77四
静かな湖畔に浮かぶ月は、反射させながら
黒い池の中に、存在を、示している
岸辺では、ボートが、揺らぎ
風が無いというのに、湖は、動いている
煩わしい秋の寒気は、シンシンと湖を
冷やしていた
「えー、では、教科書の38ページを、出すように」
機械が、そう言って、何十年も、繰り返される
最適解を、今なお、人間的実践により
修正した、授業が、行われているが
しかし、この教えている授業でさえ、今の時代では、廃止の向きへと、向かっている
窓の外には、代わり映えしない
民家が見え
授業が、個別の家に変わってから
もう、百年と久しい
私は、自分の部屋のカーテンから、モニターに、目を移すと、私に興味が、ありそうな内容から、授業の核を、多少なりとも、標準を合わせ
結果的に、同じような、回答を得られながらも
それぞれの、興味の中に、其れが、埋没するように、出来ている
詰まりは、テストの内容など、どうでも良く
仕方ないから、其れを、組み込んでいるだけで
本に、教わっている物は、其れ以外が、非情に、大きな、重要性を、要していた
故に、知識が、かぶることは、余りない
授業の科目に関しても、然したる違いはない
ただ、部活は、殆どが、廃止されて
趣味か、仕事として、行う場合が、殆どである
全ての授業が終わる
十二時
私は、昼食に、家のリビングへと向かう
皮のエプロンを、定位置に置いた
父親が、リビングのテーブルに、座っている
見えないお勝手では、フライパンのような、鉄の板の上で、食材が、焼かれている音がする
私は、テーブルから椅子を引くと
それに腰掛けた
時刻は、十二時を、僅かに過ぎている
「今日はどうだった」
私は、新聞に、目を移している
父親に、そう言うと
その奥から
くぐもったような、短い声で
「まあ まあ」
と言う、返事が聞こえる
私は、湯飲みの中の緑茶を、口に、注ぎながら
皿が来るのを、待った
鉄の容器から、手早く、わけられた食材は、
白い皿の上で、原色じみた色合いに、僅かに、焦げ色を付けて
それぞれの椅子の前に、置かれ
私は、箸を前に、母親が来るのを、待つ
テレビ無く
古くさいラジオが、リビングの壁際の机の上に、どっしりと置かれている以外
母親のフライパンを、軽く洗って、火にかけている音しかしない
ラジオは、付いていないが故に、時折、新聞が、ぱさつく音が、耳に良く入る
「では、食べましょう」
私は、モヤシと目玉焼き
後は、油味噌を、見ながら
手を合わせて、昼食を開始した
時刻は、十二時10分を、回っている
父親は、新聞を畳んで、立ち上がると
一人、リビングの新聞入れに入れて
そのまま、台の上の、ボタンを押して、定位置のような
ラジオの局番を、流す
ボリュームも、安定しており
そのまま、音が、流れだし変えることはしない
ニュースが、始まる
何時もこの時間帯だ
「えー、路図ウェルト事件から、今年で、早三十年
みなさまのご健康を願うとのことです。」
音が止まり、番組が切り替わる
「では、お昼のニュースです」
何時も聞いている音声が、同じような、音と共に
流れ
其れが終わると、お決まりの定説のような
文言を、一語一句変わることなく
アナウンサーが、しゃべる
この人も、もう何年同じ事を、繰り返すのだろうか
そろそろ、下克上ならぬ
人員交代を、望む、若者
いや、ベテランが居てもいいとも思うが、
恐ろしい事である
メロディーが、流れ終わる頃には、ボリュームが小さくなり
変わりに、アナウンサーが、ニュースの切り替え
の趣旨を、話
番組が、始まったことを知らせた
私は、ナイフで、目玉焼きを、つつきながら
考える
「では、今日のニュースでる
またいさ地区に、イノシシが、出没
人間五人が、重軽傷
直ぐに、またぎや猟銃会が、出動し
一人の殉職を、後に
捕獲、解体されました
ご冥福を、祈ります
次のニュースです
桜前線が、長引いたため桜が疲労
五割ほどの浸食が、見られ
県の樹医師が、総動員し
隣の県からの桜木博士を、用いて、診療が、見られております
今年は、サガチュル・ガルガルスの増加が、見られませんが
それでも、去年の大規模な、災害もあり
被害も、心配される声もありますが
今現在 県の樹木研究機関の発表では
五~三年の休眠期に、入ったとのことで
県の予算編成及び
対策が、いよいよ望まれています
では、圏内の天気予報です
地上たがいに地区一万メートル付近で
席嵐芸の巨大な、発生を、確認
その地域は、のがなからまんぐ地方に、最初の上陸事
から、発展
地上陸上隊及び
ニイガタ特選軍が、上空への対策を、飛行機
及び、機器により対応中のこと
地上より席が、落ちてくる可能性が、非情に大
ですので、その地域
つまり、ホニ中央県のみなさまは、毎年のように
気をつけて、外出は、自粛し
備えた方が、よろしいです
では、大雨による増水により雨が海に流れ
いかっほの大蛸・・」
ご飯の上に、油味噌の味が、落ちている
それを、箸で、すくいながら口に運ぶ
なすは、やはり油味噌に限る
其れ以外は、認めない
しかし、どうして、なすはここまで、油に合うのだろうか
まるで、とろけるようとさえ言える
この普通に食べたり漬け物ではなく
ここまで、味付けの味が、絡む物は、野菜に置いて、
存在 しえないのでは、無かろうか
なす
調理次第では、化けるが
それ以外は、あまり、私にとって、其れは、良い存在とは言い難く
故に、其れが、他に、類を見ない
あげることにより
スポンジのように、液体を、吸い込むことにより
この唯一無二の野菜として、料理界に、君臨する
夏の救世主ともその悪役は、変わるのだ
油味噌のマジックに、酔いしれながら
私は、お味噌汁に、口を付ける
時刻は、十二時三十分
私は、脳を、溶かしながら
食事を、継続していく
頭の中に、味という物に対する
感想よりも
その素材という物への、疑問符が
たびたび浮かんでは
ナスと踊っている
考えは、考えることで、考えとナス
私は、思考実験を、舌の上で、行うのと同時に、
食事の終演を、感じ始めていた
下の上に、お茶を、流し込むと
手を合わせる
時刻は、十二時半
私は、席を立つと、洗面台に、向かう
「今日 午後88時より、南
こわび方面から
地雷ヵが、打ち上がる予定です
ご家族、お問い合わせの上
見物に、いらしてください・・・」
私は、扉を閉めながら
もうそんな時期かと、ふと考えるのである
階段を、通り過ぎ
洗面台へと向かう
そこで、歯ブラシを手に取り
先にもう一度口を濯ぐ
時刻は、12時半を、回っている
私は、思考を巡らせながら
ため息を付く
重い暗雲が、午後の表に、わき上がっているに、違いないと
その心情は、語っている
何処までも水平な道の中で
現実は違う
されど、水平と言う概念を元に
行動を、上積していくことは、
正しいことなのだろうか
洗面器の前の鏡には、歯磨き粉を、膨らせた
頬が、歯ブラシを、つっこまれて延びている
唾液混じりの液体を、吐き出し
私は、鏡を見て、朝以来
もう一度、顔を洗うと
二階に上がり
リュックサックを背負い
表に出た
私の予想とは違い
ぎらつく明かりが、雲の僅かな細切れにも似た遮り
から、太陽光を、まんべんなく
降り注ぐ、その光景は、審判の日か
地球に巨大な隕石でも火の矢でも
降り注いだほどに
暑かった
もうすぐ秋と
誰が予測できたのだろうか
表に出た私は
そのまま
市電を、乗り継ぎ
30分ほどで市民会館へと、足を延ばす
ぼちぼちと、たくさんの人が、まばらに、移動している中を
私も同じような、流れのまま
移動をする
クーラーは、利いては居ないが
其れは、一階だからだろう
上階の屋上に、近いわけでもない
この階段を上ったところにある
エントランスは、日光が遮られ
まるで、冷紗で、さえぎられたように、コンクリートに、隔たられている
そのまま、まばらに、回遊するプラスチックゴミのように
流れに任せるように、進むと、そのまま大きめの幅が広い階段を登る
そのまま、足を進めて、私は、大ホールではなく
小さな、部屋の一つに、廊下を進み
入る
その部屋の前には、長いボードが、看板のように、各部屋に、立てられており
その部屋の使用者が、その内容を、下のエントランス
に、ある階事の使用している物を、書き込む
巨大な看板に、水性ペンで書かれたように
同じ事が、そこには、記されている
扉を開けると
和室であり
着物姿の老人が、一人、鏡を前に、お茶を飲んでいる
さして、暗くはないが
部屋の上にある電気が、点灯しており
蛍光灯が、白く、部屋を照らしている
「師匠 おはようございます」
私は、頭を下げると
鏡越しに、こちらを見て、振り返るように、手だけを、あげて
「よっ」
と、それに返事をした
私は、繰り返して、覚えた物を、また一から、言わなければならない
それに意味があるのか、其れは、型があるのか
人は、何を見て面白いのだろう
そこに意味など、私は、あまり見いだせずにいた
暗い劇場内
大ホールに、観客はおらず
静寂だけが、その行灯のようなホールを、照らしている
一人として、観客の居ない座席の反対には
木の床の舞台が、設置されており
誰も役者も芸人も
いや、舞台に立つ者は居ない
私は一人
照明室と言う、高い背後から
その客席を、見下ろし
一人考えている
どうしたものか
一人で居るには、どうも、不気味な、感覚を
一人の私は、一人でに、考えている
他に、其れを見ている者も居ないし
私自身、それに、余裕を、配っている余裕もない
静寂の中
私は、陰のような物が、照らされた舞台に、
いや、袖の方で、動いているように見える
いや、それだけではない、観客の座席の中
その暗闇で、虫のような物が、動いている気さする
果たして、あれは何なのだろうか、私が、一人、考えすぎているからこそ見える
幻覚か、事故催眠の類だろうか
そうだとしても、私は、其れを確認するために、わざわざ、この高い位置から、下へと降りる気には、到底成れなかった
それは、絵だとわかっていても、だまし絵の暗闇の何処までも続いた穴へと、足を踏み出したくないように
誰も居ないはずの廊下で、誰かの足音を聞いたような
私は、其れを、確認するほどの、
利益を、得られないと、判断したが
しかし、かと言って、まだ、この場所を離れる時間でもないのに
廊下に出ようとも、考えられずにいた
故に、一人、あの下の
ホールの光景から、目を離せずにいるというわけである
この状況に、至までの解説を、簡単にすれば、以下の通りであろう事は、簡単に、推項することも出来ようか
私が、師匠の前で、んにし酒屋を、演じていたとき
ふと、電気に、音がしたと思うと、電気が、徐々に、暗転を、繰り返し
暗く沈んで付かなくなっていく
私は、それでも、続けることを、続行することも考えたが
そうは言っても、それに対して、気になるやも
師匠は、思うかも知れない故に
顔を向こうに向けると
仰ぐように、その鶏ガラのような喉仏を
上に向けて、電気を、眺めている
私は
「蛍光灯を、取り替えれるよう、予備を貰ってきましょうか」
そう言うと、心ここにあらずという感じで、
師匠は、頷く
私は、其れを見て、正座を崩して、外に出た
停電というわけではないらしく
その普段は、作品も展示してある
広い廊下を、歩き、階段まで行き
そのまま、下階
最下階へと降りると、事務所に、顔を出して、
そのことを言うと
用具室へと、案内され
色々な、備蓄が積まれている中で
蛍光灯の箱を取り出すと
中から、本体を、私に渡す
暗い、その中で、其れは、光る剣のように、白く
私は、其れを、受け取ると
礼を言って、一緒に外に出た
以前、オリンピックが、開催された折りに、飾られたと見える
バレーボールが、二足歩行で、笠をかぶった狸の置物のように、場違いに、ぽつんと、ガラスケースの中に
展示されて
他にも、まばらに、色紙やそのときのチラシが、配列されている
私は、その陳列された物を、通り過ぎ、分かれるように、階段を、登る
いつの間にか、廊下は、誰かが、電気を消したのであろう
暗い
まだお昼であるが
しかし、日中でも
窓のない
その両脇が部屋の
その階は、薄暗く
一番向こうは、大ホールに繋がる
通路であり
どん詰まりではなく、道が、ある
私は、そのまま、途中まで、廊下を歩き
先ほどまで居た
部屋に入る
ボードには
鶏邸の文字が、乱雑というか、達筆な字でかかれているが
私は、その襖を開けると
中に入る
そろそろ、日が、かぎってきたようで
ブラインドの白い線の向こうの明かりは、徐々に、暗さを、日除けを、施さなくても、閉ざして来る
私は、和室の畳の中
どうやって、蛍光灯を、交換しようかと、部屋を見てさらに思案する
いつの間にか、いや、私が出て行っている間に、
師匠の姿はなく
ただ、部屋の隅には、パイプ椅子が、一つ
置かれている
私は、其れを見ながら
変わりない
部屋で、蛍光灯を、一本持って
板張りの靴置き場のような
小さな玄関で、それを、観察していた
トイレにでも行ったのだろうか
私は、思案しても、答えを得ることなく
しばらく待ってみることにした
壁のように、塞ぐブラインド
それから、日が漏れる
しかし、暗い
電気がついていないのだから、当然だ
待っている必要性が、特にないことに気が付き
椅子を、天井に、打ち付けるように設置してある
蛍光灯の設置できるようにしてある配線先の器具の下
パイプ椅子を、その場所まで、持って行き
設置したとき
玄関で、音がした
師匠が、帰ってきたのだろう
暗闇の中で、痩せた着物を着た老人の姿が、あり
目が、浮き出したように、見える
「どうした、まだ変えていないのか
何処も暗い
廊下もだ
お前、練習は終わりだ
今日は、これから、ホールの予備練習だ
照明を、練習して来い」
私は、師匠に言われ、蛍光灯を、変えようとしたが
邪魔そうに
「其れは後で良い」
そう言われ、入れ替わるように、暗い部屋に、師匠一人残して、同じような、廊下に出ると三階へと
向かう
私は、どうも、その時、胸騒ぎがしていたのだ
其れが、何かと聞かれても、正確には、答えられないし
其れは妄想じみた
何時もと違う
いや、暗闇に、恐れ、おののいていた、だけなのかも知れないが
しかし、問題は、そこではない
私は、予定通り
スポットライトの練習を、しなければならないのだ
照明室は
三階だ
廊下を出て
二階から三階へと向かう
天井付近の窓からは、明かりが入るが
しかし、其れも、正確性を欠き
まどろっこしく、天井辺りを、照らしている
私は、意識を、強く持ち
そのまま、階段を上がる
三階に行くと
端には、トイレ
その外側に、積み重なるように、水道と給湯場と戸棚に、急須が、もうけられている
僅かに明るい室内も
廊下に目を向ければ、向こう側の
窓から漏れる明かりしか、廊下を照らす存在はない
その中央に、そのまま、大ホールを、そのまま背後に、持ってきたように、その照明室の入り口が存在する
鍵は、持っている
師匠が、勝手に、なのか、公認なのか
それとも、単純に、貰ってきたのか
私の手には、何もかかれていない
銀色の鍵が握られており
中央まで歩くと
この施設の中で、二番目に大きい部屋
を、背後に、その扉の前に立つと
ドアノブに、鍵を刺した
背後の部屋は、廊下全てを、ぶち抜いたように、部屋に区切りが無く
ちょっとした、講演をするときは、ここが使われることが、多い
私の目線は、其れが、カチリと
その環境に対して、余りにも小さな音を立てて
開くことを知る
これだけ巨大な建物で、その小さな鍵は、余りにも
砂粒のように小さく
其れが、何かを動かす
もしくは、重要だというのは、非情に、奇っ怪に写って、仕方がない
私は、ドアのぶを、回すと
部屋に入る
舞台には、何故か、もう明かりがついており
中央の木の舞台を、照らしている
と、ここまでが、先ほどから面面と連ねた
説明文のパッチワークのつなぎ目までに成ると言う訳である
私は、一人、室内にはいると
部屋の明かりをつける
薄ぼんやりと、明かりが点灯するが
あまり、明るくはない
部屋の中からは、まるで、飛行船の観覧席のように、窓ガラスが、迫り出し
全てを、一望できる
私は、前に、一歩足を進めると
スポットライトに、その手をかけて、鉄製の黒い其れを、ゆっくりと動かすと
まるで、泥棒でも、追っかけるように、其れが動いた
しかし、その時になり、私は、ふと、あることに気が付いたのだ
どうして、私は、照明室に、入っているのだろう
もし私が、舞台を、いじるのであれば、
ここではない
少なくとも、そんな派手な、演出を、好むような人間では一切無く
何だったら、電球や、蛍光灯の明かりで、さえ、どうでも良いと、言うような、人が、果たして、私に
そうだ、そう言えば、本当に、ここに行けと言ったのだろうか
私は、ふと疑問に思ったとき
会場の明かりの中に、何か、黒く動く物をみた
それは、強い明かりに対して
目が、何か、錯覚を起こしているだけなのではないだろうか
そう、認識しようとしていたが
しかし、どうもおかしい、其れは、さざ波のように、
草むらで、草が、揺れるように
客室の足場の暗闇さえもが、動いているような、気がする
目の錯覚が
幻覚か
それとも、そう見える何か、照明のちょっとした感覚が、あるのだろうか
しかし、現に、其れは、そこには、そんな、感じが
揺れている
何だろうか、あれは
目を凝らしても、遠すぎて見えない
しかし、誰もいない
この大ホールで、それは、ゆっくりと
ちろりちろりと揺れているのである
見間違えようもなく
それは、私の肉眼に
脳に、其れが、動いているように、映し出しているのか
はたまた、其れが、認識できるように、見えているのだ
私は、時計を見ると、まだ後
30分ほどは、ここでの行動が、終わらないと
電子タイマーが、五時30分と
表示を、点灯している
薄暗い、この部屋で
台の少し下側にある
その表示は、やけに、明るく私の目には、表示された
まだ、後30分
先ほども思ったが
後ろの廊下へと、飛び出しても良いが
何か、いやな感じがまだある
まだ、時間はあるのだから
この安全のような気がしている
この部屋にとどまっても良いはずだ
廊下に出たら、あの黒いうごめいている
存在が、にょろにょろと、部屋に、入り込んでこない十限らない
諸々を考慮して
もろもろと、あいつが、入ってこないとも限らないので、私は、心を制限し
最後まで粘ってみることにした
しかし、ここで、下の事務所に、電話を、かけない辺りに、
私がまだその存在を、強く疑っていることが、表示されているようである
これは、本当か
私の目の錯覚ではないのか
このガラスは、私が、見ているだけで
テレビの画面のように、本物の映像と行動が、合致していないのではないだろうか
さわってみるが、冷たい水晶よりも冷えた感覚が伝わり
何処からどう見ても
其れは、厚い分厚いガラスのように見える
こう見ると
水槽の中を、ミニチュアの中を
世界を見ているようで
実は、私が、その中から
この小さなミニチュアを、見られているような、
そんな感じに、感じ始めた
そんなことは
いや、あの黒い物に、意志はあるのか
そう言えば、今日の下でやった、落語だって、元を、辿れば、後世になってから、忌みとして、その存在ばかりが、内容を抜きにして、考えられたものだ
そう思えば、其れが、現実として、存在しても、おかしくはないのかも知れないが
不思議でもない
まあ、現実的には、それているような、気がして仕方がないが
どちらにしても、私は、この状況下の中
思案する
まだ、ここに来て、一度も、行動していない
しかし、このまま留まるわけにも行かないだろうか
私は、部屋の中
暗めの照明の下
ピンポイントに、小さく照らされている
テカるような、色合いの
クリームの電話の受話器を取る
この電話にかかれた
1を、押すと
しばらくして、受話器に、ガチャリという音と
「はい、事務所です」
と言う声が、聞こえた
感じからして
寺内さんだろうか
「あの、すいません、照明の練習を、しようとしているんですが
大ホールに、明かりがつけっぱなしになってまして
そのままにして置いた方が良いんでしょうか
私は、一向にかまいませんが
最近は、節電節電、うるさいですから、どうでしょうか」
私は、電話の先を疑う
「ああ、大丈夫ですよ、そのままで、ふるい電球に、新しく取り替えたんですが
一応、点灯し続けられるかの実験なんです
まあ、邪魔でしょうし、消しに行きますよ」
私は、まるで、研究室の実験を傍観している
一般人のような、残虐な感情を持っているのだろうか
しばらく、じーっと、受話器が切れると
其れを直ぐに、元の位置に掛け直して
また、ガラスの舞台をみる
すると、しばらくして、一人の男が
いつもの格好で
下の出入り口が、上で光っている場所から入り
舞台に上がると
そでに消えた
しばらくして、電気が、一つづつ消えていく
私は其れを傍観しているが
相変わらず黒いうねうねしている物は
相変わらず、暗いところで動いていたり
舞台の段幕の下で、うごめいている
しかし、その光景が
彼には、見えなかったのだろうか
全てが、消えたとき
完全な、暗闇ではなく
薄ぼんやりと、小さな照明が、辺りを、星のように、照らす
しばらくして、動く陰が
その暗闇に、舞台から降りてきたとき
私は、虫が、四方八方から
地面の草が、風に揺れるように、空気中から
其れが、その姿にと
飛びかかるように、押しつぶすように
瞬時に、集まり
一瞬にして、砂場に、磁石を入れたときのように
一瞬にして、黒に、まとわりつかれた其れは、瞬時に、霧散し、その存在を、私は、確認できないでいた
あれっ
何度もみる
しかし、完全ではない、暗闇に、彼の姿を、探すことができない
一瞬のうちに、座席にしゃがみ込んだとかあるかも知れないが、しかし、では、あの集まった、黒い影は、何と、説明すれば、良いのだろうか
私は、戦々恐々、その場にいた
何か、居るのかも知れない
「おい、知っていて、呼んだな」
私は、最初、其れが自分の言葉か
それとも、
何かの機器が、鳴ったかと思った
しかし、其れは、言語として、そして、私が理解できる言葉として、そこに存在しているときが付いたとき
誰かが、この部屋にいることを、示唆している事態が考えられることに、気が付く
「誰です」
私は、そうは言わず
振り返る
誰も居ない部屋だったはずだ
そして、その声は、先ほどまで、ホールにいた寺内の姿を、彷彿とさせる
先ほどまで聞いた声に、酷似している
しかし、一瞬だ
さっき消えたばかりだ、手品のイリュージョンでも
いや、双子のトリックか
しかし、寺内が、双子なんて聞いたことがないし
なまじ、遠かったが
あの姿は、寺内に
私は、部屋の中に、人影を、いや、誰かが立っている
何処から、何時
其れは、誰だ
人間なのか
幽霊などあり得ない
いや、それは、私が知っている言葉で言い表せる類の存在という保証はない
それ以外の存在であれば、其れは、形容詞
しようがないのだ
その暗い中
薄暗い照明に、見える顔
そして、ぼんやりと見える
服装は、
間接照明であろうと、暗闇ではない
はっきりと見える
どう見ても、寺内さんだ
「どうして」
私は、そうつぶやく
「痛かったんだぞ」
それは、幽霊のようなことをいって、私に、文句を言った
何だろう、この悪意にも似た悪戯心は
どうも、いやな予感がしていた
人の感覚とは、こちらに伝播するが
しかし、其れが、必ずしも、正しいかは、置いておくとして、まあ、ある訳だ
「寺内さん、半笑いですよ」
私は、そう指摘すると
ハ・ハ・ハ・
と、乾いた笑いを漏らし部屋の明かりをつけると
眩しい
「しかし、リモジフ君も、ノリが悪いね
ここは、なっなんだってー
くらい、言って、驚いて貰った方が、良いんだよ」
十二分に、戦々恐々、驚いたはずであるが
見ていなかったのであろうか
そう言って、彼は、どこかのボタンを押すと
電源が切れたように、
舞台は真っ暗に、ブラックアウトした
「何ですか其れは」
しばらくして、見ていると
其れは、徐々に、ゆっくりと、寺内が、ダイヤルを、ひねると
透明というか
半透明に変わり
やがて、暗い大ホールの
いつもの姿が、浮かび上がってきた
「いや、君の師匠のすらがけあさんに、頼まれちゃって、あの題目を、やるのに、何も起こらないのはおかしいから、お前やれなんて、言われちゃって、困ったものだよ全く持って」
普段から、コンピューターを、いじっている人間が
その創作物を、披露しただけのことか
困っていると言っても、良い実験対象が、現れて、うはうはしているような、顔をして、肩を、耳元まであげている
寺内を、殴打して、この場所を出て行きたい気もしないではない
「すいません、内の師匠が
しかし、良くできていましたね」
ああ、と寺内は言う
実に、愉快そうに、機器から、CDロムのような物を、取り出す
機械には疎くて仕方がない
先ほどの演技も、ようやく最近
実際に、覚えて、経験したものだ
実に苦しい試合であったと、戦いであったと
私の機械音痴の体は、悲鳴を上げている
「ああ、君が、やかざんにしを、やっているときには
もう、準備はしていたからね
実に、大変だよ
あの黒い影なんて、特にね
僕の映像のデーターは、もう取っているか
空を飛ぼうが、宇宙船で、エイリアンに、おそわれようが、自由自在だ」
一体普段何に使っているのかは、聞かない方が良いのだろうか
「もちろんえっちいこともだ」
私は、需要のなさを、考えながら
部屋を出て、一応、寺内が、出てくるのを待つ
「ははは、待っててくれるなんてさ、ははは」
そう言って、鍵を閉める彼に、私は、銀色の、師匠から渡された鍵を渡した
「ああ、ありがとう 予備を無くしたら大変なんだよ
君が、其れを、窓から放り投げないでくれる辺り
うれしいよオジチャンは」
何時この人が、叔父ちゃんに、成ったかは知れないが
年齢相応である
「師匠と、グルで
あの人が、鍵を、自分でもって居るとは、あまり、どうも、無かったもので、妙だなと、考えていたんです」
そこか
彼はそう言って、先に歩き始める
【そうかそうか、そこら辺も、詰めを、甘くしちゃいけないのか ふむふむ】
一人歩く男は、歩き馴れて居るのだろう
軽快に、階段を、一歩一歩歩いていく
私は、その後を、一人応用に、並足する
「それじゃあ」
彼は、あとはまあ、とか言いながら
階段から手を振る
私は、分けれ、二階の部屋に戻る
まだ師匠が、居るかも知れない
私が、部屋にはいると、暗い中
電気をつけると
白い紙が目に入る
其れは、ワープロでも打ったかのような
フォントであり
「今日の授業は、終しまい」とかかれている
私は、仕方なく、電源のスイッチを押した




