完全燃焼!!!
書いてて詰まったら課題やるって風にしたのに詰まらない。この世界はひどいもんだ
「りゃっ!!!!!」
ドゥゥン!!!
碧が裏手で空気を押し出すと、ベアルはその風圧で遠くに吹き飛ばされた。彼は難なく受身を取り着地したが、ベアルの重い装束をものともしない、とても強い衝撃波を放ったことが分かる。
「ぐっ…………!?何だこの小娘の力は……!!」
「……っ、こいつッ!!!アイ解放『クウェックシルバー』!!……」
碧は拳を腰に構え、攻撃態勢をとる。
「おっ…りゃぁっ!!!!!」
次に飛び込んできたスクラーヴには腹部に強烈なグーパンを食らわせ、パァンという破裂音と共に遠くに吹き飛ばした。何回も地面を飛びながらバウンドして、コンクリート壁にぶつかりクレーターのような穴ができた。
「ぐぷ…………っ、ぐぺっ……」
仮面越しに吐血するスクラーヴ。それから少しして彼は気を失い項垂れる。
「……っ!?何だあいつは!?スクラーヴ様はおろか、キリマクアスを装着したベアル様を触れずに吹き飛ばすなんて…」
「しかもスクラーヴ様はクウェックシルバーで全身ガードし、非常に硬度の高い身体になっていたはず…その硬い体を破壊したというのか…!?」
「お前ら全員まとめて碧が相手してやる!!来い!!!!!」
碧が悪魔の大軍の方へと突っ込んでいった。
「…!幻夢!怜虹!今のうちにこっち来て!」
ラベンダーの呼び掛けに二人は応えるように集まった。
「ちょっと手出して……」
幻夢と怜虹が手を出すと、ラベンダーはその手をとる。ラベンダーの目が変わり、手が紫色に光りだした。
「アイ解放、『無限泡沫』…『7番目の魔法・ゲーボの泡泉癒薬』……!!」
「ラベンダー、お前…ホープを残して……」
彼女は既に体力の限界が近い。とても息が荒く、光泡の光も点滅して消えかかりそうだ。しかしラベンダーは治療を続けた。
「私の能力はどっちかと言えばサポート向きだから、多分、回復に使うホープの方が扱い慣れてる。…こっちの方が少ないホープで出来るんだと思う…効率的にね」
「ラベンダー……」
しかし幻夢はラベンダーの手を途中で離した。
「ちょっと幻夢…!まだ治療は終わってな…」
「いや、これで十分だ。それにラベンダー、俺たちの回復に回すことによってお前が倒れてしまったら意味が無い。俺も怜虹も、これで大丈夫だ。お前は、瞹と、それと自分を…大切にする事に専念しろ」
怜虹もラベンダーの手をそっと離し、立ち上がった。
「二人とも…っ!……はぅっ…!!」
「ラベンダーさん!!」
ラベンダーは倒れるように地に手をつく。胸を抑えて、とても苦しそうにしていたところを瞹が心配そうに寄りかかった。
「……すまない、俺たちがもっと強ければ、不甲斐ない戦いをしていなければ…お前をここまで苦しませることもなかったのに」
「…いいよ。幻夢のせいじゃない。それに、幻夢も、怜虹も、碧も瞹も、みんな生きて私の傍で戦ってくれる。それだけで凄く嬉しいから。幻夢は優しくて、強い人だよ」
「けどよ、これで終わったわけじゃねえ。『今始まった』んだからな、慰めあってる暇はねーぜ。んで、どうすんだ?幻夢」
怜虹とラベンダーは幻夢の方を見た。瞹も釣られて真剣な顔で幻夢の方を見る。
「作戦を伝えるぞ。……今は碧が前線で頑張ってくれているところだ。あの悪魔の大軍は碧に任せる。ラベンダーはもう限界だ。ラベンダーと瞹を守るのはお前だ、怜虹。二人を守る形で辺りの悪魔たちを倒してくれ。あの仮面の少年はしばらく動けないだろうからな…」
幻夢は目を見開き、光剣を生み出した。
「統領は引き続き俺がやる…ラベンダーに貰ったこの『希望』を、露ひとつ残さず絞り切り戦おう。怜虹、分かってるな…」
「おう、健闘を祈るぜ。幻夢」
「………行くぞ!!!」
「…待たせて悪ぃな!援護に来たぞ碧!」
怜虹が碧の所についた。碧は既に悪魔の軍を次々とバタバタ倒していく最中だった。悪魔達の戦いている内に彼女は立ち止まり、怜虹の方をゆっくり見て、自慢げな目付きで彼に問う。
「…ねぇ、碧、かっこいいかな…!?碧、みんなの役に立ててるかな…!?」
怜虹は少し驚いた。あんなに頼りなさそうな碧が、今度はこんなに自信満々に戦っているなんて。怜虹はその誇らしげな面持ちを見て、思いっきり笑いながら答えた。
「あぁもちろんだ、それを常日頃やって欲しいくらいだがなぁ!」
「ぐっ…いつもこれが出来たら苦労しないよぅ。しかもこれ時間制限つきだし」
怜虹の最もすぎる正論に碧は少しぎくっとした。しかし碧は直ぐに構え直し、敵に対して目付きを鋭く睨ませた。
「冗談だよ碧…お前はそれでいい、それでこそ碧だ!!うし、じゃあ俺も行くぞ!!ラベンダーにホープ貰ったから俺も元気満タンだぜぇえ!!アイ解放、『烽火連天の憎喰』!!!」
幻夢はベアルに斬りかかった。体力を回復した幻夢の剣撃はさらに鋭く、そしてさらに素早くなっていた。
「お前を待ってやった事に感謝せよ、今度こそお前の本気を見せてもらうとしよう」
「もう待ったは無しだ…ここで決める!!アイ解放、『六根清浄の業風』、『人界道 称名念仏・風纏剣技』!!」
幻夢の剣が振りかぶられるのをベアルが剣で受け止める。両方からの力が加わり、剣同士がカタカタと震えるのを感じた。
「もうこのパターンは飽き飽きだ…今度こそ片をつけるぞ!!」
「俺ももうお前との戦いは疲れた…退屈だ、という意味でな。この勝負を俺たちの勝ちという結末で終わらせるために、ここでお前に止めを刺す!!」
剣技の列戦が繰り広げられる。何度も何度も剣がぶつかり合い、その度に火花が散らされ、そしてまた剣を振る。カンカンカンと金属音が鳴り響き、その剣技の応酬はもはや並の人間の目には認知出来ない程のせめぎあいを極めていた。
「くっ……小癪なァ!!!」
ついにベアルが幻夢の剣を弾き飛ばした。空高く光剣が回転しながら吹き飛ぶ。
「もう死ね!!!!!」
ベアルの黒剣が幻夢目掛けて振り払われる。しかしそこに幻夢はおらず、剣が地を叩く感覚がベアルに届いた。
「………しまった!こいつの能力、超高速移動の事を忘れていた…この感覚、まさか残像か!?」
幻夢はその高速スピードを使い、残像を斬らせてベアルの背後に回り込んでいた。
「だから言ったろ……剣の扱いでお前に勝てなくても、俺はソルジャーとして、天使として、悪魔のお前に負けられないって!!」
幻夢がベアルを背中から蹴飛ばす。ベアルが吹き飛ぶのを追いかけるように幻夢は剣を振り払い空を斬りながら、まるで舞を踊っているように、『人界道』の超スピードでベアルを追った。
「この技は俺の『六根清浄』の中でも特に物理法則を外れた技の一つだ、『餓鬼界道』、力量保存の法則を応用した斬撃…相手を斬るイメージで剣を振り払う度に、俺の剣に風のエネルギーが蓄積される。その攻撃を相手に当てた時、その一撃には今まで空を斬った分のダメージが相手に与えられる!」
「こいつ、何か大きな技を仕掛けてくる!!ヘイトを生成してキリマクアスを強化し身を守らなければ…!!しかし……」
「『六根清浄の業風』、『餓鬼界道 形状記憶斬撃・鎌鼬乱舞 集ノ型』!!!!!」
遂に、幻夢はベアルの装甲キリマクアスを破壊し、ベアルにダメージを与えた。今まで振りかぶった分のダメージがベアルに与えられ、鎌鼬が舞うようにベアルを切り裂く。
「なんだとォ…!?ぐはあッッ………!!!」
風圧でベアルが空中に吹き飛ばされる。幻夢はそれも見逃さなかった。
「そして、『餓鬼界道』のもう一つの型!!今度は渾身の一撃を剣に溜め込んで……風を吸い込むんだ…俺の手には、究極に圧縮された風がある!!これをお前にぶつけ、お前に止めを刺す!!」
幻夢は深呼吸をすると、辺りの風が荒ぶるように幻夢の光剣に集まっていく。その剣は竜巻の様に風を帯び、非常に大きいエネルギーが溜まっていた。
「こいつの技、もう一つ種類があるというのか!?だとしたら……ハッ!?」
ベアルは幻夢の方ではなく、軍の方を見た。そこには無数にも渡り倒れている悪魔達の姿。その真ん中には残り少ない悪魔達を次々と蹴散らしていく怜虹と碧の姿があった。
「………………!!」
ベアルは目を見開き直した。ベアルの目に映った万華鏡の様な模様が廻る。そこに幻夢が飛びかかり、光輝く光剣を振りかぶった。
「『集ノ型』が斬撃を集めるのなら……この技は、斬撃を『解き放つ』型だ!!……これで終わりだ…!!『六根清浄の業風』、『餓鬼界道 形状記憶斬撃・鎌鼬乱舞 散ノ型』!!!」
ベアルに斬撃が通った。
幻夢が剣を斬り払ったその後には、竜巻のような風切りの繭がベアルを纏い、その体をズタズタに切り裂く衝撃を与えていた。
「ぐぁああああああああああぁぁぁ………!!!こんな人間如きに……この悪魔の王である俺が!!こんな人間如きにぃぃぃぃぃぃ……!!!!!」
花火のように血が吹き、ベアルは地面に堕ちていった。
「……やったか、幻夢!?」
「ああ、……そっちも、そろそろ終わるようだな……」
ホープを使い切った幻夢も地に倒れ込んだ。怜虹達も悪魔の大軍をやっと片付けられた所で、とても息を荒くしながらそこに立っていた。
「はぁ……はぁ……やっと、終わったあ……あ…」
「おっと、大丈夫か碧」
倒れかける碧を怜虹が支える。ちょうどここで碧の能力の時間が切れたようで、彼女はとても疲弊しきっていたが、清々しくやりきった顔で親指を立てた。
「……はぁ、良かった…」
「幻夢さぁぁぁぁぁん!!!」
ラベンダーはほっと胸をなでおろし、瞹は幻夢の方へ駆け寄ってきた。
「…瞹、無事だったか。良かった…お前が生きててくれて、本当に良かった。怖い思いをさせてすまなかったな…でももう大丈夫だ。瞹も頑張った。お前があそこで立ち上がらなければ、俺達も諦めていたかもしれない。俺達だけじゃない。お前も立派に頑張ったぞ……」
「……ぐす、怖かったよぉぉ…!!!お兄ちゃん、お姉ちゃんは頑張ったよ!!みんな、守ってくれてありがとうぅ………!!!うわぁぁぁぁぁん!!!」
瞹は安心して緊張が解けたのか、大粒の涙をボロボロこぼして、突然大声で泣き出した。幻夢は微笑む。立ち上がって片膝を立て、瞹を抱きかかええて彼女の頭を優しく撫でた。天使達の勝利を称え合う姿がそこにあった。
「ソルジャー救護班到着しました!これより隊員の救助に向かう!!」
ドクターヘリのようなヘリコプターが到着した。そこから重そうなバッグを持った大人たちがぞろぞろと駆け寄る。
「………やっと来たか。おっせえんだよ…」
「瞹、もうすぐ帰れるぞ。それじゃあ帰るか…もう日も暮れるしな…」
「……うん!帰ろう、幻夢さん!!」
瞹は止めどなく流れ落ちる涙を拭って、幻夢の手を引いた。
それを、ビルの屋上から、全てを見ていた黒い影。
「………………………へぇ、彼ら、なかなかやるね。あのベアルさんをここまで追い詰めるとは」
彼の黄色い目が廻った。
読んでいただきありがとうございました
やりましたね天使の皆さん!バンザイ!!次回も乞うご期待
☆Babyfaced Rumors
「アイ解放をすると瞳に万華鏡の様な模様が映ります。これはナ○トを見すぎた作者の影響です。それではまた!」