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ついにアーサー様とご対面!

(うぇっぷ……気持ち悪……)


 薔薇の香水を買った私は、その場ですぐに香水をつけた。そして、その後馬車に乗ったわけだが……これが大失敗。


 むせかえるような強烈な香水の香りが、馬車の中に充満してしまい、まさに燻製状態。それだけでも十分しんどいのに、そこに加わったのが馬車の振動。


 馬車って、見た目がロマンチックで、お姫様が優雅そうに乗っている――私の中ではシンデレラのかぼちゃの馬車のイメージなんだけど、とんでもない!


 もうめっちゃくっちゃ乗り心地が悪くてもう最悪! 昔の人って、よくこんなのに乗って長旅ができたなあと心の底から尊敬する。前の世界の電車や車に慣れてしまった人間は、耐えられないんじゃないの? 少なくとも私は無理。


 帰ったら、車か自転車を用意してもらえないか、エマさんに相談した方が良さそう。私、一応、車の免許を持っているんだけど、この世界の車も同じように運転できるのかしら……?


 香水の香りが充満する振動の激しい馬車に揺られるという、拷問のような時をしばし過ごした後、ようやくアーサー様のお屋敷に到着した。




 アーサー様のお屋敷のお庭には、手入れの行き届いた色も形も様々な薔薇の花が、所狭しと咲き誇っていた。


 本来ならば、目を奪われてしまうような美しい光景なのだが、今は香水のせいで薔薇はちょっと……遠慮したい気分。しかし、アーサー様の薔薇好きはこの世界でも変わっていないようだ。


(我慢して香水つけてきて良かった……)


 私は馬車の中の苦労が報われるような気がしていた。




 エマさんにアポを取っておいてもらったおかげで、アーサー様の執務室にはスムーズに案内してもらえた。


 アーサー様の執事さんなのかしら? 私を案内してくれた年配男性に促され、私はアーサー様の執務室に足を踏み入れた。


 初めて生の(?)アーサー様の執務室を見た感想は、とにかく広い! 


 ゲームの画面上では、入ったらすぐに執務机があるのだが……遠い! 一体、何歩歩いたらアーサー様に辿りつけるんだろうか?


 そんなことを考えていた私は、相当挙動不審に見えたことだろう。


「そんなところで何をしている?」


 しびれを切らしたらしいアーサー様が、立ち上がり、私に歩み寄ってきた。


(アーサー様! アーサー様が近づいてくる!)


 ゲーム機の画面越しじゃないアーサー様は、容姿が美しいのはもちろんだけど、何と言うか……後光が差している? アーサー様の周辺がキラキラとした空気に包まれていて、まさに神々しいとしか言いようがなかった。

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