったアルバイトの子である

私は、何か、心配そうな、その顔を見て、パソコンを助手席に

いったん置いて、窓をボタンを、引いて開けた

「どうした」

私は、声をかけると

其れは、せっぱ詰まったように

「ぴりりりりり」

しゃべろうとしたとき

携帯が鳴る

悪いと手で、示しながら

携帯を取る

受話器を置して

耳に当てると

従業員の良くしる声が聞こえた

何でも、ここの第五工事現場で事故があったという

私は、前を見ると

アルバイトが、走っていく車が、真ん中で止められており

反対車線から車が来たようであった


若いアルバイトの乗った車には

運転できないベテラン黒田がおり

後ろを気にしている

荷台には、作業用品が端に寄せられており

毛布が引かれ

その上に、人が、寝ていた

「どうしたんだ」

車が、カーブを曲がり

車内を、のぞき込み言うと

若者が、今から、病院に運ぶという

詳細は、現場監督が、言うから

今は、運んでいくと言う

「安全運転」をと言うと

車は、先に、進み出した

他に、従業員は、居なかったのだろうか

その運転は、ゆっくりであり

安全運転ではあったが、いささか、遅い

私は、車に乗り込むと

運転を代わろうかとも考えたが

しかし、現場に来いと言う

電話の言葉を考え

先に進める

あの場所は、確か道幅を広める区間である

あるとは思えないが

土砂崩れで

斜面が、崩落でもしたのか

車に乗せられた人間に、みおぼえはなく

作業員ではないだろう

焦る気持ちを落ち着かせて

そのまま車を、走らせて、最後の作業場を、みて

唖然とする

固めていた斜面の一部に、歪みが生じ

其れが、車が、斜面に、道ではなく

落ちたときにできたものだと予想できた

現場では、一人監督が、こちらを見て走ってくる

「大丈夫ですか」

私の問いに対して

息を、あらげたように

動揺したそぶりで

「いきなり 落ちたんですよ

スピードの出しすぎだと思うのですが

交通整理の表示無視してつっこんできて

そのままこの直進を、右に上から」

下を、のぞき込むと

砂利の途中に車が、落ちており

その扉は開いている

「それで、作業員や、運転手は、無事だったんですか」

鈴木は首を振り

この斜面じゃ

途中で、投げ出されたあの人を、拾い上げるのがやっとで、今、消防署に、連絡が行っているらしい

見てはないから、分からないが

一人だったらしいが」

見えていないのであれば、分からない

下に運ばれている

あの男には、意識が無く

木に当たったのか

骨が何本か折れていそうであった

「他の従業員は」

私の問いに

「いや、今日はこれから大雨があるとかで

危ないから補修作業で、

其れを教えるために

数人でしか」

そう言えば、休みの届けが、伝えられていたように思ったが、これのことだったのか

しかし、面倒なことになった

これから、警察が来ることだろう

そこで私は、そう言えば、カメラが、あったな

そう思い

ばっちり、この区間を、取っているであろう

カメラの場所を、思い出しながら向かう

監督は、まだ、車が来るであろう区間が安全か調べるという

私も手伝おうかと言うが

そこまでの物ではないから良いと言われてしまった

実際、斜面に面した

固める前の砂利が、三十センチほど

途中でハンドルを誤ったかのように山側ではなく

崖に振り切られている

しかし、この場所から、五十メートルは軽く落ちている

斜面を下ろうにも

逆に二次災害に、なりかねない

程に、急である

私は、あきらめ

誰もいないことを願いながら

カメラを、取ると

そのまま車内へと向かう

つながれたパソコンには、読み出しが終わり

再生画面が表示される

車の窓に、わずかに水滴が落ちる

監督は、向こうの作業者に戻っているようである

徐々に辺りが暗く

太陽が、山向こうに傾き始めていた

早くレスキュー隊が、来ると良いが

もう、現場の状態は、向こうへと伝わり

その準備が行われ

一時間居ないに来るという

まだ、患者の容態は、分からない

三角のボタンを押すと

同じような暗闇が写る

殆ど始めをのぞいて暗闇からだ

そうなると逆に、あれが、おかしなことであったと思う

パソコンが聞こえないほど

屋根に当たる雨音が激しく成りだした

向こうの車も見えにくい

動画は、再生を続け

早送りを開始しようとしたとき

向こうに、クルマのかげが見える

作業が、始まる時間らしい

倍速にし

どんどんと映像が流れ

昼が過ぎ

時間が過ぎ去る

そして、三時過ぎ四時前の時間帯

なにか、前方に、早いクルマが

作業員が、振り向きざまそちらを、見ている状態で、

猛スピードで、走り去る

その途中

なにかに

其れは、障害物があり

車が曲がった言うよりも

明らかに、自分の手により

ハンドルが曲げて横に避けたように見えた

しかし、見通しの良い直線であり

作業員たちは、唖然としたように、そちらを見て

其れを、見るや、急いで、斜面に、救助しに行っているようである

すぐに、後ろから抱えられるように

引きずられた

あのバンで見た服装の男が、道に引きずられ

それを、現場監督が、指示し

すぐに、車を、付けて

そこに、乗せて

二人で、下り始める映像が

写っている

ただ、其れを見送った監督の目線は、何が起きたのかと

あのカーブの軌道上を見ているが

不思議なことに、私は、その目線がじっと一点

いつの間にか

白い服装の人間に、向けられていることに、気がつく

其れは、いつの間にか居たのか

私は、少し巻き戻すが

其れは、ゆらりと、現れたように

そこにいるようである

監督は、それから目線をはずさないように

胸元から携帯を取り出し

電話をかけている

「ドンドン」

窓がたたかれた

私が見ると

赤い服を着た

レスキューらしき男たちが

窓の外

雨に濡れながら立っている

私は、すぐに、外にでると、監督も向こう側から走ってきた

ロープが垂らされ

車から延びたそれに

男が、確認しながら

下に降りていく

其れは、あっとういう間であり

下まで見えなくなると

すぐに、電話がかかってくる

「誰もいない」と

電話から声が、漏れ出た

その後三十分ほど、捜索したようであったが

雨は降り続け

そして、見つからないようである

現に、時刻は、六時近く

秋もさなか

ライトの光だけが揺れるような状態に、なっている

捜索は、その後三十分ほど続けられたが

だれもいなかった

私たちは、いったん返され

明日から、警察で事情聴取と現場検証が、行われると

会社から言われ

帰宅することになる

帰る前に監督に、聞いてみた

「あの、何か、事故直後曲がった後を、見ていたようですが、何かあったんですか」

監督は、暗い中

私を、見ているようであるが

いや、と首を振り

車にもどり

それぞれ帰宅した

家で、映像を、確認するが

不可思議なことに

女だと思った映像は、土煙のような白い物にみえ

まるで、車が巻き上げたそれに、感じられた

おかいしい

残りの映像も

そう、あと一つあの前の映像なら

私が、画面を、選び再生しようとしたが壊れている

ファイルの読み込みが失敗したのだ

つまり、現場に残された映像が頼りになる

私は、次の日

深夜まで、映像を繰り返し見た脳を揺らしながら

現場に向かう

工事現場ではすべて見合わせが行われ

ただ、一番上の現場に、私と監督

あと二人の作業員が集められた

事故を起こした人は、意識が、まだ無いと言う

昨日に映像には

車には、一人の男の姿だけが映されており

其れ以外に、同乗者の確認は、私には取れない

途中の別の監視カメラを、回収したが

すべて、雨にやられたのか

要領がすべて別の映像に移し替えられており

夜の森の雨の映像が続けられている

映像もあり

警察は、最低限

見本のような、確認を、行い

其れは、私がよくしる其れであり

作業は、二日後から再開できそうである

その他の現場は、次の日から稼働していいことになり

私は、昼過ぎには、別の現場に向かった

カメラのデーターが、帰ってきた後

私は、記録媒体の中で消してしまったデーターを、復元させる業者に、頼み

一部写っていた物を 本当にあるか

頼んでみた

後日 会社に送られてきた物を見てみたが

そのどれもが霧のように消え

せいぜいぼやけている程度である

もうそろそろここの工事も終わる

しかし、未だに監視カメラは、仕掛けたままであり

この後、何か起こるとも限らない

私は、目の前のテーブルの後ろに腰掛けている

女性に、頼む

「あの、これは、ただの気のせいなのでしょうか」


工事しているとごくたまに、地元の地域により

大切にされている物に当たることがある

其れは、山であったり祠 石

実に様々だ

時には、家だということもある

どちらにしても、そう言う場合は、地域の神主さんであったり、お祓いをしてもらうことで

一応の形を整えるが

しかし、噂話のようで

そう言うこととは別に

何か、実益と言う面で

現実に、おかしな事が起きることがある

それこそ、良く事故が起きる類は

単純に、見通しが悪かったり

トランプで同じ数字が良く出るように

其れが運が悪い物のせいで

悪く見えたりする

そう言うときに、其れは、一つのルールとして

作業の一つとして、頼む場所があったりする

普段そんな場所に、頼んだりしないがしかし

私の言葉に対して

たのんでみれば

と上司が、軽い口調でいう

それで、満足できれば、良いだろうと言うことだろう

私は、封筒を、社長から渡されて、会社を出た

その場所は、ここからは少し遠く

新幹線やバスタクシーを乗り継ぎ

何とか三時間ほどして到着した

もう、資料は、前の日に送っており

私は、その村のはずれの

トタン屋根の家を見たとき

何か怪しい宗教でもやっている危ない場所なのではと

監禁洗脳の類を、疑ったが

どうも、殺人鬼も居るような感じではなく

事務のような格好の少女、女性が、チャイムを押し

声をかけるとと

出迎えてくれた

応接間に案内されると

そのまま窓を背に座らされた

彼女は、お茶と中央に、お茶菓子が入った木の器

その丸い中には、羊羹や最中の小袋が置かれている

「それで、お話を、お聞きしますが

何が、お望みですか」

くるりと丸い目が、こちらを見ている

まるで、見上げられるようなその目線は

私を、疑っているようにも感じられた

「いえ、安全に、工事が終われば」

少女は言う

「それだけですか」

私はうなずく

彼女は、茶色い封筒から

留め具の糸をはずしながら

白い糸を垂らし

代わりに白い紙を、中からとりだし

数十枚は、ありそうな、文字の書かれたコピー用紙が

透明の厚いテーブルカバーの上に置かれた

更に下に引かれた白いレースのある机の上から

紙を取ると

説明を、読む

しかし、そこにかかれているのは、

鉱物の成分表が、書かれており

とうてい何のことか理解できない

「これは」

私の問いに関して

「ビデオを、見させていただきましたが

あれについて、どう感じられますか」

どうと、言われても

映像が、代わり、ぼやけて、夢のように消えてしまったと

「分かりません、確かに写っていたと思ったのですが」

彼女は、それに対して

「これは、夢のようなもので、良いのではありませんか

何も、無いことですし」

と言う

しかし、私としては、やはり気になる

そうは言われても、これでは、ただ、普通に人に話して、其れを、ただの幻想と言われているに等しい

まるで、疲れていたとでも言うかのように

ただそれだけだと

彼女は、お茶を飲んでいた目をこちらに向けて

「資料の五枚目を、お願いします」と言う

クリップで留められた紙を、めくると

そこには、採石場の表示と

そこで、使われている石がかかれていた

やはり分からない

「何のことでしょうか」

彼女は、本を取りだし

私の前に、開いた

そこには、石碑が書かれ

文字で「金剛動神」と彫られている

どうやら、地域の郷土史のようであり

その一つの石碑として白黒の写真が、搭載されている

ようであった

「元素と言う物は、すべてが、共通です

良く輪廻転生なんて言いますが

そう言う意味では、これは、周り回る物かも知れません

しかし、最近」

彼女は、新聞を取り出す

川沿いの集落がダムに沈み

その部落を、業者に、売ると言う見出し

何でも、再生資源として

古い民家の木材や、素材を別の物へと生かすという物らしい

「この中で、石碑も含まれて居たんですが

そう言う物の中には、粉砕され

利用されるような物もあります 十ページをお願いできますか」

そこには、使われなくなった墓石を再利用し

コンクリートを作ると書かれている

「昔は、資源は、貴重です

其れが何であろうと

使われたものでしょう

たとえば、ローマのコロッセオの闘技場は

石材として後世で切り出されていたりします

其れが、どんなものであれ、エコというのでしょう

環境には良い

まるで、江戸時代のようでしょう

しかし」

彼女は、12ページをお願いします

と言われ

私がめくると

また、成分の表が、書かれている

この業者の最近の砂利の

つまりは、コンクリートに混ぜる石の成分が

どう言うわけか、この地方特有の

岩石の成分が、含まれていました」

私は思う

何がいいたいのか

「そんなことが分かるんですか」

彼女はうなずく

「ええ、資料に、書かせて貰ったとおり

今現在、土の味や見た目ではなく

DNA鑑定のように

その土 石の微細な差でも

調べれば、すぐに分かります」

私は言ってしまう

「しかし、これが、その石碑と関係があるのですか」

私は、思う近くの地層で、採掘されれば、同じなのでは無かろうか

「はい、この近くの採石場では

加工しやすい この石は雷鳴石と言われていて

現在とりつくされ

江戸時代以降採掘されておりません

この石は、主に、神社仏閣 および

この写真のような石碑などに使われ

産出量も少なく、

あまり、外に出ることもありませんが

今回、其れを、知らなかったんでしょう

ただの石として粉石したものが、混じったと見えます」

私は思う

もし、そのせいで、何か起こっているというのであれば

また、掘り起こして・・・

「ね、何も、起きていないのであれば

其れは、何もないんですよ」

私は、彼女を見て、封筒を取り出す

「土の鑑定は、金が必要ですので

助かります 以上で大丈夫でしょうか」

私は、何かできる物はないのだろうか

そう、言おうとしたが

気がつく

そう言えば、幽霊は何もしていないと


「あの石碑は、何なのですか

本当に、この世の中に、そんな良く分からない物が」

女は、本を、さして、言う

「元々言えば、あの石は、

トンネル

いや、用水路の開通の石碑だったんです

水を、巨大な岩を掘り抜き

岩に、全長三百メートルの穴を作り

その縦横二メートル十センチの穴に水を通し

山頂の湖から、田圃へと水を流したんです

その開通記念として

建設されたものです 今から、二百十年になりますね」

私は、聞く

「では、そこでなくなった作業員の幽霊かなにかが」

彼女は、首を傾げるばかりで

「さあ」と言うだけである


「今後、大丈夫なのでしょうか

石碑でも建てて置いた方が」

彼女は言う

「石も石碑も変わらない石です

毒は、変化すれば、薬にも変わりますが

変えなければ、その成分は同じです

石い外に、何の成分があるのでしょうか」

私は、目の前の少女に聞く

「しかし、何度も恐縮ですが

私は、ビデオを、あそこに、女の人が」

そこで私は、気づいてしまう

作業員の中に

女が居るのだろうか

いや、其れ以前に

ワンピースって

「事故は、起こってはいませんよ

私が、保証します」

サインを書き

私は、お礼を言い

家を後にする

現に、あの後

あの女の姿を、みたものは居ない


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