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×  作者: と金
第一章 Angel Soldiers vs Dark Alliance
16/25

叛逆者と裏切り者

かだいあきらめた

「………………お前か」



「「「!!!!!!!!!!!!!」」」

ベアルの方から声がした。否、ベアルの声がした。倒したはずだと思っていたベアルはまだ生きていた。


「あいつ、まだ生きて……!!」

「ちょっと待って………何か上の方で気配を感じる」



ビルの屋上から、その様子を黄色い目が見つめていた。

「あーあ、見つかっちゃった。結構楽しかったのになあ、ベアルさんあんなに呆気なくやられちゃうなんて」

「……何だと」

「まぁーまぁー怒らないでよ。僕だって悪気があって言ったわけじゃないからさ!」

ベアルは立ち上がり、スクラーヴの服を掴んでビルの屋上へと飛び乗った。


「流石に僕もベアルさんの言いたい事はわかるよ。一国の騎士団長だった経験もあるしね。あの幻夢君にやられた瞬間、君は自身のキリマクアスを緩めたよね…悪魔の仲間を殺させない為に」

「…そうだ。だがそれでも間に合わなかった…俺の判断ミスだ。どうもこうもない。最悪だ……ここまでの屈辱は味わったことがない。非常に腹立たしい。…ともかく早く傷を治せ。奴らが行ってしまわないうちにな」

「はいはい、相変わらず頑固な性格だよねえ、はい」

黄目はベアルの肩に手を置いた。彼の目が万華鏡の様に廻る。


「あいつも悪魔か……そしてアイ解放を…!!」

「えっ生魂さんそんなの分かるんですか!?私らにはあれは遠すぎてさっぱり……」

「俺は姿を見ているんじゃない、ヘイトの動きを見ているんだ。あの新しく来たやつのヘイトがベアルへと移っていく…っ!?多分あいつ黄目の悪魔を使って回復してるぞ!!これ以上攻められたら俺達は戦えないぞ!?どうするんだ!!」

「ととととにかく早く脱出しなければ行けないということですね!!早くヘリを出してください!」

「了解!」


「『アイ解放』、『Panoplía klímakas(竜騎士の王国)』!!」


倒れる悪魔達に向かってベアルからヘイトが注ぎ込まれる。悪魔達がゾンビのように次々と立ち上がる。

「クソ…折角俺達があいつらをやっと倒せたのに…!!」

「さあ行け。今ならお前達もあいつらを殺せるはずだ。どんな手段を使ってでも良い………殺せ」

ベアルが腕を掲げて悪魔達に命じる。悪魔達の目が黒くなり、彼らはヘイトで各々の武器を形取り構えた。

「やべぇ…ここは一番ホープが残ってる俺がこいつらを…!!」

怜虹が皆を庇うように立ち上がった。



しかし悪魔達が武器を放った先は天使達の方ではなかった。その方向はヘリでもなければ、空を飛びゆく鳥を狙ったわけでも無い。


彼らが放った数多の武器は、ベアルの体を貫いた。



「えっ………!?何が起こって………」

「あ〜らら…」

彼は血を吹き、ビルの屋上から地面に落ちていった。


「…どうして、あんな事を……」

天使達が驚いていると、ある一人の男があの悪魔達の大群の中から出てきた。幻夢の方たちに近づいていく。

「…っ、クソ、俺がやるしか…!!お前らは俺の後ろにいろ!」

「待て!待ってくれ!俺はお前達に敵意はない!その証拠に俺の武器を捨てよう」

男は自分の手に握られていた武器を投げ落とした。そして男は天使達の前に立ち、深々と礼をした。


「……お前達には感謝する。ソルジャーの皆、いや、天使の皆。俺は悪魔になってしまい、この世から迫害され人間達を憎んでいた…そこをベアルに救ってもらった、居場所を作ってくれたが…結局、俺はまだ人間の温かみが忘れられなかったようだ」

よく見ると彼の目はもう悪魔のあの黒い目ではなくなっていた。そして彼はまた振り返った。

「しかし俺が今人間になってお前達や人間達に許してくれと乞っても許されないことくらい分かってるさ…だから、ここであのベアルと戦いお前達を逃がし、そしてこの戦場で命を落とすことがお前達に対する償いだと思っている…では、さらばだ」

「おっ…おい!」

引き止めも聞かず、彼は生身でベアルの方へ向かっていった。


「……幻夢」

「…もし仮に悪魔が人間に戻れた、としても、悪魔になってしまった憎しみまでも拭いとることは出来ない。俺にはあの人に生きていて欲しかったが…どうもこういう結末になってしまうのか。何も出来ない事がとても悔しい……」

幻夢は下唇を噛み締め、カタカタ肩を震わせていた。そこにラベンダーが幻夢の震える体をトン、と叩く。

「でも幻夢、あの人達が命を張って私達に生きてって伝えたんだ。私達の命を繋げてくれたんだ。その想いを無駄にしない為にも…あの人達に任せよう。ここで私達が生きて帰ることが…あの人達にやってあげられる事だから」

「ヘリ飛びます!皆捕まってて」



「………人間とはこうも浅ましく、そして下衆に成り下がろうとする者なのか。俺がお前達に何を求めていたと思うか?…それは『革命』だ。悪魔の存在を否定され、虚の平和を偽り続ける世界を憎む。そして叛逆するために俺達は戦い続け…遂には人間を殲滅し勝利という形でお前達と共に生きたかったのだが…な。所詮悪魔といえお前達の憎しみは中途半端な『贋作』に過ぎなかったようだな」

ベアルが剣を取る。

「悪魔となり下克上を起こしてこの世の栄誉を勝ち取る選択を捨て、もう一度人間らしく安寧な生活をしようとでも言うのか……実に愚かだ。まぁいい、そこまで言うなら俺はもうお前達を諦めよう。ただし、お前達の…………命は無い」

「行くぞぉぉおおお!!!」

「「「うぉおおおおおぉぉおおおおお!!!!」」」


ベアルは剣を携え、向かってくる大群に対して堂々と構えた。

「……来い」

右から来る敵に剣を一振り、左を攻める者には蹴りを入れ、上げた足を踏み込み軸にして回転斬撃、隙を狙う者を薙ぎ払って着地、後ろを狙う者には攻撃を受け流して掴み投げ飛ばす。上からの攻撃を躱して剣を突き立て、近づいてきた者を両足で蹴飛ばす。

投げられた槍を掴み投げ返し、後隙を狙う者の脚を引っ掛けて蹴飛ばす。連発される弾丸をものともせず突っ込み、銃使いを高く斬り上げて真っ二つにした。


「……すげー」

「…分かるのか、碧?」

「この戦い方、本当に無駄がない…碧は分かんないけど、格ゲーとかもこういうことって共通する大事なことなんだ。それは隙を無くすことと隙を狩ること。どんなに破壊力のある武器やどんな攻撃をも跳ね返す鎧を着てても、隙を上手く狩られたら誰でもそこを突けられて負ける。逆にそこを突ければ一気に押し倒すことが出来る。しかもあの大人数に対してそんな一瞬の隙も晒さずに戦えるなんて…よっぽど訓練で洗練されてるんだろう…立ち回りとか」

上空からその戦いを眺めている天使達。あまり戦わない碧でさえもベアルの戦士としての底知れなさを知った。


「………一人一人相手をしている暇は無い、そもそも最初からお前達に用など無いのだ……失せろ」

ベアルは剣を両の手で構え、大振りの回転攻撃を放ち辺り数十メートルの敵を一度に吹き飛ばした。

「「「ぐぁあああああ!!!」」」

「ふん…下らんな」



「ベアルさーん、もう天使ちゃん達逃げちゃうよ?あのままにしていいの?」

様子を見ていた黄目がベアルに言った。その時にはもう既にヘリは高い位置までに上昇していた。

「いや、墜とすのならある程度高い方が良いと思っただけだ。丁度今……墜とすところだ」

ベアルはそこに都合良く落ちていた槍を拾う。

「…ふん、投槍術か…懐かしいものだ。剣ばかり使って若干腕は落ちているようだが…それでもあの程度の距離ならわけも無い」

ヘリの方に指を翳し照準を構える。ベアルの目に万華鏡模様が映った。

「やはりこの能力いいものだな…単純に目としての使いようも非常に良い、ここまで遠くを見通せるとは…」

槍を構えて、ベアルは全速力で走り出した。重厚な装甲をものともせず、韋駄天の如き疾走で助走をつけていく。


「ラベンダー、守護障壁を出せるか!!ベアルがこっちに向かって攻撃してくるぞ!!」

「……え!?分かった…!『15番目の魔法・アルジスの守護障壁』、展開…………っっっ、開けぇぇえええええぇぇえ!!!!!」

ラベンダーの最後のホープを振り絞った泡の守護障壁はベアルが放った槍を何とか弾き返した。障壁にヒビが入りヘリが大きく揺れる。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

「捕まってろ瞹!けど…よくやったラベンダー!お前のおかげで追撃を防げたぞ!」

「……はぁ、はぁ……この魔法は一発出したら力を込めなくても、壊れるか魔法を解かない限り存在し続けるから…このまま逃げ切れれば…!!」

読んでいただきありがとうございました

蘇ったベアル、天使たちの命は助かるのか!?次回も乞うご期待しないでね


☆Babyfaced Rumors

「ベアルは文武両道を体現したみたいな人でありとあらゆる武術を多用することができます!(一番得意なのは剣術だけど)それではまた!」

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