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×  作者: と金
第一章 Angel Soldiers vs Dark Alliance
24/25

特例中の特例

これでまぁひと段落着いたかな。ぼちぼち更新してくのでよろ〜

「…最初に。本来は私が直接君達に伝えたい事だったが、こちらも多忙で時間が取れなく文書での指令となることを許してほしい。君達に伝えたい事は2つある。

…一つ。先日の大戦、本当によく頑張ってくれた。そして同時に、君達にこれ以上無い程の謝罪を伝えたい。天使の能力を得た優秀な戦士とはいえ、君達にはあの悪魔は強すぎた。その判断と対応が遅れ、君達を非常に危険な状況まで陥れてしまったのは私の責任だ。本当に申し訳なかった。だから、あのことを自分の責任だと自身を責めないでほしい。

今回の惨状を受け、我々は希少かつ大切な存在である君達を守るため、緊急時の体制強化に努める。これから身の危機を感じた時はすぐに伝えてほしい。しかし、あくまでこれは君達が深刻な状況に陥った時の話であって、君達の能力が無いと嫌味を含んでいるわけではない。私は君達天使の能力、実力、そしてチームワークを信頼している。…君達は本当に強い子達だから、希望を捨てずにこれからも邁進して欲しい。心から応援している」

「………………」


「…そして一つ。君達が対峙した『ベアル・レド』、そして『スクラーヴ・ハーバー』。実は彼ら、あの他にも数人手を組んでいたらしい。悪魔は個が強く団体行動をしないと思っていたが…9人のメンバーで構成されている団体を形成していた。組織の名を、『悪魔枢軸同盟ダークアライアンス』。

彼らの目的は全人類を全て悪魔化させて従わせる、という事だ。我々ソルジャーは必ずこの計画を阻止しなければならない、もちろん君達も彼らと交戦し制圧する事になると思われる。心して行動するように。

…ここまではまだいい。ここまでは少なくともの想定の範囲だ。しかし、彼らダークアライアンスは「悪魔を人間に戻せる存在」を最も恐れ、狙っているようだ。…君達、『天使』の殲滅を優先する、ということだ」

「えっ……………!?」

「私達を……狙う!?」

「おいおい、あんな強え奴がまだ俺達を襲ってくんのかよ…!!」

天使達はゾッとした。あの惨状、あの圧倒的強さ、敗北感、そしてどうしても届かない実力差の無力感。彼らは、あのような悪魔を到底倒すことは出来ないと思っていた。


「…話を続けるぞ。

もちろん、ベアルとスクラーヴのように能力差がある人達が集まっている。全員が同じ能力値を持っているとは限らない。しかし、もし仮にそれ以外の全員がベアル級…もしくはそれ以上の実力者だったとしたら、君達はどうしても手に負えないだろう。

……だから、これから君達には修行に出て欲しいんだ。指導者とはもう話はつけてある、君達も知っている人達だ。これから一月ほど君達は師の元で修行し、ブレイバー時代では習えなかった高度な戦闘技術を身につけることを目的とする。君達の能力についても色々教わることがあるだろう。あの戦いで自分自身の非力さに気づいた君達が成長する為に、彼らも手を尽くしてくれるだろう。勿論、君達自身も少しでも成長出来るよう頑張るように」

「…修行…え、これから修行パートはいるの???」

「俺達、…まだ強くなれるってことか?」


「…では、各メンバーの、それぞれの指導者の名前を伝える。聞き間違いのないよう確りと聞くように」

「え、全員一気にじゃねえの?」

「能力の性質が違うから…じゃないかな」



一方、幻夢は一人、外の景色を見ていた。フェンスに体重をかけ、冷ややかな風の肌触りを感じながら黄昏れる。

彼の眼は影を落としていて、気分があまり上がらないのが分かるように何度もため息をついていた。

「……はあ、俺は何をやっているんだか…」


悪魔ベアルとの交戦、仲間を守りきれなかった後悔、誰よりも先に行ってしまった無念…そして、自分の胸の内にある、得体の知れない何かが心の中で混乱するようにグルグル掻き乱され、吐き気さえも微かに覚える厭な気持ちに疎ましさを感じていた。

「…分かっている。分かっているんだが…本当は違うんだ。本当は笑顔で瞹におかえりと言って迎えてやれればよかったものを、どうして俺はあんな無愛想な態度で……」


その時、幻夢の脳裏にノイズが映った。

血の気がするような、残酷な景色。あらゆるものはゴミのように投げ捨てられ、悪臭もし、蜘蛛の巣も張るような、居心地の悪い部屋のことを、痛みのことを、孤独のことを思い出した。

「…うっ」

彼は眼をきゅっと閉じた。何かが自分を責め立てるようで胸が苦しくなる。

「…なんで、今更…こんな記憶が」


子供の声が聞こえ始める。それは自分にとって遠いような、聞き慣れたような、そんな曖昧な記憶の中で、幼くか弱い声だった。

「…ウシテ…ヒ…ニ…スル…ノ……」

「……」

「…どうして…『一人』に…するの」

「……やめてくれって言ってるだろ」

「…ごめんなさい。…さん、僕、悪い子だから」

「……だからっ、やめろって……!!!」



「おーい、お前独り言でけぇぞォ、こっちまで聞こえてくるんだが」

「!!!」

背後から聞こえてきた男性の声に目が覚め、幻夢は振り返る。

そこに居たのは、大きい帽子を被ったサングラスと顎髭の強面の男性で、大きく開かれた胸元の襟の中には龍の刺青が描かれている。その腰には、鍔なしの刀が帯刀されていた。


「あなたは…ソルジャー最強の戦士、『先鋭』の…『花火花はなひばな 丞兄ジョニィ』さん」

「よォく知ってんじゃあねえか。そうとも、この俺が『虚刀』の通名で知られるソルジャー最強の侍、花火花丞兄様…だ」

彼は手に持っていた煙草の箱をポケットに仕舞い、ハットを直す。


「…あー?お前見ねェ顔か…と思ってたが、お前アレか、『天使』っつー連中の一人か」

「…はい。ソルジャー天使支部の『生魂 幻夢』です」

「ほォ…なかなかお前さん、外っ面ァ男前じゃねえか。実はモテモテだったりして?」

「…いえ、別に」

「んな事ねェだろ〜!!お前最近のアレだ、アレ。そう出会い系アプリとか使ったらすぐ人来るぞ!ソルジャーも職業枠で優遇されるしな」

「…やりません。それに、俺も売名の為にソルジャーを務めているわけでは無いです」

「…っつェッ、ノリが悪いガキだなァ……ま、いいや」

陽気に話しかける丞兄。元の性格も相まってか、幻夢は完全に会話のペースを彼に持ってかれていた。


「先鋭とも呼ばれるあなたが…どうしてこんな所に?」

「…幻夢、おめェ、その面なら…『あの話』、まだ聞いてねえみてェだな。なら丁度いい。次のやつの手間が省けるってことだな」

「『話』…ですか」

「おうとも。この話はお前や、お前以外の天使達にも言える話だが、ここで出会った天使が丁度お前でよかったなァ。これも都合の良さ…ってモンか」

「…………」

「耳かっぽじってよく聞けよォ?最強剣士の先鋭様のありがてぇご報告って事らしいからな。あとこれは極秘命令だ。一回しか言わねェからちゃんと聞けよ?もう一回言ってください、とか言ったり、他の誰かにチクッたりしたら…その頭ツルツルの更地にしてやるからな」

すると、丞兄はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。ハットを外し、刺青の描かれた左胸元を少し引っ張り、次にこう言った。



「先鋭の一員、『花火花 丞兄』…明日よりソルジャー天使支部、『生魂 幻夢』の…『師範』となり、其に剣術指南をするよう承った……とな」



「…『裏座 怜虹』は、先鋭『蘭香 晴菜』、『ラベンダー・フォービドゥン』は、先鋭『せせらぎ 翠子』、『四靄 碧』は、先鋭『尊園 いづる』に……明日より指南を賜るよう命ず」


「…………………え、」


「「「ええええええええええええええええええ!?!?!?」」」

病室に響き渡る驚きの声。これにはあの寡黙なラベンダーも、他の二人と同じような驚き方を見せていた。

その様子を見た先輩二人は、吾椎は「やっぱりな」と笑い、無斎は「まぁそりゃ驚くよな…」とため息。


「うぉぉぉマジか、先鋭に戦いを教えてくれるなんてッ!!しかも相手は蘭香さん!!俺密かにあの人目指してたんだよなーー!!」

「せせらぎ、翠子さん…って、あのソルジャー最強の魔法使いの!?これもまた何かの示し合わせのようね…とても光栄に思う」

「みこと…その…いづる…??まぁよくわかんないけど先鋭ってことはめっちゃ強いひとなんだな!!これで私も最強の戦士として一歩階段を昇ったぞぉ……」

「アンタはまだ指導受けてないでしょ!」

この状況になっても、ラベンダーのツッコミは健在だった。



「あ、あの、あの!」

瞹が驚く天使達に釣られてびっくりしながら、緊張した声で手を挙げ無斎に問う。

「…あ、すまない。瞹のことを忘れていた。瞹は天使達が鍛錬をしている間、先鋭『権夏 檀像』のいる檀夏寺に行け。大丈夫だ、その寺は檀像さんの管轄下によって管理されている。生活における不安は彼によって保護されるだろう」


「そ、そうなんですか!……」

瞹はまたラベンダーに体を寄せた。彼女の心境を察したラベンダーは、両腕を瞹の体に回してふんわり抱きしめる。

「お姉ちゃん達は大丈夫。ちょっと寂しいかもしれないけど、私達頑張るから!瞹もちゃんとお寺のルール守って頑張りなよ、私達瞹の事応援してるから」

「う、うん…」


「…まぁ何とも仲のいいというか、本当に兄弟のような関係だなお前達は。その関係、大切にしろよ」

いきなり振り向いて鼻下を擦る吾椎。無斎はやれやれとため息を吐く。


「…ということで、俺達からは以上だ。幻夢にも伝えておけ」

「…あの、色々ありがとうございました」

ラベンダーが頭を下げるのを真似るように、怜虹と碧も深深と礼をする。

「はは、いいんだよ。後輩の背中押してやるってのは先輩の役目だからな。…色々辛いこともあると思うが、お前らも頑張れよ!」

吾椎は親指を立てて天使達に自信のある笑みを見せた。

「「「…………はい!」」」

「ホラ、犀星もなんか言え」

「……正直な話、先鋭に稽古をつけてもらうなど、これは特例中の特例でも有り得ないような機会だ。貰った時間を無駄にせず、少しでも多くのことを学べ。そしてこの機会に、お前ら自身のことも確りと見つめ直せ。過去を後悔するのではない。今のお前達がどう有ってどう有るべきかを考え直す事が、それが自分自身を高めるということだ。精神的な話ではな。肉体的には………………」

「犀星犀星、熱入ってるぞ!!話が長い!!」

「……すまない」


ソルジャー最強の戦士、先鋭。彼らに稽古をつけてもらうようになった天使達。先鋭は、どんな人なんだろう。どんな人にせよ、彼らはただひたむきに走るだけだ。

新しい出会いに期待と不安を膨らませていた天使達だったが、その心の中ではかけがえのない仲間への想いと、秘められた『希望』が彼らの道を照らしている。

読んで頂きありがとうございました

これで先鋭達の詳しい性格とか知れるといいですね!次回に乞うご期待しないでね


☆Babyfaced Rumors

「別に瞹の眼帯を剥ぎ取っても瞼が固く閉じられてるのでアイの解放は起きません。二重結界てやつでしょうかね。それではまた!」

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