♥ 女子高等学校 2 / 教室 2 / 9月1日
──*──*──*── とある女子高等学校
──*──*──*── 教室
「 ──ねぇねぇ、寧子が行方不明って知ってる? 」
「 知ってる!
8月の…23日頃だっけ?
まだ見付からないんでしょ? 」
「 そうなの!
行方不明になる前日に寧子から、一緒に『 爺碼竝駅に行かない? 』って、ラインが入ってたんだよね! 」
「 あ〜!
それね!
アタシにも来たよ〜。
断ったけど 」
「 うん、私も断っちゃったな…。
爺碼竝駅って無人駅になったんだよね? 」
「 そうそう!
寧子、1人で無人駅になった爺碼竝駅に行ったのかな? 」
「 だけど…爺碼竝駅も無人駅にはなったけど、防犯カメラは設置されてるじゃない?
改札口に設置されてる防犯カメラにも、ホームに設置されてる防犯カメラにも、待合室に設置されてる防犯カメラにも寧子の姿は映ってなかったんでしょ? 」
「 そうそう。
無人駅だなんて言われても、ちゃんと監視はされてるのよね。
だから、爺碼竝駅へ行く予定だった寧子は、結局のところ、爺碼竝駅へは行かなかったんじゃないか──って思われてるのよね? 」
「 『 爺碼竝駅へは向かったけど、道中に事故に遭ったんじゃないか 』とか『 家出したんじゃないか 』とか『 誘拐された? 』とか言われてるのよね? 」
「 仮に誘拐されてたら、生きてないんじゃないの〜?
何処かの山に埋められてたり、何処かの海に沈められてたりして! 」
「 やっだ〜〜。
でもでも、テレビで見るよね。
誘拐された後に薬漬けにされて──。
きゃぁあ~~~~~~ってねぇwwww 」
「 あるある〜〜〜。
怖いよねぇ〜~wwww 」
「 8月23日前後の事故や事件を調べたけど、女子高生が被害に遭った事件や事故はなかったんでしょ? 」
「 拉致…されちゃったとか?? 」
「 えぇ〜〜。
海じゃあるまいしぃ〜〜。
ないでしょ? 」
「 ──あぁ、でもぉ〜〜。
隣町のコンビニで寧子が買い物してた様子がコンビニの防犯カメラにバッチリ映ってたみたいよ 」
「 見た見た、ニュースでやってたよね!
他にも防犯カメラに寧子らしい子の姿が映ってた映像が見付かった──とかね 」
「 爺碼竝駅に行ったかは分からないけど、隣町には行ってた──って事だよね? 」
「 何度ラインしても既読は付かないし… 」
「 …………心配…だよね? 」
「 断らないで一緒に爺碼竝駅に行ってれば、寧子が行方不明になる事もなかったのかな…… 」
「 ──済んじゃった事を後悔したって仕方無いよ!
寧子からの誘いを断ったからって、責められたりしないわよ。
用事があったから断ったんだもん。
悪意なんてないでしょ!
寧子が行方不明になるなんて、誰にも分からなかったんだし! 」
「 う、うん…。
だよね……。
ウチ等は悪くないよね? 」
「 …………寧子…早く帰って来てくれないかな… 」
「 アタシ達に出来る事はさ、寧子の無事を祈る事ぐらいじゃないかな? 」
「 帰って来た寧子を何時も通りに迎えてあげる──とかね! 」
「 うん…、そうかも 」
「 そうだね… 」
「 ──よし!
寧子の話は終わり!
帰ろ、帰ろ! 」
「 ねぇ、映画観に行かない? 」
「 えぇ〜〜、カラオケがいいなぁ〜 」
「 公園にさ、美味しいクレープ屋が来てるんだけど、寄ってかない? 」
「 クレープかぁ。
寧子、クレープ好きだったよねぇ…。
欲張ってさ、3つも買ってたよね! 」
「 あたしは4つ買ってたの見たけど? 」
「 寧子は食いしん坊だったよね〜~~ 」
「 公園でクレープ食べたら、映画を観に行こう!
時間があったら、カラオケするの。
どう? 」
「 それにしよ! 」
「 今日は午前の午前だけだもんね。
行こ、行こ! 」
寧子の友人達は、お喋りを中断させると早々に教室を出て行った。