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もしかしてここはパラダイス……?

 私は街に向かう馬車の中にいる。


 この世界の移動方法は、主に、徒歩と馬車。そしてたまに自転車や車。


 車といっても、私が元いた世界のような代物ではなく、大昔のクラシックカーのような感じだ。乗っている人も品のいいおじさまばかりなので、まだまだ庶民には普及していないのだろう。


 この世界の庶民は、乗り合い馬車を利用している。


 で、私はと言うと、 私専用の馬車を与えられ、悠々と移動することが許されている。なんとも贅沢な話だが、将来、世界の運命を左右する聖女になるかも知れないという超VIPなのだから、当然の待遇なのかも知れない。


 満員電車で毎日通勤していたのと比べると、天と地ほどの差がある。


 移動だけではなく、日常生活にしても、ご飯の支度も掃除も洗濯もエマさんがやってくれる。まさに至れり尽くせりだ。




 さて、私がこの世界に来て思ったことがある。


 それは、この世界が、私がプレイしていた『聖女伝説』のゲームの設定と寸分違わないのではないかということだ。


 主人公の容姿もゲームと同じ、エマさんのセリフや一日の流れも同じ、そして、アーサー様も実際に存在している……。


 ということは、私が『聖女伝説』をプレイしたり、公式のガイドブック等で得た知識をこの世界で使ったらどういうことになるのか? 


 はっきり言ってしまえば、私は『聖女伝説』の攻略方法を完全マスターしているので、アーサー様どころか、支援者の誰でも簡単に両想いになれるってことだ。ついでに言えば、聖女にもなるルートを選べば、聖女にすら楽勝でなれる……まあ、これは選ばないけど。


(すごい、すごい、すごすぎる……!)


 私はまさに世紀の大発見をしたような気になった。


 思えば私の前の人生は、決して不幸せではなかったが、大した山も谷もない平々凡々な人生であった。死に様だけはすごかったが。


 だから、今までの人生において、何事においても、こんなに優位な立場に立ったことがないし、人生がこんなにも楽勝だなんて思ったこともない。


(この世界に来て良かった……!)


 もう感動で涙が出そう……。神様どうもありがとう!




 どうやら私が、ほぼ約束されたと考えられる薔薇色の人生をあれこれ妄想しているうちに、馬車は目的地に着いたらしい。


 私は、一目散にお目当ての店に向かった。


 ああ、アーサー様にお会いするのが待ち遠しい!

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