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    七7四

長い行列の誰のかも、白い布か和紙がかけられ

表情を、見ることは出来ない

糸より細い三日月が、夜に浮かび

その下を、黒い袴紋付き和服を着た人間が、白い足袋を

歩く足く度に、ちらちら、揺らしながら、前進している

果たして、どこに行くのだろう

私は、ライトを向け、反対方向へと、向かった



黒い国道の道路

ライトだけが、丸い穴となり

黄色く、その場所を、照らし

異物が、無いかを、確認している

黒い道路は、アスファルトであり

極端に、妙な物がない

田圃の畦の砂利道に、比べれば

少なくとも、山の中や

下り坂でなければ

あまり、障害物の危険を、感じることは、少ないだろうし

実際あったときの危険度は、主に、平地よりも

前者の方が、格段に、危険極まりない

まるで、坂道の障害物とは、ジャンプ台の坂道のように、恐怖に、おののく存在である

幸いなのか、私は、今現在、自転車や、バイク 車には、免許もないので、もちろん乗っては、おらず

ただ、白い点を、追うように、道を歩いている

辺りは、誰もいない

シーンと、静まりかえり

ぽつりぽつりと、家の窓から、明かりが見える程度である

後は、電柱に、ぶら下がったLEDライトが、その電柱の99割を、締めており

希に、電球を、見つめることがあった

誰も居ない道を歩く手順として、前方を、良く良く確認しなければならない

なぜなら、事故とは、意識しないところで起こる

それ故に、誰も居ないと思っているようなときが

一番、事故率が高い

それは、急カーブよりも

田圃のような見晴らしの良い平地のような場所が、一つの例に挙げられる

誰も居ない

そう考えても

実際には、そこには、人が存在する

私とあなたは、違うのである

転々と、続く

黒い道の表面は、凹凸のない光沢感のある物ではなく

クッキーを砕いた上に、チョコレートのような物を

混ぜ込んだような、粘りけのある形状に見えるが

踏んづけても、沈むことなく、また、割れることもない

その道の両端には、側溝が、流れ

遠くの方まで、続いている

果たして、どこまで行くのだろうか

空は、曇り多く

見通せないことが、その存在の証明となる

星がないのも、その理由の一つだろう

誰も居ない

そんなことはない

しかし、定義付けすれば

それは確かに、誰も居ないだろうが

実際問題

血が、表に、分かる形で、出ていないだけで

体内では、巡っているように

壁を隔てて中は、人が存在している

そう、その差とは、意識しているか

していないか、なのではないだろうか

私が、一人だと考えていても、

部外者が、それを目撃していれば、そうではないのかも知れない

たとえば、私の周りに、私が見えないだけで、

潜んでいる人間がいれば、

それは一見にして、いっぺんに、一人ではなく

多人数もしくは、大勢と言えるのかも知れない

大勢の定義を、何人にするかは難しいが

一人以上を、多人数とすれば、その延長線上の

どこかに、存在するだろう

しかし、ながら、数とは、その数が必要が故に

存在する存在だ

それ故に、必要さが、あまりない方が、ある意味、平和と言える

目撃者に、私が、家の中から

窓の奥から、見られているのであれば、

私は、一人なのだろうか

舞台の上のピエロは、一人と言えるのだろうか

それは、一つの会場で、室内で、同じ場所にいる

しかし、舞台を隔てる

存在は、大きいのか

では、空中ブランコの二人は、どうであろう

もう一人居なければ、成立しないような

出し物の場合

彼らは、孤独ではなく

共通だろうか

それとも、自分のやるべき事をしなければならない

信用した上で、一人なのでは無かろうか

演劇の役者は、どうだろう

何十人だろうと、四、五人だろうと

彼らは、その中で、一人なのか

それとも、場所場所なのか

それこそ、舞台を、一つの異空間

家だとすれば、袖に出てしまえば、それは、観客とさしたる違いはないのかも知れない

では、その中とは、一人なのか

自ら考えず

でている文字を、口にした場合

それは、超絶不自然だ

しかし、それを自然に見せるという

おきまりを持って、それは、普通に見える

いや、異質であればあるほど

それは、ごく自然として、認識される

なぜなら、それは、わざとだから

では、役者は、与えられた文字同士で、しゃべるわけだが

この場合

彼らは、何を、どうして、そこにいるのだろうか

彼らは、果たして、文字を読んでいるのか

それとも、空間を、楽しんでいるのか

いや、ただのマネキン人形なのだろうか

そして、それを見る、部外者は

その個を、個人として、見るのか

それとも、一連の流れとして、見るのか

異質であれば、あるほど

それは、非現実的であり

それは、テーマに、乗っ取れば、うまい

と言うことになり得ないか

私が、今一人で歩いている

しかし、これは、私という役者が、私という観客に向けて、演じているとなると、やはり、それは、強制的に、無味無臭 意味のない孤独となるのではなかろうか

私は、一人である

しかし、それらを傍観したとき

私が、二人を、私(演じている)わたし(傍観している)は、合計、二人

つまり、二人になる

そして、もしかすると、その二つを、客観的に見ている

第三第四の私

そして、それらを見ているであろうという事を、

見ている私が、存在していれば

個とは、定義的に、存在せず

そして、それを、肯定している

私以外を、認識してしまっている

私以外の、生命体は、人間という

共通認識を、多く持っていない生物でない限り

多くは、前者を、含めても

何か、多人数の個ではない

何かを、感じる

のでは無かろうか

それは時として、幽霊や、雰囲気として

存在している

つまり、認識が、科学の手に届きそうなところまで、におわせてしまっていると言うことになる

しかし、しょせんは、それは、間接的な話であり

つまりは、役者の台本と

現実的日常会話くらいの差がある

良くしゃべる人間だからと、お笑い芸人に向いるとは限らない

どちらかと言えば、それは、日常会話のプロであり

芸人とはほど遠い

では、その差は何だろうか、

非常に難しいが

非現実的に、吹っ切れるかどうか

人が挨拶を、十回練習するところを

千回 万回 練習すれば、その差は

異質となり存在する

しかし、それは、非現実的、であり

ストーリーの行き着く先ではない

つまり、現実ではない

それ故に、練習すればするほど

それは、非現実

現実離れした物へと変貌を遂げ

そして、非日常的、ストーリーがのさばることになる

故に、現実でありながら

現実足り得ない

しかし、それは、現実と、ほんの少し違う世界を、みるには、ミルフィーユかパイ生地を、めくるように

最新の技術が、必要になってくる

それを、見分けるための努力、技術なのかも知れないが

それはやはり、役者としての、うまみであり

現実的、ストーリーとしては、寄せなければならない

ただ、それを、否定するのは、軽率でもあり

また、それが全てでもないのは、事実である

相手を肯定することで、相手も肯定される

故に、見る側も、肯定される

しかし、全てを否定してできあがった物は

肯定を、不要とし

それらのつながりを、不必要とする物が、求める

故に、それも一つの世界であり

それ故に、その果ては、際限なく、不明である

肯定故に、進むことが可能であれば

否定故に、止まることが出来る

それ故に、両者を、肯定否定し続けなければならないのかも知れない

私は、一歩足を進める

果たして、これを、観客的、立ち位置からして、なんと、形容するべきであろうか

その動作は、客に、何を、質量として、もたらすのであろう

いや、それは、客だけではない

演技者にしてもそうだ、ストーリーにしても

いや、演劇においての、ストーリーとは、ストーリーなのだろうか

それは、オペラで重要なのは、曲であり

ストーリーではないように

演劇において、重要なのは、ストーリーではなく

台本なのでは無かろうか

そんなことは、無い、そう思おうとしながら

私は、僅かに、一歩足を進める

夜は長い

まだ九時を、すぎていないだろう

私としては、意外なほど、早い散歩である

もちろんこの場所は、黒日ではない

もちろん、夜としての意味であり

昼間は、明るく

白夜では、もちろん無い

辺りに時計はないが

出かけがけ

下駄箱の奥の廊下の時計が、短く九を延長線上に

さしていた

他にも、秒針が動いていたが

九時であろう

もう一つ 最後の分針は、記憶は、あやふやだが

あの時針の立ち位置から、さして、通り過ぎては居ないから

九時に近いのでは無かろうかと推測する

もしかしたら、隠れていたのかも知れない

時針の前に同化するように

なにぶん暗いのである

目視にも、つらい物が刻々とある

歩みを進めなければならない

もう少し歩けば、田圃の真ん中に、離れ小島のように

豚小屋が、建っている

その向こうの森まで、私は、今夜は、行かなければならない

星はなく、そして、転けるためではなく

誰かが見たときに、人が居ることを、指し示すために、ライトが、揺れている

真の闇夜とて、明かりは、屋内よりも、よほど漏れる

それがないのは、森という名の密閉か

水の中くらいのことだろう

私は、薄暗い中で、目を開ける

きっと、より多くの光を、集めるために、カメラのレンズが、絞りを開くように

いや、目の瞳孔が、より大きくなり

黒目が、白目よりも拡大している図のように

私の目玉は、いや、黒目は、明かりの下よりも

より大きくなっていることだろう

その目が、何かを、捕らえている

それは、不可思議なものであり

近くで、夜通しマラソン大会でもあったような

いや、それ以上に、奇妙な光景だ

それは、儀式か、お祭りか

一列に並んだ、喪服の集団が、騒ぐことなく

乱れる事もなく

ゆっくりと、一人一人が、線のようになり

黒い闇にとけ込むように、歩いている

初めこそ、黒い闇が、揺れている違和感に、目をしばたかせ

それが、現実的、違和感として、認識したとき、それが、人だと、認識した

しかし、不可思議なのは、喪服もそうだが

その顔につけている

白い布か紙のことであろう

それは、まるで、死人に、誇りが被らないように

白い布をかけるように

人々の顔に、それが、当てられている

何なのか、

田舎であるが、こんな儀式、見たことも聞いたことをも無かった

これは、何か、何をしようとしているのか

葬式にしたって、こうやって、歩く理由が、無いだろう

それとも、これは、幻覚か

幻覚にしたって、妙なことこの上ない

顔に、白い布をかけた状態で、果たしてどの程度、視界があるのか

それに今夜は、新月のような、細い三日月

しかも、月以外は、雲に隠れて見えないような

有様である

到底、その人間が、まっすぐ、前方の黒い喪服に、ぶつからず

そして、なおかつ、転けないように、歩くのは、奇妙に、感じられる

居ないと思うから、そこには、何も居ない

しかし、それは、気づいたから、そこに存在は、存在し得るのか

それとも、私は、ここに存在しているのだろうか

前方の細い黒い行列に、認識されたから、私は認識したのか

それとも、相手が認識したから、私が存在しているのか

そんな、じゃれごと、猫の毛糸玉ほどに、もてあそばれるだけで、意味がない

列は、ゆっくりと、歩いて、森に向かっていく

俺は本当に、人なのだろうか

人に見えるだけで、本当に、幻覚の可能性はないだろうか

たとえば、この、一定の距離で、見える白い紙は

四角い物が、歩いているように見えるが

しかし、それは、一定に、立っている電信柱の

看板を、私が、そう暗闇で、認識してしまっているだけなのでは無かろうか

私は、それが、何なのか、分からない

新しい集団なのかも知れない

しかし、私は、ここから離れた方が、そんないろいろを考えるよりも、よほど得策かも知れない

しかし、私は、ライトを消すと

その集団の最後尾を見る

老人と言って良い程の

歳に見えるが

体格良く

最近の若者よりも頑丈そうな、四角い体躯を、している

それが、ゆらり、ゆらりと、提灯を、立てながら歩いている

果たしてどこに行くのか

私に行く先は、田圃の豚小屋から逸れ

暗い森に続いていた



「じーぃじじ」

ラジオPCから、音声が流れる

パネルのないそれは、それでも、小さなオレンジ色の

液晶パネルを1、5×3cmの文字盤に

何かを、示している

それは、番組名

ボリュームの大きさ

現在地

様々

天気もあれば持ち主の指名まである

ただいまのゲーム実況

ソラリスソクラテス

実況ヒヤシチュウカ

気温三十度

天気雨

12時頃には、晴れる予報

降水確率30パーセント小雨

CMが、終了して、私の声により

番組内のコーナーが、機械音声により

設定された声音にて、再生朗読される

本来であれば、これは、画面を自ら見て、再生するものであったりするが

しかしラジオPCは、全て、肉声により

勝手に、それを調べ、ウェブで、あろうとも

音声で、それを、読み込むため

全く、手を動かすことはない

一応、電源 ボリューム パネルの明るさ

等々

手動で、上下が 二個

そして、電源のスイッチが一個

付いてある他

側面に、スイッチによる動作が出来ないように

スライド式の開閉ボタンも存在しているが

それを押さずとも、設定後

すぐに、ロックされる事がほとんどで

ほとんどが、ヘッドホンなどで

機械に命令することが、ほとんどである

今私は、動画サービスから、読み込まれた

名前を聞きながら

ある場所で、自動再生を、命令すると

すぐに、動画が、再生された

もちろん、音声のみである

この実況者は、アナログというか

古くさいノベルゲーを、主に、実況しており

その独特の脳死でありながら

ヤンキーによらない

感情てき行動は、聞いていて、安心しうるだけの

存在意義が、存在している

そのほとんどにおいて、相手との距離を

ほとんど置いている状況は

ほとんどにおいて、非常に、安定的である

このゲームは、まだ知らないが、しかし

落語家において、その人であれば、とりあえず

安心

の一端

片鱗程度の安心度は存在している

有名ではないが

スズメソフトの実況において、今のところ、右にでる物は、居ないほど、オールマイティーである

「えーー、今作は、スズメソフトのゲームを、やって行きたいと思います、

前評判は、まずまず、と言ったところの

凶作ですが、まあ、何とかなるでしょう

今現在のところ、知っているのは、この話が、いつもの通りホラーだと言うことなんですが

どうも、さんざんな、言われようで、逆にそう言うところが、怖くもありますが、行きますか」

実況者は、しゃべり始める

二倍速にでも、してみようとも思ったが

今のところ、急ぐこともなく、そのまま、傾聴を、続けることにした

辺りの砂利道が、ヘッドホンの音を、ジャミングする

私は、ボリュームを、二上げた

少々大きな音が、耳の中

足音を、上回る

前方の列は、歩き続ける

「ゆっくりと、動き始める

列は、ゾロリゾロリと、歩いている

辺りは、砂利が引かれ

その道が、森へと続いている

私は・・・

まずいな、これは、前のデーターが、残っていたようだ

ちょっと、待ってて、消したはずなんだけどな

よしと

では、名前と

ええっと、ああ、漢字が、行けるのね

じゃあ、冷やし 冷やしと

ええっと、無いから

レイ 冷やしと書いて レイ

ああ、幽霊の隣に

冷と

後は、林でバヤシ

ヒヤバヤシ

名前は、麺男

ヒヤバヤシ メンオと

あと、女性名もか

じゃあ、歴代の

好きな

冷林 中華

ヒヤバヤシ チュウカと

これで、よし

決定

じゃあ、いよいよ、今度こそ始めますか」

私は、暗闇の中、先ほどと違い

砂利道を歩いている

畦直しのように、引かれた白い砂利は

まだ新しそうに、見えた

物音一つしない

しかし、その列は、歩いていく

私のような物が、後を付いていても

特に何も言わないのも不可思議だが

それ以上に、見知った顔が、一つもないのだ

これはどう言うことか

たとえば、夢で、知らない人間は、本当に、知らない人間なのだろうか

だとしたら、それはいつ、自分が、バラバラにした

人間の顔を、つなぎ合わせ

いや、生み出しているのだろう

それは、人間なのだろうか、本当に

夢の中の、人間

それは、本当に、どの程度人間か

人間とは、曖昧さの中で、現実を認識している

まるで、穴のあいた、スポンジのように

分からない物を、つなぎ合わせて

認識している

本当の情報量の、どの程度を、把握しているというのだろうか

そう言う意味において、ほとんどが死角

現実に捕らえた、人間だって、そうジロジロと

それを、人間だと認識した上で、見たことなど無いだろうか

であれば、夢の中の人間など

存在など、基薄な可能性は大である

「朝起きると、私の目の前に、彼女が立っていた

彼女は、大学の同級生 ヒヤバヤシ 中華だ

同じ名字のおかげで、入学式に、同じ席になったのが

縁で、同じサークルにまで、顔を、出したときに、直ぐに会話が出来るほどであった

しかし、彼女との距離は、さほど、近くはない

なぜなら、彼女は、一種独特な、雰囲気の持ち主であり

サークルの歓迎会の折りに

「あまり近寄らないでください」

と、言われてから、距離を自主的に取るようにしていた

しかし、別段、嫌われているというわけでもないようで

僕が、無神経すぎるのでなければ、まあまあ、な距離感のように思われていた

しかし、バイトが終わり

家に帰宅し

しかし、目を覚ますと

目の前に、揺らぐ、人影

それは、初めは、カーテンでも、窓を閉め忘れて、たなびいているのではと、思ったが、やけにはっきりと動いているというか、立っている

人だ

それが、泥棒でないことを、願いながら

目を開けると

どうも、それは、良く知る人間の顔のように、思われた

夢であれば、これは、夢の続きであるが

しかし、夢でないとすれば、なぜ、同学年の

生徒が、自分の一人暮らしのアパートにいるのか

もしかすると、僕は、知らない内に

仕方なく、意識をはっきりさせると

そこには、やはり、女性が、立っていた

暖色系に、クリームを混ぜたような色合い

ブラウスに、長い白いスカート

「・・っあの、中華さんですか」

彼女は、こちらを見下ろし

「麺男君、実は、つき合って欲しいの」

そう言われた僕は


「やったー、実は、僕も好きだったんだ」

「どんな買い物につき合わせられるものだか

行っておくけど僕は万年金欠だよ」

「出てってくれ、不法侵入で死刑宣告だよ」


麺男なら、まあ、1だろうな

実況ヒヤシチュウカが、そうつぶやくと

ボタンを押したのだろう

BGMが、変更される

「やったー、実は、僕も好きだったんだ」

しかし、相手に、反応がない

どうしたのだろう

僕はもう一度

「僕も好きだったんだ

それで、どこか行きたいところはあるかい」

彼女は、驚いたように、その目からは、涙をこぼした

それ程までに、僕の告白がうれしかったのだろうか

僕は、あまり自分に、自信は、無かったが

しかし、これを機に、一転してみようと考えたが

泣いている彼女を、頬って置くわけにも行かない

私は、男を見せようと

彼女に

「抱きしめようとした」

「抱きつこうとした」

「キスをしようとした」

実況者は言う

「これは難しい

とりあえずセーブして置いて 1 抱きしめようとしたにしてみよう」

僕は、優しく抱きしめようとしたが

彼女は、きょとんとしたように

それを、交わすと

「じゃあ、麺男君、ありがとう、夏休みだし、時間あいているよね、ちょっとつき合って欲しいの」

まさか、勝海舟のように、ちょっとと言って

あんなところに行くことになるとは

僕はそのとき、まだよそうだにしていなかったのであった

(何だ、何があったんだ

と言うか、どこに行こうというのだ

こう言うとき、よけるのは、だめだよ、やっぱり嫌われてるんじゃないか)

「第二章 電車」

(何時一章が、あったんだよ)

辺りは、草が、飛んでいく

都会の喧噪は、忘れ去られ

あるのは、電車用に、くり抜かれた

線路と自然が、押しつぶす波のように、辺りに広がっている

とてもこれが、日本とは思えないほど外来種のアレチウリが

線路のトンネルを、覆い尽くすように、繁殖している

僕は、トンネルを入ったときに

冷やしてあった冷凍みかんを、彼女に渡すと

先ほどと違い

黒いワンピースに着替えた彼女の雰囲気はどことなく違う

受話の空で、それを、受け取った彼女は

皮ごとそれを食べようとしている

一体、彼女は、僕に何を、いや、どこに連れて行こうとしているというのだろう

みかんの皮を、食べるほどの心配事とは

僕は、そのあまりの事の大きさに

めまいを覚えた

選択

「きっと、村の生け贄にされるんだ」

「きっと、お婿さんに、させられて村からでれなくなるんだ」

「きっと、地獄の畑仕事が待っているに違いない」

「きっと、代々陰陽師で、心霊スポットに、助手として連れて行かれるに違いない」

「きっと、よく分からない因習が残る村でよく分からないことが起きるんだ

それで彼女は悲しくて」

(なんだ、このよく、わからない選択肢は

これは、分岐する重要な場所なのか

ギャグなのかが、分からない

なんだこれ じゃあ、4で)

「僕は、心配になってきた

きっと、都会人の僕なんかじゃ、全く、歯が立たない

よく分からない、因習が、あるに違いない

針金虫が、そうめんのように、流れる川に、体を浸して儀式をするとか

生け贄の鶏の首を、切って、振り回しながら踊るとか

僕は、めまいを、覚え始めた

次の駅で降りて、彼女だけ行ってもらおうか

しかし、古い錆だらけの電車の天井付近の看板は、

鉄製のこれまた、さび付いたクリーム色の扇風機の向こう

ずーと延びた、線路に、かなり前から

一個も駅名が、無く

その最果てに「シロカミ」と言う文字が、書かれている

何て言うことだ

僕は、因習とらわれた

魔術がばっこするような、隔絶された村で

一瞬で、精神年齢が、六十をすぎるほどに、あまたが白くなるに、違いない

電車の向こう

彼女は、向かいで、冷凍みかんを、食べ終え、幕の内に、手を着け始めていた


駅に着くと、いよいよ、周りは、山に覆われ

人間という弱小さが、自然破壊を前に、何も思わないことの

理由を、見つけそうになる

そんな、事を、考えていると

「ねえ、麺男実は、ここに来てもらったのは

他でもないの」

真剣そうに、中華は、そう言って、私をみた

何だろう

歩きながら、話すという彼女は、先ほどから、下をうつむき、何も話さない

どうしたというのか、やはり、とんでもないことか

もしこれが、愛の告白であれば、わざわざこんな、人気のない山奥に連れ込むのだから、世間知らずというか、危険というか、奥ゆかしいというか

この前テレビで、別れたくがないが、為に

山奥で、無理心中を、行おうとした、女性が現れたが

まさか、告白の前に、そんなことを、しまい

しかし、テレビで、触発されるという事は良くある

何かがはやると、それが、マンガや小説でも、現実に、やる人間は多い

行動の発端など、衝動的でなければ、中々、やらないほどに、人間は、怠惰である

とぼとぼと歩く先に、一応の道はあるが

しかし、それは、心細く

車が一台通れる車道と言えども

その砂利道の両端は、どこまでも、見通せない

雑木林である

珍しく杉ではない

ここら辺は、人が入っていないのだろうか

杉であれば、金が入ると、木を切り

植えるのが昔の通説であったが

今の現代、そんな、技術を持つ人間もおらず

ただ、ぼうぼうと、生えっぱなしの杉林が

過去の栄光を、腐らせることが、多い

「なあ、何か話があるなら、聞くよ」

ここまできたのだ、これは、相談と言うよりも、

何か、雑務をして欲しいと、考えられるが

彼女は、電車の中で、ぽつりと、この事は、誰か知っているの

と、私が今日ここに来たことを、聞いてきた

もちろん、今日の今日である

急いで、着替えを、持とうとしたが

それさえも、向こうで、着替えは、私が用意する

と、言うが、何を、やらされるのだろうか

もしかして、マグロ漁船にでも売られるように、

山奥の過酷な、工事現場で、

命綱も持たず

私は、事故で死ぬまで、働かされるんじゃないだろうな

辺りに気を配るが

森しかない

頭上が、木で覆われているせいか

ひんやりと、涼しい湿度と風である

「なあ」

彼女は、歩いていく

私は、仕方なく、それに続く

しばらくすると、大きめの広場のような、場所に着く

そこは、道が開け

砂利ではなく、黄土色の地面が見える

周りには、道らしき物が、ここまで来た道以外に

二本、目視できる

分かれ道である

そこで僕は、どちらにするのか、聞いてみた

「右」

「左」

(じゃあ、聞き手の左手で)

実況者は、そう言って、セーブすると

左を選んだようだ

中華は、僕の問いに、答えることなく

右に進んだ

僕は、何だよ

と、思ったが、ここまで来てしまった以上

何が起こるか、確かめなくては成らない

しかし、問題は、今引き返しても、日に三本しか通ることのない

あの駅に行っても、

蚊に食われながら、扉もないあの待合室で、一晩過ごすことになる

果たして、採算は、どこから来るのだろうか

それとも、個人運営とでも言うのか

砂利道に、戻った道は、先ほどの風景と、さして変わらない

いや、一つ

私は、木々の向こうに、揺れる紙を見た

それは、白く四角く

向こうの方で、たくさん見える

それは、長い線のように、ゆらゆらと、揺れて見える

何だ

僕は、目を凝らした

これは、幻覚ではない

確かに、見える

しかし、やはり分からない

祭りか何かだろうか

暗い森の中、一瞬

木々に、巻き付けられた

紙が、揺れているのか、それとも、白い葉の植物かとも疑ったが

それは、動作として、動いている

動物だ

そして、それは、自然現象というよりも

人為的でありそうだ

なぜなら、紙だけに見えたそれは

黒い和服を、着た人間の顔に、くくりつけているのか

白い紙が、張られ

それが、紙が、揺れているように、見える原因なのだ

僕は、前を見ると

彼女の姿がない

いや、違う 僕が、目を離した隙に、彼女は、森を、歩いている

黒い服は、森の中にとけ込み

陰と同一化する

僕は、靴やズボンが汚れることも、お構いなしに

単一化されたような森の中を歩く


私は、前を見ると

どんどんと、長い白い仮面を、被ったような列が

歩いている

これは、有名な祭りか何かなのだろうか

いや、この地方で、こんな事は、知らない

では、ゲームを模したイベントか、何かだろうか

ヘッドホンからは、音が、止めどなく流れる

止めても良いが、私は耳を傾ける


「彼女は、前方の列と、合流したのか見えなくなる

私は、反対側の道に出ると

先ほどの分かれ道の片方だったのだろう

そこに出ると、やはり、砂利道が続き

先ほどと違うのは、葬式のような出で立ちをした人間が、道を、ずっと歩いていることだろう

田舎は、変わった葬式をするものだな

そう思ったが

私は、先ほどまで居た彼女の姿を、その列の中でさえ

確認することが出来ない

人を隠すには、人の中とは、良く言ったもので

人に紛れてしまえば、時として、人の差を確認するのは、難しくなる

まるで、デパートで迷ってしまった

迷子の子供のようである

私は、一人一人、紙がつけられた、人間を、見たが、分からない

彼女が着ていた、黒いわんんぴーすを、思いだそうとしても、うろ覚えで、あやふやあだ

これなら、彼女の顔ばかり見なければ良かった

私は、一人彼女を、その列に、探していた


「あのう」

私は、列の最後尾の老人に、声をかける

顔が見えないので、確証は、持てないが

しかし、その腕の皮膚感は、農家なのか、たくましいが

老人に思える

「すいません、この行列は、何を行っているんですか」

かなり山の奥に来てしまった

戻るにしても、頃合いだ

早いとこ、しなければならない

もしこれが、行きっぱなしなら、目も当てられない

この奥で、一晩家で、とまるとなれば、僕一人

暗い森の中を、帰ることになる

もっと早くしておけば、良かったに違いない

私の問いに老人は、振り返る

しかし、暗い闇の中

その白い物が、何か、私には、到底分からなかった


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