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×  作者: と金
第一章 Angel Soldiers vs Dark Alliance
22/25

お願いがあります

お久しぶりです

ちょっと滞ってたんですけど新キャラも続々公開したのでそろそろ書かなきゃなって思ったので書き始めました〜

世界は混乱に満ちていた。

連日テレビが映しているのは、あの悪魔達『ダークアライアンス』が宣言した『全人類悪魔化計画』について。今まで人間が目を背けていた問題が、今ここになってようやく牙を剥き始めたのだ。

人々は怯え、不安を煽り合い、次々に負の感情エネルギーを溜めていく。しかし、それも彼らの思うつぼ。不安、恐怖、鬱気…負の感情が人間に異様に蓄積されることによってまた悪魔が生まれる。彼らがわざわざソルジャーにそう宣言したのは、その理由もある。

ダークアライアンスは、悪魔は、あの一瞬にしてこの世界を混沌で支配し始めていたのだ。



しかし、ソルジャー最高責任者、久夛良木倭文禰はそこである決断をする。

情報が外界に盛れ出さぬようシャッターの締まりきった、薄ぼんやりと暗い部屋に、彼はある『8人』を集めた。その面々は横一列に並び、その荘厳な雰囲気の中で佇んでいる。

そして倭文禰はゆっくりと唇を開き、淡々と語り出した。


「ご多忙の中お集まりいただいたこと、大変感謝致します。やはりこうして8人全員集まっているのを見ると、皆さん…『流石の雰囲気だ』と、私も感激してしまいますね。

先日の例の件、勿論貴方達も把握しておられることでしょう。想定外のことが重なり、ありとあらゆることがいつもとは違うこの状況に、とても緊迫感を持たれているとご心境察します。

しかし我々は臆している場合ではありません。彼らには穀然とした態度で立ち向かい、人々を守ること。それがソルジャーとしての役目であり、私達に課された使命とも言えるでしょう。その理念はどのような状況に置いても、無論、この状況に置いても変わることの無いものだと、自覚して頂いていると…愚問だと存じながら、私は貴方達を信頼しております」


「さて、本題に入りましょう。…ここに居るのは、

『虚刀』、『鬼人』、『魔老』、『超脳』、『蛇道』、『仏覇』、『天童』…そして、『番長』。

…全員、集まりましたね」


倭文禰は続けた。

「『全人類悪魔化計画』、その文面を聞くと…まさに人類に対する挑戦、人類全てを敵にした全面戦争…と、受け取れるでしょう。確かに彼らは人間を悪魔にする事に執着を抱き、全ての人間を滅ぼそうと目論んでいる、と取れますね。

しかし私が実際彼らと対面して感じたこと…それは、『彼らの本当の敵は、ソルジャーの強い立場にいる人間ではない』ということでした」


「つまり、奴らは俺達『先鋭』…じゃなくて、他に排除対象がいる…って事ですかね」

宮太が出る。

「…その通り。勿論『最高クラスの実力を持ったソルジャー』である先鋭の貴方達の存在を危惧しているのは当然ですが、彼らが本当に、最も危惧しているのは貴方達では無い…ということです」

「んじゃ、その敵ってのは…」

続いて丞兄が出た。

「貴方達も存在は知っていましたかね…『天使』。私が特別な力を与えた、あの天使達の存在を…特に危険視しており、抹殺対象としているような…そんな感じでした。

彼らは非常に優秀な能力の持ち主です。…しかし彼らはまだ経験が浅い。若すぎる…と言った所でしょうか。…と言って、彼らが十分な実力を付けるまでに、彼らは必ず天使達の居場所を突き止めてくるでしょう。そこまでに至るのも時間の問題です」


倭文禰は立ち上がり、改まった顔で先鋭達に言った。


「そこで…『先鋭の皆さん』、今回は一つ…貴方達に、ある『お願い』をしたいと思います」



「…ない!!な゛い゛ぃぃ!!!」

「うっせーぞ碧ぃ!看護師さんや他の患者さんに迷惑だろうが!!」

「キレ気味でも一応礼儀は尽くすのね…」

病室から聞こえてきたのは、聴き慣れたあの声達だった。

涙目になってベッドの上でのたうち回る碧、彼女をキレ気味に窘める怜虹、そのやり取りを眺めるラベンダー。彼らはベアルらダークアライアンスの悪魔達によって致命傷ともいえる重傷を負ってしまっていたが、ソルジャー救護班の迅速な処置と治療や天使の常人離れした生命力のお陰で、一命を取り止め…今このように入院患者として過ごしている。


「っつても碧、何がねーんだよ、そんな慌てた面してよ」

「えぐ、ず、ずび…ご、ごんどろぉらぁ…が、ない……えっえっ…ぐす…」

「ごんどろ…?あ、コントローラーか。ゲームのコントローラーのことね、なるほど」

碧はティッシュで勢いよく鼻をかみながら激しく頷いた。

「つーかゲームのコントローラーってなんか繋がってんじゃなかったのか?」

「繋がってるけど取ろうと思えば取れたりもするんだよ…まぁ人の手が加わらないと取れないようになってるんだけれどな…」


碧は睨みをきかせて二人を見た。

「ちょ、ちょっとやめてよ。私達が取るわけないじゃない」

「お前それはやべぇぞ…流石にオレらのせいじゃねえってことぐらい分かるだろ」

「だっだら…だっだらぁ!!どっでない゛じょうごの゛ひどづでもだじでみ゛ろ゛よ゛ぉ゛ぉぉぉ!!!!!」

泣きじゃくる碧を見た怜虹とラベンダーは、互いにその呆れた顔を合わせた。

「そもそもなんで碧がテレビゲームなんか持ってきてるんだ?病院にないだろ」

「……無茶言ってシェアロッテ(天使の家)から取ってきてもらったらしいよ…」


「…なぁ、何か幻夢も言ってやれよ。つかお前ここ数日何の会話もしてねぇじゃねーかよ、ずっと外ばっか見ててよ」

幻夢は何も言わず、何の顔色も変えずに、ずっと窓の外の景色を眺めていた。

「確かにおかしいよね、幻夢は元々そんなに無口じゃなかったのに…」

その様子を見てラベンダーも心配そうだ。

「どうしちゃったんだろう、幻夢…」

彼女がぼやっと呟く。すると、



とんとん。とんとんとんとん。

病室のドアをノックする音が鳴った。

「すみません、お見舞いです。入れてもよろしいでしょうか」

看護師さんの優しい声が届いてきた。いつもはここで幻夢が受け答えるが、沈黙を突き通す幻夢の代わりにラベンダーは「はい、通してください」と答える。


「では、失礼します。…入っていいって」

ゆっくりと開くドア、そしてドタドタと駆け足で近づく足音。

その小さい人の姿は、四人のベッドの対角線上で立ち止まった。息を荒らげながらも、その目は真っ直ぐ、彼らの顔を見つめた。


「……………………、あ、」


「「「瞹!!!!!!!」」」


透き通るような白髪、宝石のように光る瞳。幼いその顔を覆う、真っ白い眼帯。そこにいたのは、昼月瞹。彼らは驚きの表情を隠せなかった。


「あ、瞹…なのか!?お前…生きてたのか…!!」

「あ゛い゛ぢゃ゛〜〜〜〜〜〜ん……………ぅぅ、い゛ぎででよ゛がっ゛だ〜〜〜〜〜………」

驚きながらも嬉しそうに彼女を見つめる怜虹と、彼女の生還と再会に今度は嬉し涙をボロボロと流す碧。


「えへへ、お兄ちゃん、お姉ちゃん…ただいま!」

瞹はとびっきりの笑顔を見せた。その弾けるような笑みに、釣られるように天使達も笑顔がこぼれる。


「…瞹、おいで」

ラベンダーが手招きをして瞹に来るよう言った。

「え、でもお姉ちゃん…」

「私は大丈夫。ほら、だっこしてあげる」

瞹は靴を脱いで、ベッドに登り、ラベンダーの目の前にちょこんと座った。その背中をラベンダーの腕がふんわりと包み込み、きゅっと力を込めて彼女を抱きしめた。瞹もラベンダーを抱き返し、その感触と体温を感じている。


「…生きててくれて、ありがとう。みんな瞹のこと待ってたよ。…よく頑張ったね。瞹は、強いね」

背中をぽんぽんと優しくたたいて、ラベンダーは囁くように瞹に言った。

すると瞹はその手を離して起き上がる。その顔は何だか不満そうで、フルフルと首を横に振る。座る向きを変えて皆の方を見た。


瞹は一呼吸置いて、静かに語り出した。

「瞹…ちょっと、『眠ってた』。

すごく深い、赤い海の中で…ゆっくり沈みながら、自分が自分じゃなくなってくような…そんな夢。

男の子に出会ったの。けどその子は悪魔だった。私を使って、いや、私を乗っ取ろうとしたんだ。

…私は、負けてしまって、とても深い海に突き落とされちゃった。もう二度と引き上がれないような海だった。…あそこで誰かが私をすくい上げてくれなかったら、私は私じゃなくなって…悪魔になって、お兄ちゃんやお姉ちゃんを、傷つけてしまったかもしれない」

彼女は続ける。

「あの子は強い子だった…本当に、誰よりも強い力を持ってた。私は…その子に助けて欲しかった。それに、その子にみんなを助けて欲しかった。だから私の体を渡しちゃった。…あの子が私を乗っ取って何をしたのかは分からない。私がどうなるかも、みんながどうなってしまったのかも、あの私が知る事は出来なかった。もしかしたら、今みんなとこうして話しているのもすごい奇跡なのかもしれない。

だから、私、強くなんてないよ。まだまだ弱い、みんなに守られるだけの私。…すごく、悔しい。みんながあんなに頑張って私を守ってくれてたのに、私、何も出来なくて…」


瞹はぎゅっとスカートの裾をつまんだ。その手は震えている。

そこに、「瞹」と言う声が聞こえた。

その声の主は幻夢。彼は瞹の方を見、僅かに目を逸らしながら彼女に語りかけた。


「…俺達こそ済まなかった。俺達はそもそも瞹、お前を守るためにソルジャーとしている存在だ。なのにお前を守りきれなかった…危険に晒してしまった…お前までも、戦いに巻き込んでしまった俺達の…、そしてそいつらを代表する俺の力不足が生んだ結果だ。…本当に、済まなかった」

「幻夢、お兄、ちゃん……」

「俺達は一度、お前に命を救われている…いつだったか覚えているか?俺達がベアルとスクラーヴに殺されかけた時、お前がベアルに立ち向かって、あいつを止めてくれたよな…

とても感謝している…が、その傍ら…俺はお前のように幼い子に助けてもらわなければいけないほど無力な人間なのだとも思った。俺達こそ強くなんてない。お前は強さを求めなくていいんだ。それは俺達に課されたことであって…

…いや、悪い。そうやって言う権利も俺には無いようだったな。許してくれなんて乞うつもりは無いが…、俺や、俺達が…もっと、強かったら…お前をしっかり守ってやれるほどの力があったら…」


沈黙に包み込まれた。

恐らく他の天使達も同じことを考えていたのだろう。黙り込んで、目線の行き場を失い、俯いていた。

天使達に課された課題、それは悪魔を人間に戻すことだけではない。昼月瞹を護衛すること。それを全う出来なかった心残りが、彼らの心を押しつぶしていた。

「お兄ちゃん、そんな、そんな事、言わないでよ…瞹、瞹は、ただ……」

瞹は泣きそうな声で幻夢に言い寄る。しかし、そのいつもと違う幻夢の風格に、口を閉じてしまった。



コンコン、ガチャ。

ドアをノックする音がなったと思えば、今度はノータイムでドアが開かれた。

天使達はその方を見る。

「折角の再会の所すまないな、見舞いに来たぞ、お前達!」

「話には聞いていたが若いな…何でそう悩んでいるのか」

スーツを来た二人の成人男性が現れた。

とても男らしい顎髭の生えた顔つきの男と、前髪を一本残して両方に分けたピアスの男。



そんな彼らを見て、突然の来客に驚いた天使達は一言呟いた。


「………………誰?」

読んでいただきありがとうございました

あの…後書き書くの実は割とだるいんですよ(おいこらw)。なのでまぁ、たまに手抜きの時あるので先に謝りますゴメンナサイ

さて、天使たちの前に現れた男性達は誰なのか???次回も乞うご期待しないでね


☆Babyfaced Rumors

「天使の「アイ解放」と悪魔の「アイ解放」は根本的に仕組みが違います。なので天使の方は目の辺りの血管が浮かびますが悪魔は浮かびません。それではまた!」

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