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私の長い旅は、唐突に、オワリを、迎えた

誰とも知れず

すり減った靴は

何処とも知れず

道に、落ちた

太陽は、煉瓦造りの家の陰に遮られ

私の意識は、光るような道を遠くに見ながら

瞳は、閉じられた

足音

それだけが、賑やかしく、道路を、通り過ぎた


永い眠りとは、そうは言っても、

一日で、終わることが多い

日が昇り

それが沈むまでの時間の中で

人は、精一杯 行動する

それは、制限だが

しかし、それ故に、人は、それ以外の生き方を、線引きし、生きる事が、出来る

逆に言うことがあるとするならば

そうでもしなければ、人は、時間の感覚を、失い

何時までも、昼間を、動き回り続けなければ行けない

私は、昼と夜の神に感謝しながら

仕事を、する事が出来る

人は、常に、砂の中の一粒のよう

どうなるか等、到底理解予測出来るようなものでは無く

今まで、地面の底にいた

大きな石も

いずれ、動き回され

小さく

砂へと変化してく

砂も、更には、小さくなり、いずれ

押しつぶされ

巨大な岩石にもなるだろう

我々は、そこに意味を、見いだす意味を

まだ、未だに、見いだせない

故に、伝説や、民話の中

噂話に、その末端を、委ねる

哲学者は、言うだろう

自分の仕事のために

答えのない続きを

占い師は、言うだろう

当たり障りのない

その人間の性格を

科学者は、処刑され

修道士は、金と権力に、悩み続ける

農家は、天候に 体力に

商人は、ありもしない 数字を、追い続け

子供は、駆け回り続ける

老人達は、未来を、閉ざし

ただ、絵や小説が、夢物語を、操り続ける

我々が見ている世界は、本物か

この私の脳に蓄積された

それは、本当に、質量を、所有しているのか

これは、虫にも、劣る

小拙的な、矮小な

下手な演奏のような、単純な物なのでは無かろうか

自然を前に、私は、小さな砂の一つでしかない

この本の中で

私は、文字の一つにでも、成れているのだろうか

そうであれば、私は、やはり、矮小な神の一駒

でしか、無いのかも知れない

ただ、それでも、世界は、良く錬られているようで

破綻無く、続いているように見える

もしそれが、一時的な、ゲームのワンステージ

だとしても、私は、それを、理解することもなく

享受し続けなければ、いけないだろう

太陽と夜は入れ変わり続け

私はいずれ

死ぬだろう

しかし、世界は、継続を、続ける

きっと、神という存在は、我々よりも、余程長い

寿命を、ゲームをしているのだろう



長い、眠りから

目を覚ますと

下の食堂で、料理を、作る音が

聞こえる

周りの部屋からは、人が、動く音が、聞こえない

それは、この部屋が、分厚い壁に、覆われているせいか

それとも、もう、そんなに、遅い時刻だろうか

私は、未だに、鐘の音を、聞いていない

そんな、事があるだろうか

窓を、開けて、空を、見上げると

日は、中央よりも、だいぶ上を、指している

つまりは、十二時近い事を、どっちらにしても、指している

まずい、寝過ごした

私の脳内に、血流を、急いで巡らせるように、頭を、回転させ続ける

私は、急ぐ事も無いが

急がなければならない

私は、とにもかくにも、忙しいのだ

懐から、取り出した

木の箱に、納められた

細い薄い

銀の鏡は、私のどこにでも居そうな

顔を、今朝も映し出している

私は、ベッドの横に置かれた

樽の中の水で

顔を、整えながら

服の身だしなみも、同じように、整える

ただ、余りにも、礼儀正しく

規律に、乗っ取り

それを、模範的に、正しては行けない

なおかつ、地方、都市、場所場所、により

その風土が、異なり

ルールが、違う

それは、ぱっと見では、分からなくとも

その土地土地に、ずっと、長く住んでいる

人間から見れば、雛鳥を、親が、見間違えないように

その些細な、違いは、明確に、存在を、余所者か

どうかを、見分ける

それは、村でも、都市でも、同じ事だ

都市は大きくなるほどに、その身分

又は、流行が、異なり違う

村も、その些細な違いは、都会とは違い

彼らの中で、伝統と、創意工夫により

変えられ、私には、分からない

しかし、明らかに、違うよりは、ましだろう

そう言う考えは、年寄りめいて、自分の

年齢を、再確認しなければ、ならないような、気がしたが

長年、同じ仕事を、していると

鋭い際だった岩は、剥がれ落ち

研磨され

別の岩が、後ろから現れ

その場所に、合ったように、振る舞いを、変え始める

私は、一応の身支度を、済ませた後

木の階段を、降りて、一階の食堂へと、向かう

忙しく、働く

宿の主達

の反対側には、丸い古い木のテーブルと椅子が

乱雑に置かれ

宿の泊まり客の他には、数人の近所の住民と思わしき

人間が、まばらに、席に座り

お茶を飲んでいるようであった

私は、階段を、降りて、一階の床に、足を着ける

「何だい、えらく、長く寝ていたんだね」

恰幅の良い宿の女将さんが、そう言いながら

木の丸い、お盆の上に、白い皿と料理を、乗っけ

そこに立っていた

薄銅色のカップの中からは、地元住民が

飲んでいるのと同じであろう

飲み物が、湯気を立てて、お盆の上から、立ち上っている

「お昼は、鮭とキノコ 菜っぱのスープとキリコの焼きだよ、食べるかい」

私は、頷く

キリコとは、この地方に、伝わる

パンのようであるが

その中で、発酵させる菌が、他とは違うのか

独特なしゃりしゃりとした触感が、あり

強く焼くと、初めは、多少なりとも、もちもちとするが

時間が建つにつれ

それは、特出的に、他の物のよりも、サクサクとした

触感に変わり

土産物として

それに、食べ物を挟んだ物が、近場では、有名だろう

私は、席に着き

周りの話し声に、耳を、澄ませた

雑踏が、道路から、聞こえるが

それも、壁一枚を、隔てることにより

だいぶ小さく

周りの人間の話し声が、聞き取れない程では無くなる

私は、その中で、商人同士が、話し合う

話し声に、耳を澄ませた

その内容は、貨幣の価値に、ついて

そして、この町に、異端審問間が、やってくるらしいという噂

何でも、都会から来た人間を、町の住人が、追い払うためだと、言う

そう言う話しは、大様にして、良く聞く話だ

遺伝的に、村等では、奇形が、閉鎖された土地であれば有るほどに

それは、貴族でも、同じだ

どうやら、血が、濃い物は、何だか、有能な人間も産まれやすいが

しかし、その反対に、その容姿

そして、何らかの障害を、持っていることが

多い

様々な、場所を、歩くと

それは、辺境の地で有ればあるほど

そして、一族の中で婚姻を

繰り返すような、大貴族

他との格式を、差別化するような、場所は、顕著に

それを、見いだせるような気がする

そして、時として、人は、そう言う弱者

自分よりも、弱いもの、もしくは、不要な物にたいして

異端として、教会を、呼ぶことがある

貴族の場合

それを、一族の汚点として、隠すことがあるが

コミュニティーとして、それが、消えることがある

ただ、それは、タマネギの皮むきのように

何処から何処までが、正常か、ただでさえ

感情的で曖昧なのだ

差別した人間が、その外である

例外は、無い

いずれ、それは、自分の皮まで剥がされることになる

そうなった時、破滅したような村や町を

私は、度々見ている

そう言う時、ルールとは、政治の弱さを、私は、感じ得ない

私は、出された

木のお盆から

コップを、掴むと

厚手の陶器の感触がする

そこまで、細かい土を、使用していないのか

表面は、ざらざらしており

素焼きの地肌が、軽い釉薬を、越して

手に、伝わる

私は、内部の黒い液体を、口の中へと、入れる

遠くの高級な嗜好品ではなく

それは、近くの草むらに、山に

生える

草を、数種類集め

乾燥させたものであり

ほんのりとした、微かな甘みと

独特のすっきりとした香料感が

涼料として、薬草のような味と共に

お湯が、口の中に、広がる

私は、ひとまず、そのカップを、木のお盆に、置くと

軽く祈りを、捧げ

手を、皿に延ばした

僅かな小さな物体が、スープの皿に浮かぶ

私は、それを、その正体を、考えながら

木のスプーンにも手を伸ばす



長い流れは、始まりも有れば、終わりもあるが

それら全ては、更に続き

止めどなく

切れることはない

川は、聞いたところによれば、初めは、小さな

ミミズのような、細い始めを、始祖とし、それは、徐々に、芋虫に、蛇に、大蛇へと丸太にへと

変化を始め

次第に、それは、形容し難い大きな

大きな

目にする川へと姿を変える

そして、川は、更に大きな大海原へと、向かい

その水は、いずれ雨となり

山に降り注ぐと学者連中は、言っている

私は、川を見ながら考える

海は、塩辛いが

しかし、川は、湖は、池は、沼は、塩辛くはない

塩を、地上に、置き

水は、天へと帰り

そして、やがて、地上に、舞い降り

海へと流れていく

その流れは、風車のように、水車のように

壊れても、直されるように、繰り返される

これは、一体、誰の発明だろうか

それとも、それこそが、発明なのだろうか

スープの中身もキリコと言う独特なパンも食べ終えた

私は、この町を、出る決意をした

明日には、立とう

その前に、やることもある

食材

隣の都市まで行く馬車

毎回、それぞれ、場所が違う

しかし、似たようなものである

良いところも有れば、悪い物もある

良い物は、変わらないが

悪い物は、姿を、すぐに、消すが

無くなることはない

また同じような、事が、繰り返される

それが、代々続く仕事だとでも言うように

私は、懐に、羊皮紙を、手にすると

そのまま、道を、歩き始める

雑多な、にぎわいも

朝と比べれば、そうという物でもないだろう

時間は、朝が忙しく

昼をピークに

夜に近づけば近づくほど

その活気は、なりを、潜めていく

今は、お昼も過ぎ

もう、終わりの香りが、し始めている

露天の中には、簡単な、店じまいを澄ませ、最低限の

商品を、店の木の台の上に、並べたりしている

食べ物屋の香りの中

私は、一人、町の居酒屋に、向かう

決して、食べたり無いというわけではない

しかし、人の口とは、どうも、物を食べる時には、

良く滑るようだ

普段で有れば、大丈夫な話しも

集注が、横に、それることにより

その防御が、ガードが、緩くなり

ぽろぽろと

話しが、こぼれ始める

それは、髭を蓄えた

強面の商人だとしても、時として、つまづく

こんな場所で、一番、明るく酔っていないのは

店の店主が、良い例だろう

酒を、売っても、討たれては、いけない

得てして、その道のプロとは、どうにも、一般的な

考えとは、変質的に、その考え方が、違う

場には、場を

家には、家

酒には、酒にあった動き方を

思考 考え方を、する

それは、どうも、普段の法則とは、一般的なルールとは

かけ離れている

そんな、気がしてならない

酒の香りのする店は、薄暗く

夜中には、明かりが、付く事が、大前提であろう

まあ、夜に、油に、火を、つけない酒屋も

無いだろうが

有れば、危ないに、違いない

安酒売りは、樽を、担いで

売るかも知れないが

それを買う人間の、種類は、限られていそうである

「エールと、つまみを、適当に 何がある」

私は、頭を下げて、ガタイの良い

店主に、聞くと

「木の実のウサギの肉のあえ物

後は、燻した豚の乾燥肉」

男は、壁にかかれた

料金表の板を、指さして、そう言う

私は、上の料理を、注文すると

席に着く

涼しい店内は、暗闇に、支配されているせいだろう

暗くて、暑いのは、火山の中か

風呂場位の物だろう

夏場などは、店を、涼しくする事で、料理を、美味しく食べられる

暑い店内では、客も、寄りつかない

最も、良いごちそうとは、日当たりではなく

涼しい温度なのだろう

先に、運ばれた

エールは、木のジョッキに、銅色の鉄が巻かれ

取っ手が、上下

二つの支えで、取り付けられている

中は、泡だった

白い中に、黒い液体が、見え隠れしている

この町は、創立されて、長い事

一つの貴族が、支配している

もう、前の王政から、三百年は、変わりがない

珍しい土地だ

他の町は、今現代にしても

色々とした、ごたごた

又は、その一族の血が、途絶えた事による

争いにより

今日も明日とも、消えることが多いが

この町は、さしたる、特産物も無いが

しかし、領主は、代々、別の場所から、王女

や、王様を、選ぶが故に、血が、様々な場所へと

散らばり

幸いにして、血だけは、途絶えることは、考えづらいであろう

しかし、血族による

王権争いが、起きないのも

不思議な話だ

先の話しで、言うとおり

王族が、滅びるのは、敵か市民か

それとも、身内か

それ全てで、世界は、語れそうだが

しかし、そのどれかが、おおよそ、敵となる

身内を、唆すもの身内かも知れないが

どちらにしても、長く続く王政は

珍しい

国は、続いても

貴族の一つの王政は、そうは、長くは、つながらず

得てして、色々な、策を、ぎゅうじては、しくじり

学んでいないような、失敗を、繰り返す

しかし、それでも、人は、人に従うよりも

王に、従うことが、遙かに、多い

人は、人を、好きではないのか

それとも、政治になど興味はないのか

人間は、生物らしく

生きる事に、真剣なのか

それとも

繰り返しの中で、人は、ルールに、縛られる

この国は、王が、支配力が、弱い

しかし、王は、王族は、存在する

そして、ほとんど、国の運営は

一人ではなく、町から、選出された物が

それらを、大きく運営している

大小様々な商家の主

ここの家が兵となり、町を、守る

故に、この町は、古くから

防壁が、何度も立て替えられ

そして、市民は、武芸を、学ぶことに

熱心だ

この店の店主も、きっと、一対一で、あれば、並の

傭兵では、手が出無いのではないのではと、予想が付く

傭兵団は、人殺し集団ではない

多少なりとも

腕はあれど

しょせんは、戦争の真似事

大小さまざまな戦力を、見せつけ合う

戦いに、変化していく現代において

必ずしも

強さの証では

無くなってしまっている

そうは、いっても、

彼らの問題は、その敵としての戦力

と言うよりは

彼らが持ち込む

病気

厄災の方が、大きいだろう

彼らの後には、屍しか残らない

それは、大きくなれば、なる程

川が、海へと、つながるように

集団は、死神の足音のように、大きくなるに、比例するように

死者は、増え続ける

それは、戦力では、決してない

その巨大さは、所詮

人は、自然には、流れには、勝てない事を、言い表す

ルールのように、

本来の場所を、離れた人間の恐ろしさ

変化とは、時として、人を、人間を、死に、至らしめる

私は、ゆっくりとした、感情のまま

エールのジョッキの縁に、口を当てた


「しかし、王様も、顔を、出せば、良い物を」

私は、カウンターに、腰を、かけた

地元民らしき

男が、何も言わず、出された

エールのジョッキに、口を、つけながら

店主に話している

内容を、耳を澄ませて、聞いていた

「ああ、そうだな、俺も、あの方の顔を、今まで見たのなんぞ、子供の頃以来だ」

私は、そんな話しを、聞きながら

白い皿に、盛りつけられた

小さなウサギの肉の切り分けられた部位

そして、それに、混じり合うように、木の実が、茶色いソースと一緒に、転がっている

フォークで、木の実を、刺すと

それは、鉄の端を、弾くことなく

内部まで、ぐにゅりと、刺さり

手の中の鉄の先端に、持ち上がる

私は、それを、口に含もうとすると

鼻の中に美匂として、香ばしさと

ソースであろう、甘さの中に、スパイスの香辛料が

香る匂いが、漂い

私は、口の中へ、転がすように、それを、入れると

ソース

そして、その中に、潜む、肉汁のうまみ

を、味わい

更に、歯を、通せば

それは、柔らかさとは、対照的な

香ばしさを、口内に、充満させ

肉との対比を、伺いさせる

私は、フォークを、きらめかせながら

肉の方へと、その銀色の食器を、向かわせて

思う

そう言えば、前も、似たようなことを、聞いた気が

確か、いや、それは、また違う話しのはずだ

貴族の

いや、王様の中には、偉大と言われる物が居る

そう言う中には、歳長く

一人

王政を続けるが

しかし、大抵

その後に、続く事は、少ない

それ以前に、子供を、一人も、作らなかった

一人の王も居た程だ

私の考えも、ウサギ肉が、フォークに刺さった頃には、なりを、潜め

なおかつ、漏れ聞こえてくる

声に、それは、塗り変わる

「しかし、それにしても、最近は、物騒だ

聞いたか、隣村の一人が、目が赤い子供を

産んだとか

実に、不吉な前触れだと、思うんだが

どうだ」

今度は、町の人間が、ジョッキを、手から、おろして

一人

「ああ、どうだろうね、あの村は、閉鎖的だ

何でも、鬼の血が、入っているとか

異端審問間に、捕まらなければ良いが

まあしかし、

教会は、自分の異端には、厳しいが

邪教徒は、まだ、改心していないだけ

知らないだけど、言いやがる

実に、お優しいことだ

俺は、火を、見ることで、目が、赤くなると聞いたが

嫁さんが、妊娠中に、何を見たんだろうな」

会話は、脈略無く

酒に置き換わる

店主も、心得たもので

自然と、席から離れ

仕事を、再会する

「目の赤い子供」

私は、何となく、そう言う人種

いや、子供が、産まれる事を、知っている

それが、どういう因果で、産まれてくるのかは

知らないが

そう言う物は、教会や

家の奥で、人目に触れないように、生きていると言うが

以前、海外の貿易で、肌の白い黒人のミイラが

薬として、取り引きしているのを見たことがあるが

これも、閉鎖した空間による

血の濃さの問題なのかは、分からない

黒人達は、果たして、貴族のような制度を、採用しているという話しを、聞いたことがない

ただ、無いだけで、有るのかも知れないが

私は、一人、食べ終えた、皿を、片づけ

代金を、払い

一言

「異端審問間は、何時頃くるんですか」と聞くと

男は、首を傾げた後

「近じか、二、三週間以内には、来るんじゃ、ないか

話しによると、もう、来ているんじゃないか

何て、話しもあるから

二三日かもしれんが

お客さん、何か、知りたい事でも」

私は、

曖昧に、うなずき

「いえ、何処の町でも、同じようなものですから

騒がしくなる前に」

分かったように、店主は頷く

「ああ、そうだな、旅は、大変だな、お客さん」

しばし、余所者とは、格好の餌食になりかねない

そんな物は、時代遅れと、言われようとも、

人々の心には、宗教があり

神話が、根付く

それは、正しさではなく、日常

それが、存在しうるから

人は、生活を、ルールを、守り通そうとする

私は、それを、嘘か、建前か

私の前に、通り過ぎる

考えを、よそ目に、一人、道を歩く

この町は、古い

特に、産業など無くても

繰り返し、行われる

家業は、自然と、その技術を、高め

他の町との違いを、産んでいく

都市は、大きくなればなる程

その違いを、見ることは、出来ない

どこかで見たような、似たような、何か

しかし、それは、距離が離れれば

人材が、固定され

独自の何かを、形成していく

それは、血なのか

教えなのか

私は、環境なのかは、分からないが

それでも、その町を、人を

食べ物を、話し方を見て

その場所だと、確認

確信する事が、多い

次々に、町を歩いても

どこに行っても、同じではないと

確認するのは、難しいが

それでも、それは、良く観察すればする程

通り過ぎた、だけではない

何か、異質な線の複雑な繋がりの

琴線を、たまに、見つけ

それが、鳴るとき

ハッと、気が付く事がある

私は、様々な都市を持って

一つの国と、考えているが

それも、その都市 村 町

により

更に拡大する事で

そこにも、同じような、線が、張り巡らされ

その構造は、さしたる違いはない

しかし、線が多ければ多いほど

それは、大きなうねりとなり

海へと流れ

それは、循環を、繰り返す

されど、都市から離れようとも、それは、より濃い

形となり変革を、続ける

同じと、考えるのは、考えが足りないのか

それとも、違う事を考えているせいか

道の横を、遠く流れる

川を見ると

船が、流れていく

きっと物資が、運ばれて行くのだろう

小さな、空間でも、世界は、回る

しかし、物流により

血は流れ

循環し

鬱血せず

それは、混じり合う

医療の中に、血を抜く事で

健康になろうという趣旨の医者が居ると聞いたが

私は、まるで、生き血を、浴びる

とある王族の話しを、思いだし

その使用用途のために、そんな噂を流しているのではと

仲間が、答えを、出していた

道は、土であったが、堅く固められた、それは、

石のように、堅く

雨さえ降らなければ、穴があけば、すぐに、入れ変えられる

便利な、物であろう

しかし、大きな都市や

この町の内部のように

石畳を、引く場所も、もちろんある

ただ、それも、やがて、すり切れ

ただでさえ、減少する

有限の石切場を、考えれば

その発展も

必ずしも、有効とは、考えられない

そう言う意味では

田舎の再生可能な

ぎりぎりの危険と隣り合わせの

生活も、実に、得てして、要領を、得ているのかも知れない

際限ないルールの中で

わざと、その北限を、定め

そのルールを、越えた場合を、用意する

救いとは、果たして、何だろうか

都市は、食べ物 病気 様々な恩恵が得られるが

しかし、際限なく膨らんだ欲望は、国に更なる見栄を張らせ、その役回りは、他に、流されることになる

まるで、川をせき止めて、崩壊させる

ビーバーのように

己の欲望のために

周りの環境を、破壊してしまう

その環境に、適応するか

それとも、それを、取り締まるか

結局、困っているのは誰なのか

我々は、続ける事が、出来るのか

町の端から端まで、歩くのに

半日もかからない

しかし、その間には、家々が、密集し

まるで、パズルのように、埋め込まれている

私の足は、堅い音を立て

その道が、石に姿を、変えた事に、気がつかせた

空は、曇り、今にも、雨が、降りそうである

私は、一人、雑多な中を、靴を、進ませながら

歩く

もしかすると、もう、異端審問官は

来ているのかも知れない

この場所から、近いとなると

カトルシア教会の異端審問官に、なるかも知れない

だとすれば、果たして、誰が、呼んだのだろうか

この町の教会で有れば、余り、裁判などを、したがる物では、無さそうだ

例え、それが、黒だったとしても、実刑を、言い渡した例など、今の所

この町では、聞いた事が無い

いや、世ほどのことがない限り

世の中で、こんな馬鹿げた裁判を、起こした例の方が

少ない

しかし、今回は、どうも違う

様々な事例は、見ても、大抵が、後手後手

せいぜい、私の出来るのは、それを、報告するくらいで

それ以上でも、それ以下でもない

例え、人が死んでも

私が、出来る事は、それを、確実に、伝えると言うこともある

その情報が、間違っていようとも

別の人間が、別の角度から、情報を仕入れる

その絶対数が、多い程、その信憑性は、あがるかも知れないが、逆に、それら全てが、嘘だった場合

全く、虚実無言だった場合

それは、意味合いが、変わってくる

誰かが、そう言う風に、噂を、わざと流した

つまりは、誰かが、裏にいる可能性

そうなれば、今度は、それが何故、そして、それが、誰かを、探す事になる

情報とは、言ってしまえば、ルールのようなものだ

文字がなければ、言葉は、通じない

いらないプレゼントは、ほしくない

直らない治療は、直らない

私は、宿まで帰ると

明日、町を出る事を、伝えると

部屋に戻り

テーブルに、羊皮紙を、置き

胸ポケットに、入れて置いた

チケットを、鞄に、しまう

部屋の窓を、開けると、明かりは、内部へと、進入してくる

その明かりの下に、置かれた木の丸い一人掛けのようなテーブルの前に座ると

私は、今日の出来事

普段とは違う事

今ここで何が起きているかを、書いておく

商会には、一応顔を出したが

裏切る事も、良くある話しだ

言っても、ここは、別の町

ここに、染まるためには

ここにいる人間に、ならなければ行けない

嫁いだ先は

もはや、全く別の人間になる事を、指し示している

人は、七歳までは、神の物

結婚すれば、その家の者

死ねば、また神に送られる

果たして、こんな人間の魂を、神は、欲しがるかは

全く不明だが

しかし、どう言うわけか

悪魔は、快楽として、我々の近くを、歩く

現世は、まるで、地獄のようである

それは一種

苦しみの方が、天国に近いのかも知れない

そして、楽を、求める我々は、まるで、悪魔に、乗っ取られたように、毎日を、楽しく生きるわけか

しかしながら、人の心に、線引きは、難しい

故に、ルールが、存在する

商会は、金 もしくは、その存在を保証するルール

その担保の他に、自分の土地としての誇りが、有れば、良いのだが

私は、出来るだけしっかりと

そして、細かく、文字を、インクを、染み込ませていく

正しさとは、難しい

もし私が、悪魔だとすれば

私が、嘘を、言っている可能性もあるし

嘘を、見方によって、していないと言い換える

言い切る事も、出来るかも知れない

それでも、私は、ルールに則り

ルールに従い

求められている情報を、求められている形式で

羊皮紙に、刻んで行く

「今年も、国王は、顔を見せない」

「隣村で、目の赤い子供が、産まれる」

「異端審問官が、来訪予定」

それは、意味があるかは、分からない

しかし、それを、積み重ね、調べていく内に

つじつまが合わない事が、存在すれば

それは、誰かが嘘を付いているか

何かが、全く違う証拠に、成り得る

食べ物の値段

工事

住民の変化

等々

その感じ方は、時として、職種により

全く異なることも十二分にあるだろう

しかし、私という存在が、それを、積み重ねると

それは似てくるし

そして、私の師匠の書き方

そして、物の書き方

見方

等々を、考えれば、有る程度、揃う気もする

気楽と言えば、そう見えるかも知れないが

しかし、実際問題、捕まれば、大事だ

人の口に蓋は出来ないとはいえ

私自身が、全く別の事を、言わされ無いとも限らない

部屋は、ようやく、徐々に、限りを見せ

羊皮紙に、影を落とし始める

私は、急ぐように、テーブルを、動かして

文字を、刻んでいく

だいぶ、書き終えたと言え

どこかで、間違えが有れば、大事だ

大抵のいざこざなど、ほんの些細なことから、起きるものだ

こんな、文章一つでさえ

意味を、はき違えれば

翻訳を、誤れば

大抵な事になる

実に、大変厄介である

それさえも、時代の、繰り返しのように

どこかで、必ず、行われる

故に、私は、そうならないように、何度も、何度も

何度も、繰り返し

昨日から、見た分も含めて

紙を見る

自分でも、読みやすい文章に、しなければ行けないのは、もちろんの事

相手も、読めなければ、意味がない

高い羊皮紙だ

自分で、買い直すのも面倒だ

それ故に、その文字は、事細やかに

一言一句

それに、見えるように、鍛錬

訓練されている

文字の大きさ

曲がり方

全て、が全て

私は、その中で、最後まで、何度か

目を通すと

それを、テーブルに、置き

鞄から、予備として、何枚も

所有している

油を、渋を、染み込ませた

特性の防水性の紙で、巻くと

特殊な縛り方で

崩れないように縛る

一見すると

普通の縛りに見えるが

それよりは、幾分も頑丈だ

その分、馴れないと、ほどききにくい事もあるが

私は、明日、商会に、寄って、次の町に行くことになりそうだ

その時に、馬車に、同乗

させてもらえそうだ

私は、一人、部屋で、夕食を考える

それは、まるで、悪魔が、私の中で、ほほえんでいるように、見えるだろう

人は、所詮

快楽の大きな流れに、束ねられてしまう




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