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学術的論文が、めちゃくちゃに床に散らばり
私はその中で、床、以外の色
赤を、その中に見た
それは、白い文章の紙束のゴミの中に、黒く
染みを作り
汚れとなっている
しかし、それは、現在進行形で、色を、重ねているらしく
黒い部分と、赤い部分が、徐々に、層を成して、上から順に、色が、書き換えられている
私は、その光景を、見たとき
上を、天井に、目を向けると
そこには、針金かにかで、くくりつけたような
教授が、その編み目から
針金や、隙間を塗って
血が、転々と、何か、如雨露のようなもので
穴をあけられたように、
その棒を、伝い
中から、空洞を、通し
血液の硬化した部分を、通り抜けて
床の紙に、血液を、ばらまいていた
私は、その光景を見ながら
携帯電話を、開いた
「もしもし、ポリスめん
平坂教授の部屋で
教授が、死んでいます」
良く晴れた
月曜日のことである
私は、コンビニによると、ホッドドックと
フランクフルト
おにぎり
梅鮭ツナマヨを、購入すると
自宅から持ってきていた
魔法瓶から
梅昆布茶を、注ぎながら
考える
平坂教授は、金曜日からその姿を確認した物は、おらず
そして、放課後、ゼミを代表して、私が、わざわざ自費を有して
教授の住居まで、赴くことになったのである
少々であるが、多少は、その家の中身は、気になるが、あがるかどうかは
玄関で
「まあ、御茶でも飲んで行きなさい」
と、先生が言うかどうかになるし
どちらかと言えば、電車賃を、もらえる方が、幾分もありがたい
最新の携帯は、地図を、必要とせず
私を、何も困らすことなく
閑静な、隣の県まで、私を、連れて行く
電車で、四十分ほど
中々と言えば、中々なのかも知れないが
しかし、まあ、普通なのかも知れない
教授は、中肉中背
多少は、小太り気味であろう
背丈は、175を、行くか行かない程度
身綺麗ではあるが
小綺麗ではなく
いつも、同じようなシャツを、身につけていた
顔は、白髪と、白い髭
目には、丸いまん丸めがねを、細いフレームでかけて
その鷹か鷲のような
鋭い目つきは、威厳がなければ、犯罪者だろう
私は、玄関で、チャイムを鳴らす
白い壁が、目に付く
何度鳴らしても、玄関は、開くことはなく
十分ほど
時計を見たが、それも、変わらず
試しに、ドアノブを開くと、不用心だが
都会から離れているとは言え
やはり、変わりはない
安全さは、変わりなく
それは、音もなく
実際には、開閉の蝶番
ドアのフレームを、多少こする音がするが
それ以外に、確認できる音声はない
「教授
林です
林檎林です
生きてますか」
生存確認で、本当に、生死を、安否を、確認する例は、どの程度であろうか
教授はまだ老衰するような年齢には思えないし
第一、今の所、教授が、病気を患っているという情報は、知らないだけかも知れないが
私は、所有しては居ない
それが、何の価値があるかは、分からないが
私は、電気のついていない
部屋に入る
フローリングは
茶色い木目調であり
掃除は、一応 出来ているようだ
しかし、教授に、家族は居ただろうか
そんな事を、考えながら
廊下を進み
部屋の一つに、入る
その部屋は、銀色のノブが、丸く取り付けられており
私は、それを見て、手をかけて
ひねるが
鍵がかかっているようで、開かない
私は、耳を澄ますと
何かが、ぽたぽたと落ちる音がする
それが、水槽なのか
コーヒーを、落としているだけなのか
私には、判別しては居ない
ただ、トイレでないとしたら
晴れ間に、雨漏りとは、実に不思議であり
その可能性は、低いのでは無かろうか
私は、押したり、引いたり
スライドさせたりしてみたが
それに意味はなく
居留守の可能性を考え
プライバシー保護のため
そのまま出ても良かったが
私のなも知れぬ
危険信号が、電車賃と言う
怒りを、わきだささせ
むくむくと、昔、通販で取り寄せたという
鍵開けセットを、鞄からとりだすと
「大丈夫ですか、倒れてませんか」
私は、そう大声を出し
いらだち紛れに、鉄拳を、木のドアに、ぶつけた後
五分もせず
扉は、開いたという訳だ
警察の到着を末までに、私は、天井から落ちる
水音と共に
違和感も覚えていた
果たして、人間の血は、凝化せずに、液体のまま
落ち続けるものだろうか
そして、大きなお世話かも知れないが
果たして、この家人は
この広い一軒家で、果たして、これ程、たくさんの部屋が、必要だったのだろうか
警察がくるまで、動くわけにも行かないが
男一人が、必要となるスペースなど、たかがしれているのでは無かろうか
しかし、部屋数は、ざっと見ただけでも
八室程は、ある
必要と言ってしまわれれば、それまでだが
しかし、それは、広く感じられた
ドアを、開けるのも、証拠が消えそうで、私は、躊躇し
結局は、ぽたぽたと、かさかさと、紙に落ちる
赤い点を、見続けた
普通の高さの天井からでも
落ちれば、血は、ばらまかれる
幸いでも何でもないが
虫の類は、見受けられなかった
しかし、元来、蛆という物は、
体の腐った部位を、食べ、逆に、怪我を、悪化させないと言う
そう言うと、戦争中の行為は、全てが全て、正しくなかったのでとも、思えないが
しかし、そんな事は、根底から、おかしな話である
けが人に、蛆がわいていて、それを、取らないなどは、よほど信頼していなければ、拷問と取られても仕方がない
しかし、それを、自ら、とる気力もない程の人間を前に、精神が、肉体へと、変化していく
様は、恐ろしく写るものだろう
「あのー蒲原警察署の権堂と、申します
よろしく」
玄関で、そんな声がして、私は、廊下に出ると
不審者と形容していいほど
ガタイの良い人間が、パツンパツンに、青い制服を、着込み、玄関に立っていた
「ああ、どうも」
その男は、私を、黒一色のような、瞳で見ると
「あなたが、通報者の
林檎林 梨子さんですね」
私は、その返答に、こくりと頷くと
外へと行われて、靴を履いて、外に出た
外は、相変わらず、時間は流れているが
しかし、かなり、日も暮れ始めようと言う
前触れを、感じる程度に、薄ぼんやりと、赤みを差していた
「あの、どうすれば」
私は、数人居る警官のの中で
権堂に、そう訪ねると
係りの物がきますので、
そう言って、私のそばに立っている
結局、その日、私が、帰宅できたのは
十二時
明日も、授業が終わり次第
警察署に行くことになる
とんだ、放課後である
何とか、帰宅後
権堂が、途中で、買ってきてくれた
お弁当を、眠らないように、食べながら
私は、思案している
携帯には、次々に、着信があり
あの穴黒京の仕業であることは、目に見えている
黙っておけば良かった
私は、そう思いながら
歯磨きも、半ば
落ちるように、布団には居る
暗闇の中
白い天井は、黒く変色し
光の届かない
そこは、私の目には、
一緒にの中に、影がぼんやりと見える程度だ
しかし、目を凝らすと、今日何度も見た
いや、昨日
私は、あの光景を、
真っ赤な天井を、あの遺体を、想像してしまう
私の感覚の中に、違和感が、踊る
あれは、殺人なのだろうか
私は考える
だとしたら、誰が
あの教授が、あんなアクロバティックな自殺をするような
推理マニアとも思えない
私は、一人、枕に、頭を、押しつけながら
考えを、続ける
どうしたものか
一人、また一つと、考えが、霧散する中
私は、ぽたりと、水道の水滴の音がする気がした
長い廊下を、歩く歩速は、僅かに漏れる
教室の明かりだけが
その狭い廊下に、差し込み
汚い、ステンドグラスのように
様々に、教室内の書類を、影絵のように
映し出している
私は、その間を、歩きながら
自分の所属している場所へと入ると
馬鹿みたいに、黒い髪の今時珍しい
長髪の女
同じ学生の
穴黒の姿が、そこには、存在していた
何か、ノートに、メモっているが
私の姿を見るや
ペンを置いて
私へと、向こうとして、立ち上がる
「よっ」
私は、空元気に、ウルトラマンのごとく
手を、左手で、肘を支えずに、上げると
それに、さしたる興味もなく
ただ、第一声として
「あんた、どんな死に顔だった
教授は、先生は、ねえ、奥さんとかは居た」
私は、不躾であったが
余計めんどくさそうな事になると考え
そして、昨日、明日学校を休むかも知れないと言うことについて
奴の策略により、メールしてしまったのが、非常に、悔やまれてしかたが無い
鳴り響く地獄メールと
早朝からの登校
こいつは何時眠っているのだろうか
それとも
私は、一人、一通り、その事を、話すと、彼女は、首をひねる
先生、部屋とかに、興味はないけど
狭いとこよりも、広いとこって
教室も、ごらんの通り
ガランドウじゃない
それ、本当に、先生の家だったの」
私は、そう言われてみればと、いつも、余り話さない先生が
揚げ豆腐と、片づけだけは、こっぴどく、口酸っぱく言って居た事を、ぼんやりと、思い出していた
しかし、住所は、多かれ少なかれ、合っていたから、携帯は、あそこへと、あそこまで導いたのであろうし
第一、発見後、警察は、その事について、
何も言わなかったし
表札も、教授の平坂と言う名前が、あったし
第一、あの天井に、くくりつけられていた
遺体は、まごう事無き
教授の顔であり
いくら、上に、縛られていようとも、その顔の確認は、私は、出来たはずだ
死後、何日か経っているが故に、
体の皮膚の変質は、見られたが
しかし、どちらかと言えば、それは、教授であり
教授の部屋で、教授が、その家で、それっぽい顔で、死んでいたのだから、大方、教授で間違いがないような気がして成らない
第一、先程、彼女が言ったとおり
彼が、もしくは、あの家が、教授でなければ、今頃私の携帯に、警察から何十通と、ストーカーのように、メールが送られてきていてもおかしくはないのでは無かろうか
もし私が疑われていれば、すぐそばで、張り込みされているかも知れないが
私は、今の所、そう言う事に、鋭い事など、余りないと、思われているが
しかし、実際問題、鋭いとは、到底思えない
つまりは、付けられていたとしても、全く持って、分からずじまいなのである
「しかし、不思議よね、教授も、殺されるような人間なんて
一体何を、やらかしたのかしらね」
闇のゲームなどは、無いとすれば、やはり、恋愛
もしくは、金か
どちらにしても、夢も希望もない
感情のこじれ
存在しない物への渇望と確定
形無き物で
人は、殺されたり
殺したりするのだから
全く持って、どうしようもなく、偏屈である
アニメと現実の区別が付かないと言うが
これも、空想と、現実の区別が付かない
一例だろう
生きる事と、存在する事は、実に、かようにして、難しいのであろう
どちらにしても、私は、ハンバーガーを、かじりながら
コロシアムのように、並べられた
教室へと、向かおうと、立ち上がった時
「そう言えば、朝一は、教授の講義じゃなかったっけ」
私は、ハンバーガーのパンと、ぱさついた
良い感じの牛肉のパテを、噛みながら
その答えについて、一時 考えていた
ハンバーガーについて、非常に、難しい話であろうが
私は、昔、昔
狂牛病が、はやっていた頃
ニュースでは、格好が悪いだけで、牛から、病気が
遺伝子が、感染する事はない
と、言うにも関わらず
それが、真っ赤な
嘘だと、嘘だったと、後に、発表され
それについて、さして誤らない
コメンテーター及び
ニュース番組は、さておき
私は、ハンバーガーについて、非常に、疑問に思う存在が、存在している
それは、実は、その安さの秘密は、特別に、養殖され続けているという
ハンバーガーミミズでもなければ
そのミミズを、養殖する方が、牛を飼うよりも費用がかかることでも
卵一個が、十円と言う
恐ろしい話でもない
私が、真に、問題視
疑問視している事は
トイ
つまりは、ラッキーズ・トイと言う
ハンバーガーショップで、子供に、ばらまかれる
恐ろしく原価率の低い
おもちゃについてだ
大人は、暗黙の了解で、
子供のやっている事を、余り、遊ぶことが出来ない
大人になって、公園の遊具で、遊ぶのは
それを、馬鹿にしているか
別の目的があるか
それそのものを、真に遊べているとは、言い難い
少なくとも、子供の列に並ぶ事は無く
はしゃぐためにはしゃぐという
脳内ドラックを、決めているとしか、思えない心境だ
そんな中で、あのトイは、非常に難しい
その性質上
やすい
しかし、それが、大人が遊ぶに耐えうる
存在かどうかについて、非常に疑問だ
一日中
ペットボトルの蓋だろうと、ボトルの本体だろうと
それを、いじくり回して、遊ぶ事は、可能だろう
そのうち、ジャグリングを、しだすかも知れないし
全く別の遊び方を、開発するかも知れない
しかし、与えられた機能を、与えられたように、遊ぶ時点で、想像力は、金銭と共に、奪われていると、言っても良いかも知れない
しかし、そのあらがい難い誘惑は
パチンコのような、ギャンブル性
嗜虐心を、煽り立て
その存在を、金ほしさに、誘惑する
駄菓子のパッケージのように、毒々しく
そして、それは、到底
砂糖という
人間が開発した中で、上位に食い込む毒
法律で、禁止されていないだけで
黒糖で、黒砂糖で私は、良いと思うのであろうが
良い手間がかかっているはずの白砂糖の方が、余程
安いのが、分からない
どちらにしても、その子供用の玩具に置いて
私は、キチガイじみた
ラインナップを、確認した時
私の幼児性というか
いや、これは、大人へ対する挑戦状か
その意味不明さ
そして、採算を、子供を、集客する気があるとは思えない
深夜のドラマのチープなフィギュア
それが、逆に、その世界観を、マッチさせ、醸し出す
全十種類は、正気の沙汰とは、到底思えず
玩具単品では、商品を、販売せず
さりとて、子供が欲しがるものではない
故に、その値段は、コンプリートセットで
一万円が、飛んでいく
つまりは、セット商品を、食材共に
ワンセット、買わなければ、付いてこない物を
大人は、真っ青な球体の人気のアニメキャラを、子供が、求める横で、買わなければ成らず
そして、なおかつ、自分で、注文しても、到底
十回で、それが、コンプリートされる事は無く
交換会が、周一で、頻繁に、行われる程の
白熱ぶりであったが
問題点は、他にあり
それは、発売二週間目ぐらいで
どうやら、一種類の封入率が、低く
それに併せて、セットの中で、そのキャラクターと言うか登場人物のフィギュアの値段が、一気に、五倍へと膨れ上がり
一時、それに興味のない人間までもが、そのおもちゃを、買い始めた
ただ、問題点は、その頃には、真に欲しい人間の手元へと
大抵は流れ
逆に、在庫を、抱えた人間は、その値段を、下げ
知らなかった、ファンにも、そこまでの暴利ではなく
ワンセット買った程度の値段以下で
一つを、購入するまでに、落ち着いた
そう、落ち着いたかに、見えた
しかし、問題の継続点として
それは、塗装の違いに、追求される
それは、ペンキが、変わったのか
何なのかは、知らないが
明らかに、初期と後期では、その色が違い
なおかつ、初期と後期を、見比べると
その丁寧さが、明らかに、初期ロットの方が
レベルが高く
なおかつ、塗装箇所
そして、色が、三カ所も、減っている事を、指摘されてから
じわりじわりと、その値段の差が、出始めると言う
現象が、起こり始めた
それは、プレミアとして、そこに、値段と言う
金という、存在しない物へと、置いた
マネーゲーム
誰も幸せにならない
時間の浪費遊びであるが
その中で、我々、1ファンを、騒然とさせた
百円での販売騒動
それは、一重に、努力して、そして、金を出した人間に対する
冒涜とも取れる
それを集める苦労に、意味があると言えば、それこそ、それまでであるが
しかし、それは、余りにも、あんまりとする
意見もありながら
つまりは、価格の大暴落
そして、従来の初期ロットと、呼ばれた
彩色の多い方で、再販 個別販売されたが故に
逆に、後期の物が、値段を、上げる始末であるが
中身の見えないシークレットから、選べることになった上に
その在庫は、皆均等で、合ったが故に、それは、価値を、無為に、きし
ただ、その物体が、残った
好きであった物に、価格を付けるなど、言語道断であり
有ればいいと言えば、それこそ、それなのだが
しかし、それを、外部的悪魔が、価格を、付け
広める事で
それに、影響され
本来、考えるべきではなかったような事まで
考える必要性がでるのは
良い事か、
それとも、回り道か
どちらにしても、私は、初期に、自力で、歩き遍路のように、自分自身で、それを、成し遂げたが
しかし、だからと言って、何だし
車で、言ったからと良って、また、其れは、考える必要もないような気もしない事ではない
どちらにしろ、私の本棚の一部には、あのフィギュアが
ずらりと、並べられ
壮観と言えなくもない
しかし、投げ売りされていく
商品を見るのは、見るに絶えず
無限回収を、考えるも
私の部屋の狭さ
そして、教授の極端な、広々主義が、伝染し
私は、ハンバーガーを、かじりながら
某おもちゃを、眺めるも、購入には、いたらず
結局は、自宅の其れを持って、私の答えと、考えている
ただ、ここまで話して、問題点を、一つ、上げなければならないとすれば
其れは、一重に、本棚の本の前にある
あのフィギュアでも
そろそろ、ハンバーガー生活を、切り替えなければならないと
引きずっている食生活でもない
元々ハンバーガーは、嫌いではないし
好きで良く食べていたが
問題の根本は
結局は、色々様々言ったにも関わらず
ようは、この授業の単位を、教授が、不在となった今
ゾンビとして、生き返らない限り
無いとは、願いたいが
果たして、得られると言う
そう言う現実的
現実逃避を、ハンバーガーの話に、逃げないので有れば
そう言うことになる
果たして、私は、狂人じみた論文を、果たして、許容されて、無事、こんな大学を、出ることが出来るのか
あの教授だからと言う甘さが
まさか、落とされはしないだろうかという
突如の死
それを持って、適当に、別の先生が、赤点を
出しは、しないだろうなと
私は、戦々恐々と、しながら
ハンバーガーを、かじるのです
「それで、何であんたがここにいるわけ」
私は、昨日よりは、三時間ほど早く
警察署から、表に出た
送ってもらい
家の前に付くと
穴黒の姿が、そこにある
徐々に季節は、夏からとうに、秋に移り変わり
もこもことした
コートを、着込んでいるが
そのベージュ色の下の長ズボンは、肌に張り付き
冷たそうだ
「あの、何か用ですか」
私は、そう言うと、背後で、パトカーの去る音がする
「いえいえ、お勤めご苦労さんですよ
林檎さん」
私は
「林です」と、言い直しながら
いぶかしそうに、彼女を見る
住所を教えていただろうか
「何か用ですか」
私は、繰り返し、彼女に、先の話を、繰り返すと
彼女は、私を見て
「どうでした、事件でした、事故でした
それとも、自殺」
彼女は、そう言って、私を見る目は、蛍光灯の寒々しい明かりの下
きらりと、光っているようにも見えた
私は、未だに、良くわからない状況下なので
首を傾げるに、留めると
なぜか彼女は、ジッパーを、開いて、コートを、開けると
中から、同じような色の、茶封筒を、取り出して、私に見えるように、かざす
「ちょっと、面白い物が、手に入りましてね、ゲフフフフフ」
昨今こんな笑い方をする人間を、女を
私は、見たことがない
じゃあ、善人かと言えば、そうとは、とても、私には、見えなかった
蛇口から水道水を、出すと、何の変哲もない
無柄のガラスの小さなコップに、それを入れて、彼女に出す
普段使わないが、来客用に、一つだけ有る
何か良くわからない
何食わない食器である
「どうも、冷たいお水」
彼女は、そう言ったが、一気に飲み干して、それを脇にどけると
ちゃぶ台の四角い上に、一枚の同じような
茶色い封筒を出す
何も書かれておらず
それが、彼女の用意したものである可能性もあった
「何です、それは」
同じような事を、私は、また繰り返していた
「いえ、これは、非常に、面白い事なのです
時に、林檎林子女
あなたは、昨今
今回の例の教授の論文
何を、書いていましたか」
論文と言うよりもレポートに近かったかも知れないが
私は、現に、一つの、病気
つまりは、同族食い
プリオン病の症状の一種
クロイツフェルトヤコブ病
について、私は、論文を、進め
その途中で、それを、得るだけの情報の中に
私は、不要と判断
もしくは、別の枝別した物を、教授に、出せと言われ
全く別でありながら
私は、単位を、もらえるはずだった
そう、それが、今回の一番ネックな話なのである
私は、単位を落とすわけにはいかないのである
「そう、それ、同族食い、食人週間、それに対して、
もしくは、手術などで、使われる死体の脳膜を、有した、代用品
そこから、感染する、異常プリオンの増殖
致死率百パーセントでしたっけ
林檎林さん」
私は、いつこいつが、そこまで、詳しい話を、知ったのかは、さておき、これから何の話に移行していくのかは、疑問が残る
「それで、それは何なんだ」
私は、茶封筒を指出すが、それは、ちっちと、舌打ちではなく
きざに、指を振るが、何か、魔法が、発動することはなく
声を発した
「今回、私が得た少ない君の情報から推測するに
教授は、つり下げられ
血を、垂らしていた
絞られていた
抜かれていた
そう、抜かれていたなんて言うとあれだが
しかし、まあ、それは、死体処理
いや、食肉処理の血抜きに、近いのではないだろうか
誰が、食べるかは、知らないが
しかし、そう見える」
私は、反論材料を、何個か思い描く
まず第一に、あれは、逆さな訳でもなければ
一点に集中するように、つり下げられているわけでもない
ハンモックというか、ポークハムのように、天井付近に、針金のような物の上から、血を垂らしていた
血抜きで有れば、その血の排出量は、少な過ぎて
失敗だろう
いつから、死んでいるかは、知らないが
しかし、もっと固まる前に、スピーディーに、液体は、排出していた方が、臭みはないに違いない
血抜きに関していえば、そう言う理由から、少ないのではないだろうか
彼女は、私を見て
「何だい、不満そうだね、反論があるというなら言ってしまえば、良い、その方が、すっきりするからね
まあ、悪魔でも、私は、そう見える
いや、近いと言っただけだ
それだとは、確実な断言として言っていないし
今回私がきた最重要な、秘密とは、余り、別なものとして、考えて頂きたい」
彼女はそう言うと、封筒の封を開いて、紙を取り出す
そこには、黒い線が、幾何学上に、絵を描いているが
しかし、それは、絵心とはまた別の存在
図面 青写真とでも言った所
ブループリントである
黒いが
「これは何です」
私は、ちらりと見たが、どうも見覚えが・・
そこまで言って、ちらりと見えた、後ろの図
そして、それは、どうも、最近見た気がする
しかし、どうもおかしい
何かが違う
「あれ」
私は、それが、良く似た、量産型の住宅が故に
多少の変更点は、多々あるのではと思ったが
しかし
どうも、どうしても、何かが引っかかる
あれは
「そうです、これは」
彼女は、図案を広げ
そして、その中に、書かれた文字を、机の上に置く
ちゃぶ台の上には
「平坂」の家設計図の文字が、書き込まれている
ただ、コピーのようで、多少にじんでいるが
「これを、何処で手に入れたんですか穴黒さん」
私は、そう聞くと、彼女は、鼻歌交じりに口笛を吹くと
ピーィと深夜迷惑な音が、部屋に響いた
「この家は、建築関係の先生に、教授が、頼んだ見取り図が、まだ、大学内に、残っていたんだよ
私は、その授業を、とっていたから
先生が、授業の途中で、そんな事を、言っていた
ただ、ほとんどが、安い仕事になるし
責任問題が、強く付きまとうから気をつけるように
と言う、愚痴や忠告が、始終を、占めていたが」
と、彼女は言う
その時、配られたプリントを、見ていたが
どうも違和感を覚えた
君が昨夜、昨日、話してくれた内容と、何かが、行き違う
実際には、その部屋の図案であるが
君は、普通の高さ
精々二メートル程であろうが
ただ、この見取り図を、見るに
それは、どうもあり得ない
先生らしく
広々とした空間設定
天井まで、部屋は、吹き抜けになっている
おかしいとは、思わないかい」見取り図なんて、見る事は、余りないが
私は、紙に、目をやると
確かに、その天井は、吹き抜けのように、感じられた
もし、目の前の穴黒が、私を、手を込んでだましていなければ
確かに、おかしい
あの部屋の天井はもう
少し、もっと、低かったはずだ
私は、疑問に、思いながら考える
何でだ
何故なんだ
改築したかもしれないが
そうでなければ、その意味は、今回の事件と、何ら
何か関係が、有るというのだろうか
私は、ちゃぶ台を前に
頭を、ひねらせていた
しかし、目の前の穴黒は、さも当然というように
先に考えていたのであろう
こんな事を言う
「あなたが、犯人じゃないんですか
林檎林 梨子さん
あなたは、プリオン病の研究が、したくて、先生を、殺害、そして、データーを、取って、その後に、頼まれてしまい、自ら、通報した
そうでなければ、あなたは疑われる事になる
違いますか」
私は、呆れかえってしまった
何という、馬鹿な事を、この女は、言うのであろうか
そう言うので有れば、第一、この女の先程、言っていた、天井の件は、何に、意味があるのだろうか
いや、意味がなかったとしても、もし、それが、血抜きに限定して話すのであれば、あまりにも非効率
と、言わざるおえない
「どうしました、冗談でも、面白くはないでしょう」
ブラック過ぎる
黒すぎて、何が起きているか全く分からない
わかりかねる
「あなたの、推理は、別に良いのだけれども
それと、先程の、証拠
あれは、どう説明するつもり
まさか、そこを、考えていないなんて言うのは、流石に、いえ、冗談、ジョークだからこそ、それは、何にもまして、本物っぽくあるべきだと思うのだけれども」
私の、声に対して、穴黒は、答えた
「単純な話ですよ、実験とは、観察です
データーです
すなわち、あの天井は、実験室
いわゆる、天井ではなく、壁と言うべき物なのではないでしょうか」
何を言っているのか、分からない
分からないが、つまりは
「あの部屋には、もう一人、誰かがいて
そして、観察するために、あの上に、居たのでは無いだろうか
天井とはいえ
しょせんは、仕切
それだけでは、人間は、歩くことは、出来ないだろう
しかし、それを、補修して、張ってしまえば、
しかし、どうして、そこに、壁が、天井が、有るように見える
自分の部屋の上でさえ、仕切られているようで
その厚さは、どの程度であろうか
人間の知覚の限界と言う物が存在する
そこに道があるから、人は、歩いているが
その素材が、別の物であろうとも
その道が、巨大な、落とし穴を、有していても
それを、目視して、確認できなければ、本物との差が、分からなければ
いや、本物以上で有れば、
それを、違和感として認識することは出来ない」
待てよ、もし、この冗談が、正しいのであれば
まだ
「あの部屋に、犯人が居ると」
彼女は、ここまで言って、更に、首をひねる
「冗談を、本気にしてはいけませんよ
流石に、警察も、チェーン程の均一化がされているとは、思えませんが
馬鹿ではないでしょうし
先程も言ったとおり、ギャグ 冗談
これは、空想の物語を、更に、深めるための嘘でしかない
嘘には、嘘を
人には、人を
そして、真実には」
私は、考える
この人は、何をしに、ここに来たのか
まさか、こいつが、犯人じゃないだろうな
私は、そう思いながら、鞄から出していた
ハンバーガーを、パクリと一口食べた。




