表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/54

                                        ナナし

暗いほどに静けさがあたりを包み込み

音さえも私の鼓膜へは、その闇が邪魔をして

振動しない

私の夢うつつな、眼膜は、透明を忘れて

白く濁り

その幽玄なる幻想を、ただ、枕に

眠りこけている

誰もが、陥る自動販売機の闇は

いつも明かりをつけて

電気を吐き出し続けている

流れた、血液のCCは、数知れず

私は、毛細血管の這ったベッドで

一人、皮膚にくるまり

寝息をたてる


長い廊下を歩けば、何かがする音が聞こえる

其れは、布をするようにも

紙を裂くようにも思え

時折、静かな水音が

べちゃべちゃと、鳴る

私は、自分の足音以外が

廊下に、教室から、漏れ出すのを聞きながら

また一歩、また一歩と、その音の根元へと

凶元へと、木の床に、足を打ち付けて

ゆっくりと進んでいる

この廃校になった学校に、人は、あまり見あたらない

其れもそのはずであるが

私は、前方に見える

名札のはがされた教室の前に立ち止まると

ガラス戸の白い扉から室内へと目を向ける

和服姿を、たすき掛けに締めているにも関わらず

その服の至る所に、真っ赤な朱色がはね

其れは、下地か、模様かとも思えた黒も

同様に、墨汁が、跳ねて染まった後だろう

服のにおいの根元は、菌だというが

この着物に、ついた、シミは、洗濯しても落ちないのだろう

教室内には、まるで、呪文か呪いの呪詛

かのように、白い紙が、碁盤の目のように

並べられ

そのすべてが、まるで、コピー機ですったように

同じような、一見して違いの分からない

赤と黒の文字で、構成されている

大きな、中心の黒

そして、端に赤い細かい文字がびしりと書かれている

私は、その文字をみながら

「アカオニ」と言う漢字は

逆の色の配色の方が、合っているのではないだろうか

そう思ったが

覗く以外に行動をとる気もない

「先生」

私が、室内に、入ったのは、それから、何時間か

あたりが暗くなり

ようやく先生の行動が、動かなくなった頃

手みやげに持ってきた

青いクーラーボックスから

缶コーヒーや、ジュースの缶や瓶ペットボトルを

出しながら

部屋に入る

もちろん、入室許可を得てからのことであるが

「やあ、青木島君

ひさしぶりですね」

壮年にして若々しい外見とは裏腹に

其れは、若々しいなどと言う適当な言葉以前に

実際に、彼女は、私の年齢を半分に二つ折りして

そこに、一、二才適当に、足したほどであるが

しかし、元々にして厳しい家なのかどうかは分からないが

何かしら、そこら辺は、しっかりしているように見える

其れは、世間一般的常識と言うよりも

どちらかと言えば、この世界の常識を

子供の頃からたたき込まれたとでも言うような

要は、落ち着いているのだ

其れは、動作、しゃべり方

が、類するのであろう

「先生、ご機嫌は、いかがなものでしょうか」

「ああ」

そんなことをいうが、どこか上の空というか

気が抜けているようにも思える

何か考えている

もしくは、何かが起こっているのだろうか

「何かお困りでも、できることでしたら」

いや

そう手で制止

「いや、そんなでもないんだが、そわそわと

しているきがするんだ」

妙なことを言う

こう言うときは、大抵禄でもない

先生方が、決まって、何かいつもと違うと言うときには

其れは世間全般が分からなくても

間違いなく、何かがおかしくなっているのだ

「何か、我々に、できますか」

先生は、上を向いて

「ああ」

と、考え

こちらを向きながら

思いついたように

暗くなり電気もついていない部屋で

「アイス」

私は、聞き慣れているのかいないのか、

氷菓子以外であれば、

私は、その名前に聞き覚えがない

植物のアイリスとか

社名とかなのだろうか

何の単語か

「あ・・アイスが・・・食べたい」

私は、多少涼しくなった室内で、

数分後には、車で、信号まで、発信させていた


バニラアイス ソフトクリーム

いろいろありますが

どういう類の物が、お好きなんですか


好きかどうかは、まあ、どうでも良いが

僕個人としては、小倉饅頭が、個人的に、どっちりとしていいて良いが

しかし、この場合、トラック一つくらい

氷が、ほしいね、

できれば、ドライアイスなんて言うのが、本望だが

別に、冷たければいい


片田舎の一室に

和室の上に置かれた

巨大冷房器具の数々

其れはとうてい、不要に思えるが

場所になど、関係なく

そこには、近代的な機械の

銀色が、一種、近代的に

部屋の中を、壁際に取り囲んでいる

唯一

普段から、一方だけあけられている

出入り口のみ

その機械の壁は、存在しておらず

そこから内部にはいると

天井には、巨大な、赤い文字で

「アカオニ」と漢字で書かれ

その中央で、細かく和紙に、文字を書き

部屋中に、幾何学を示すかのように

白い紙が、文字を、書き込まれ

茶色い床に、所狭しと

下が見えないように、置かれているほどだ

「先生、如何でしょうか

大丈夫ですか」

私が、中央の先生に言うと

こくこくとうなずき

最後の紙を書き終えたように、其れを貼る

ただ、やることはまだあるようで

私は、部屋を撤退する

部屋の外の廊下には、まるで放水ロープのような

長い線が、至るとこ

廊下に流れ

そのまま、一階へと続き

中庭の発電車に、繋がれている

それから、しばらくして、先生が出てくる

「機械は、この程度で大丈夫だったでしょうか」

うなずく彼女

「其れでは失礼します」

私は、それに対しても、うなずくのを確認し

一応、携帯を、私、庭をでる

一応

廊下の一番奥には、各階に、黒電話が、置かれているが

電話嫌いなのか

一度もかかってきたためしがない

「じゃあお願いします」

技術担当者に、そう言って、私は帰ることにした

時間は遅い

駅について、電車に乗り

そのまま新幹線に、乗り継ぎすれば、後は、深夜に帰って、後、 寝るだけだろう

私は、携帯をいじりながら

報告書を、まとめ

電車の中

学生に、混じりながら

帰路に就いていた


「キンキンキラキラユウヒガ」

私が、携帯を、閉じようとしていたとき

携帯の着信音がなり

電話を、示した

音を小さくするように、携帯の横の

堅めのダイアルを回し

通話ボタンを押す

幸いにして、前横に

四方、誰も座っていない

耳元へと電話を当て

通話ボタンを押す

「はい、玄革です」

相手は、女性のようで

正しければ、先ほど渡した

先生のようであった

「やばい 失敗した

後はよろしく」

何を言っているのだろう

私は、安否を確認しようとしたが

電話は、途切れ、何の音もしない

すぐに、本部に連絡し

至急対応を、要求した

しばらくすると、電車の上空

車内の走車音とは違い

ヘリコプターのような、音声が、頭上で、聞こえる

まるで、障害物の多いところで回る

換気扇か扇風機のような音だ

其れが、列車とは、いく方を反対に

遠ざかっている

もう一度電話を、かけてみたが

何の音もしない

駅に降りると、待っている人がおり

私は、一つ挨拶もそこそこに

タクシーにのり

来た方向を、電車とは逆に、線路をさかのぼるように

双行し、そのまま、元の学校に向かう

つけば、そこには、巨大なヘリコプターが、止まっており

タクシーは、来た方向を、帰って行く

私が特にすることもないが

「玄革部長ですか

私、行動処理部 笹木ヶ胎と、もおします」

あまり合いたくはないが

またも、あいさつもそこそこ

私も、同じように言うと

「これから突入しますが

どうされます」

私は、突入後、同行する旨を、伝えると

集まってきている、兵士のような恰好をした

職員の背後で待機する

みな、防弾チョッキのような物に

フルフェイスのヘルメットを、装着して

手には、透明の縦を、構えている

「大丈夫でしょうか

相手は、鬼らしいですから」

私は、そう言うが

隊長らしき人間が、

「其れでは、作戦 カイ 始め

任務の完了は、化け物の駆除

もし、人員に二名以上の死者が、出た場合

速やかに撤退する」

男たちはそう言って、私が出ていった

門に突入する

「それではいきますか」

笹が胎に、言われ

私は、その後を、とぼとぼとついて行く

ほかに何もない

ただ、後ろのヘリコプターに搭載されたものだろうか

ぷすぷすとうるさい電子音を

立てている


廊下に、多数の大人の足音が響く

彼らは、突入したらしいが

もう足音しか聞こえない

頭上の階段を、登り終えたのか

足音が変わり

廊下を走る音がする

「これは、何が出たと考えますか」

私は、横を少し先にあるく

笹が胎を、目でおいながら

考える

「彼女は、封印が、仕事でしたから

そう言う類かも知れませんが

何せ、彼女に何が依頼されているか

あまり、おおっぴらにされないような方でしたし」

私は何とも曖昧なことをいうが

認識しただけで、だめになってしまうような

しがらみが

この業界には存在しており

それを、踏み越えるのは、中央の

電気機器や、科学を、いじくっている省であり

我々は、昔ながらを、踏進しているに過ぎない

しかし、そこが、現代社会との大きな違いだろう

嘘が存在しないなど存在しない

そんな、バカみたいな

神懸かった、存在が、存在しうる

それゆえに、自分で起こしたことなど

まるで、暴風雨の髪の毛のように、容易く飛んでしまう

それゆえに、バンダナや、帽子

あるいは、丸坊主にするような、事を、しなけりゃならない

前を歩く男も、私と似たり寄ったりだ

知っているし

知っていただろうし

まあ、世間話の類だろうか

いつ死ぬかは、分からないことこの上ないが

「そうですか」

相手はそう言って、ゆっくりと

まるで急ぐこともないように

確実に部屋に向かっている

廊下の奥

彼女が居たであろう

教室の扉であろう箇所は、開かれ

そこから、真っ赤な画用紙

いや、和紙が、廊下に舞い散乱している

横では、携帯機で、笹が胎が、連絡をしている

OUTかも知れない

私は、懐から、短刀を、取り出すが

役に立つかどうか

握りしめられた

刃渡り三センチほど

お守りが、至る所に縫いつけられており

実質、刺す事には使いにくいだろう

現に、紙製のお守りの鞘から出されてもいない

「どうします」

相手が聞くが

「まあ、ここまで来たことですし

情報は、伝えないと

帰って貰っても良いですよ

はじめは、私が、担当しましたし」

ははは

何か無感情な笑いをあげて、何も気にもしなかったように

前を、男は、すすみつづけている

私は、その背後で

床に落ちた和紙を見た

色からして、部屋で使用されていたものだろう

書かれた文字も、同じ物だ

しかし、べっとりと塗られたように

其れは、赤く染まっており

臭いから人間の生臭くなく

さりとて皮膚を焼いたようないやな感じがする臭いだ

粘つくような油っぽい空気は、暗い教室から漏れ出している

内部で、音はしない

死んだかどうかは、分からない

つまり、少なくとも

先生と呼ばれるクラスの人間が、死んだ可能性がある

つまり、行動処理部 つまり、清掃係が

太刀打ちできないとなると

いよいよ面倒だ

封印するのは、壊すのの十倍難しいという

壊すだけであれば、対して難しい資格は、不要だが

封印となると、其れは、血や才能、努力時間習慣

エクセトラ

つまりは、望まなければ

もしくは、其れを、やらなければ

または、プロでなければ、逆に、面倒なことになる

つまりは、死を意味する

プラズマの発展により

よく分からない存在を、物理的に、殴ることはできる

しかし、其れは、一年後を十年後に変更するだけであり

あまり意味のある行動ではない

しかし、端的に被害を出さず

そして、用意をするためには、其れくらいが、予算的にも人員的にも仕方がない

対して、封印とは、その時代が、百年からは持つ

中には、其れを、岩や植物に、移すことで

人間的、行動を、別の物で、代行することで

より長い間

安定的な、物が、可能だ

そして彼女の場合

彼女は、書を、文字を要居て

化け物を封じ込める

彼女の住んでいる

職場兼仕事場には、

今まで封じ込められた化け物が

束になり置かれ

その段ボール何重と言う数は

とても、体育館でなければ、収容不可能であろう

そして、問題なのは、その鬼が、どういう性質を持ち

そして、今どうすれば、対処できるか

それに着く

先生が死んだとなれば、其れは、術式の失敗を意味する

もしも、其れが自分の手に余るようなものなら

対峙する前に分かるはずである

そして、

直すのではなく

壊すような連中

つまりは、破壊専門が、任務失敗となると

これは一様に、問題となる

我々ができる事は、その状況の報告というのが第一になるのであろう

彼の部下は、彼自身が、従えてるホムンクルス

いや、ゾンビとでも言うべきか

今回、状況を伝えるための、カメラを装備したが

皆、冷房機により

遮断されてしまう始末で使えず

もしかしたら、怪物のせいかも知れないが

どちらにしても、今現在の最新の機器が、だめなら仕方がない

部屋からは、音がしない

ライトが散らばる床には

昼間に並べられていた

紙の光景は、どこにもなく

機械に、囲まれたその部屋

床には、乱雑に、押されたようにかみがたばとなり

散乱し

時にやまに

時に床が見えているが

それも、まだらに、血が流れて黒い

周辺の機器にも、血が飛び散り

食肉加工の機械か何かのようである

いや、そんなのは、映画だけで

実際の場所はもっと清潔だろう

「だいじょうぶか」

私は声をかける

床には頭部が、転がっており

その握り拳大の頭は、どれも、子供の

それも、産後まもない物に見える

「ああ、代わりはいるが

それよりも、これは何なんだ、武力って感じじゃないな

周りに、傷が付いていない

呪いの類か」

彼の操る呪詛人形は

人間の子供及び猿の子供と言うことになる

もちろん皆、死んだ物であり

猿に対しては、違うが

どれも、意志はない

ただ、雇い主に対して、言われたことを行動する

其れは主に、破壊活動であり

其れ以外は、できないと言っても良い

それゆえに、破壊に関してはプロ級であり

わざわざ、人員を、導入して

危険なことをしなくてもする

墓印の印を、許される破壊活動であるが

部長をのぞき

あくまでも、人とは扱われない

墓印とは、破壊活動における部署とも

階級ともとれ

その一番上が獄門印

その下が鬼印

そして墓印となり

基本的に、紋を、許されるのは

墓印

それも、十年して、ようやく

仕事ができるというのだから、気の長い話である

主に、物理攻撃により

その不解明な、因子を、其れごと断ち切る

いや、破壊してしまう

それ故に印紙部からは、非常に毛嫌いされる

印紙とは、封印のいや、物理ではなく

鈍いの解明を、主にしており

肉体派が少ない

すべてが終わった後か

始まる前に見ることはあっても

最中に、姿を見ることはない

いつも灰色の焼けたような煤けた木材色のような

白衣を着ており

いつだかからは、知らないが

実に目立つ存在だ

ほとんど表に出てくることはなく

大抵は、呪いの後始末

つまりは、化け物の記録であり

何かを解決することはあまりない

実質

行動は、先生方が、行い

我々は、そのサポートに回ることがほとんどであり

動けるのは、事が起こった後なのが、殆どであるが

今回は、久しぶりである

三十年ぶりくらいか

確かに、まわいに、めぼしい傷がない

そうなると、それ自体が、怨念とでも言うような

赤子を、壊す事のできる存在が

物理で、周りを、壊すことなく殺せたとは、考えにくく

それよりは、呪いの可能性が、高い

「どうする、一時撤退とするか

まだ、冷房の機械は、動いているようだし」

血に濡れても機械は、起動しているようで

ランプが黄色くあちこちで点灯しており

凍えるような寒さが、こちらまで漂ってくる

「ギィー」

教室内で、声がする

何か、居るのかも知れない

最近 自分の周りで、失敗した人間を、見ていなかったせいで

一応の訓練はしていても

思い出すように、手順を繰り返す

「どうします、物理じゃないんだったら

私が、前に出ますが」

笹が胎は、私を見て

首を振る

「あれは」

私は、よじれるように、首が、掻ききられ

肩の上から、ぶら下がるのをみる

「やはり、偽物か」

闇の中から、そんな声がする

「どちらさまですか」

私は、闇に対して、言葉を発する

「私は第六天魔王、おまえを、殺しに来たものだ」

私は聞いたことのない、事象に、驚く

化け物が、しゃべることもそうだが

最近は、危険作業だというので

殆どが、ロボットによって

処理される

目の前の笹が胎も、最新鋭だというのに

ねじ切られている

なんというちからだろう

これ一台の値段も知らないのだろうか

「貴方は、先生を、殺したんですか」

相手のくぐもる声が聞こえた

「食べたよ、腹が減っていたものでね」

困ったことになった

先生が、居ないとなると、ここを管理するのが、非常に面倒なことになる

其れこそ印紙が、どの程度、がんばるかはかり知れない

過労死も出そうなものである

「貴方は、封印してもらえませんか

少々、こちらとしても、困ることになるんです

部署とかも来ますし」

知らん

闇の中から声が聞こえる

大抵は、書面通りに、事が進まなくては、おかしな事になるのだが

わざわざ、こんなところで、無駄話をしているあたり

よほど暇なのか

それとも、素人なのだろう

「お客様は、初めてのご利用ですか

封印されたのは、いつ頃でしょうか」

声が黙る

まさか、封印された年月日を覚えていないとでも言うのか

「あれは確か、富士が噴火したとき

建物の下になった犬が、私だから

たしか」

いよいよ面倒なことになってきた

これは、何も知らず、表に出てきたことになる

「先生、寝てるんですか」

闇の中に声をかける

冷たい空気が、あたりに流れる

「何だい、封印の途中なんだから声をかけないでくれたまえ

犬の自我の実験をしているのだ」

妙なことをしている

「それよりも、早く封じ込めてください

あなたですか、道をぐちゃぐちゃにして

温度を下げることで、普通であれば、すぐに消滅するような物を、この部屋に閉じこめているのは」

彼女は、私を、中から見ているのだろうか

声が聞こえない

「そんなことをしているから、笹が胎が、壊れてしまったじゃないですが

天引きですよこれは」

奥から声がする

「いや、一つかと思ったんだけど

どうも、別の物を封じ込めるために

別の物が、上っ面に、乗っかってて

それで、このざまだ」

ちょっと待ってください

つまり

「あなた、しんだんですか」

ザッツライト

そんな声が、奥から聞こえる

なんて言うことだ

いよいよ、面倒なことになってしまった

これでは、私の手に負えることではない

私は、すぐに引き返すとしたが

いやな感じがする

手元の刀がかたかたとおとを立てる

ここ何年か、そんなことはない

少なくとも、私程度が、関わることなどあり得ないのだ

物体が、動き出すほどのことがあるなんて

そう、これは、形式に乗っ取った行動

それ以外では、駄目なのだ

仕方なく

私は、手元の刃物を

部屋に入り床に突き立てた

いやな音がして鉄がくだけるのが分かる

私は部屋を確認したが、何の音もしない

「まだだ」

其れは先生の声だ

もう、寿命幾ばくもないだろう

私は、部屋を出て、廊下に飛び出すと

あたりには、死体が転がっている

きっと、体育館から抜け出してきたのであろう

私は、それらにつまずかぬように

走る

あたりは暗い

何かが腐ったような臭いがする

私は、あしを、急がせながら

今回の失敗を考えた

先生は、もう一つ 合ったと言うが、

其れは、術式的に、言えば、初歩中の初歩

わざと間違えたか、それとも、未知のトラップ

だったのか

どちらにしても、先生の呪言が、胸で燃えるのが分かる

近づいたせいだろう

散々たる成果だ

これは、面倒なことこの上ない

外にでると

笹ヶ胎が、満面の笑みを浮かべて

笑っている

「大変だな」

笑い事ではない

おまえも、被害を被ったのだから・・・

いや、違う

こいつのことだ

あまり良い噂を聞かない

新しい物を、作らせようと

わざと、壊されたという事も、あり得ない話ではない

「お前、先生は、死んだんだぞ」

いや、待てよ、これが、仕組まれたグルだとしたらどうだろうか

先生は、仕事がいやになり自殺

もしくは、いきることにあきたなんてのも考えられる

「おいおい、人聞きの悪い

君、先生は、青木島先生は、先月亡くなったじゃないか

高齢で」

そんなはずはない

私は、仕事をしていたのだ

「君は、夢でも見ていたんじゃないか

まだ一歩も歩いて、いない

君は突っ立って、携帯を、いじっているだけだ」

こいつは何を言っている

「私は今日、先生と別れ

電車で乗っている途中で、電話で、先生が、失敗したと聞いて、本部に連絡を、取ったんだ

その後、ここに向かって、お前と

そうだよ、お前は、今日、何しに来たんだ

先生の後始末を、

そうであれば、先月」

「お前は、疲れている

先生は、先月死んだ

お前が担当したのは、その次だ

お前、記憶を、食われたんじゃないか」

何か、いやな感じがする

そう言えば、ここに来た記憶はある

しかし、其れが、本当に、私の記憶であり

来たという事が

「ちょっと待て、闇消しを、使ってやる」

足下に置かれた箱から、何か薬瓶を出す

本当に、其れは、薬か

私は、一歩後ずさる

「大丈夫だ」

男は、其れを、ゆっくり私の口に流し込んだ


部屋の中に置かれた

白い紙は、五 黒い墨

四朱い墨 一和紙の下地と言う割合で書いている

実に長い労働力だ

最近では、卒塔婆もコピー機が、ある時代だというのに

面倒な、作業だ歴史とは

書き終えた枚数は、部屋を埋め尽くし

白と白の間に隙間はない

この部屋を使い始めて

紙の枚数も、無駄なく余計に作りすぎることは無くなった

それでも、部屋の隅には、数百枚の予備がある

面倒なことだ

あたりは暗くなってきた

そろそろ、仕上げを、行い

部屋を出よう

仕事をしすぎると取り付かれかねない

いや、もう遅いのか

時刻ともども

それにしても、熱い

クーラーを、つけたいが

そうも行かない

仕事を、早く終わらせるだけだ

暗闇の中

墨が溶けだし

白い余白と朱が浮き出し始める

私は、伝承に聞く

アカオニの存在を考える

其れには、いろいろ種類があり

地獄で言えば、其れは、クレヨンのように

箱に収まらないほどにレパートリーは多い

鬼の概念も、多岐にわたり

其れを一つと言うには、あまりにも幽久しすぎている

そうなれば、朱 いや 朱に、目を留めなければならない

朱とは、赤と、対比している色と言える

赤とは、血を連想させるが

それ以外にも火と言う暴滅の象徴とも取れる

もちろん家事に、必要であるが

其れは、火事とも通事

さらには、鍛冶の職にも同じ物が、使用される

火とは、時として、火とを助け

その側にいるが

一瞬で、業火で、殺すこともある

其れは、すべてを、灰にする

血液の生命力を象徴する赤

ではなく、其れさえも、滅する

非現実 空想に存在する 妄想色朱

神社の山門は、赤を使い

其れは、人間の世界に近く

その社は、神の物

非現実

生物を、超越した存在

手の届かない四次元とでも言ったところか

この俗説で言えば、アカオニは

なのだろうか

なのだろうか

赤であれば、其れは、人

なのかも知れない

朱であれば

「先生」

背後に、私は、良く知る人影を見た

其れは


其れは、鬼に見えた


長い廊下を、長細い

青い影のような物が歩く

ここは、廃校

人など居るわけもない

其れは、爛々と輝く

まるで、天狗のような目をしながら

廊下の壁に揺れる影法師のように揺れていた

廊下に影となる母体が、存在していない

しかし、その影は、どうして動き

そして、前へ、前へと、進んでいるのだろう

あれは、本物なのだろうか

私は、夢のような光景を、見ながら、考えている

これは、現実なのだろうかと


積み重なった紙が、バラバラと舞い

木箱の中で、膨れたように

それらが、弾き飛ばされ始める

体育館は、鉄の内装に、施工されており

その暗室とも取れる

室内に

白い影が漂い始めた


「いやはや、参ったですよ」

年の頃は、十六、七にしか、見えない女が

ファミレスで、ジュースを、飲みながら

食べ物がくるのを待っている

私は、財布を、確認しながら

今日の予定を考えていた

「しかし、先生

まさか、生きていらっしゃるとは、思いもしませんでした」

こんな仕事である

人の死とう物は、比較的近い

何なら、人の死こそが、仕事であることも少なくはない

しかし、先生足るような、人間が、そう死ぬことはないと言っても

其れは所詮、化け物相手である

ナイフで切られれば、一瞬であの世に行きかねない

オレンジの液体が、消えていく

「まあ、田舎ですから」

其れがどのような、答えかは、分からないが

ナイフで切りつけてくるような、人間でも

田舎の人間であれば、何とかなるというのか

実に恐ろしい場所である

「しかしながら、玄革も、いつの間にか、すり替わられていたようですが

捜査班も、首をひねっていましたよ

こんな事は、今までにないと

印紙として、張り切っているようですが

ほかにも仕事があるでしょうに、手短にお願いしたい物です」

先生は、出されたハンバーグを前に

スープを飲んでいる

私は、コーヒーを、受け取りながら

考える

「先生、なぜ玄革が、死んでいることに気が付いたんですか」

ハンバーグから目を上げると

胸ポケットから

紙を取り出す

そこには、焦げた名詞があり

隅の方に、部署の小さな文字がある

どうも、玄革の部署らしく

名前の下の部分に部長とあるから

玄革なのだろう

偏執府と言われる部署は、比較的

穏やかな取引が行われる

つまり、先生のサポートを主に行い

封じ込めが、最大限、成功するように、努力する

それはまるで、変質的なストーカーのようにも見える

「あれだけの広い空間に、青白い紙が

冷房で舞うのは、実に恐ろしげでありましたね」

先生は、口を拭いて水を飲む

「貴方も、死んでいるのだから、さしたる違いはないでしょう」

水がのどを通る

私は、コーヒーを置いた

「今なんと」

貴方は、死んだんです

女は、そう言って水を置く

貴方は、化け物に、殺されたじゃないですか

それともお忘れですか


何を言っているんだ

私は今、目の前に

そう、ここは現実のはずだ

貴方は、生きている

「私が、生きていると、どうやって、判断するんです

私は、貴方の妄想かも知れない」

なにを聞かされているのか

私の証明など どうでも良い

私が聞きたいのは、いまどこにいるかだ

「貴方は、先ほど あの鬼を封印して

今ここにいるじゃないですか」

「まあ」人殺しですけどね

先生は言う

そんなことはない

あの男は、もう、死んでいたし

そして、人ではなかった

「あなたが、作ったのでしょ、彼を」

この女は、何を言っているんだ

「貴方の、名刺が最近どうも、胡散臭い

貴方、人、殺したでしょ」

とんだ言いがかりだ

そんな物は、説明にならない

「人とは、よく分からない物に鬼と名付けました

しかし、鬼こそが、人であり

貴方は、その境目が、分からなくなったんじゃないですか 錯乱です」

そんなことはない

私は、立ち上がると

相手に、ナイフを、突き出す

しかし、平然としている

「これが、田舎が、怖くないって事か」

私は、女へと、向かう

しかし、そのとき

何か衝撃を受ける

頭が重い

何かが、垂れている

赤い

床に何かが広がっていく

「まあ、田舎ですから」

どこかで、電車の音がする

なぜだろう

暗闇の中

トンネルはまだ開け無い

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ