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最愛のあのキャラに会いに行く!

「グレイス様、今日の予定はどうなさいますか?」


 朝食を食べ終えた私に、エマさんが尋ねてきた。


(キター! ゲームと同じセリフだ~!)


 私は密かに感激していた。ゲームの中で、主人公の一日は、エマさんのこのセリフから始まるのだ。


 エマさんに午前と午後の予定を伝え、主人公はその通りに行動する。




「もしかして、アーサー様のところへ行けちゃったりします……?」


 私はドキドキしながらエマさんに尋ねた。


「アーサー様ですね! かしこまりました。それでは、アーサー様にお伝えしておきます」


「うっそ、マジで? マジでアーサー様いるの?」


 驚きのあまり、我を忘れてギャルみたいな口調になってしまったが、私にとっては、それくらいの衝撃の大きいものだったのだ。


 アーサー様とは、私が『聖女伝説』の中で一番好きな攻略対象キャラである。金髪碧眼の、見た目は典型的な王子様キャラ。名門貴族の跡取りながら、驕ったところは一切なく、主人公のようなド平民にも優しく、まさに紳士。


 ちなみに、趣味は乗馬で、愛馬は白馬のイネーブル。アーサー様と仲良くなると、乗馬イベントが発生する。


「えっ、ええ……アーサー様はいらっしゃいますよ」


 私のテンションの上がりっぷりに、エマさんは少々、いや、かなり引いている様子。


 それもそうだろう。例えるなら、今の私は、大好きなアイドルの握手会やサイン会に参加する直前のファンの心境だ。


 あの、あの画面越しにしか会えなかったアーサー様と直接お会いすることができるのだ。


 今この場にエマさんがいなければ、立ち上がって部屋中をうろうろと動き回っていたことだろう。




「ヤバい、鼻血出そう……」


「ぐ、グレイス様、大丈夫ですか?」


 エマさんが心配そうに私を見ている。


「もし、具合が悪いようでしたら、今日のお出かけはおやめになっては……」


「いいえ! 絶対に! 何が何でもアーサー様に会いに行きます!」


「そ、それでは、アーサー様にお伝えしておきます」


 エマさんが私の迫力にタジタジになりながら答えた。




「ちょっと待って!」


 ちょうどドアノブを手をかけようとしたエマさんを、私は背後から呼び止めた。


「アーサー様のところへ行く前に、買い物ってできます?」


「ええ、可能です」


「じゃあ、最初に買い物に行ってから、アーサー様のところへ行くことにします!」

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