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×  作者: と金
第一章 Angel Soldiers vs Dark Alliance
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絶体絶命

本当はこの次の話とひとつだったんですけど力が入ってやけに長くなってしまったのでいいとこで切りました。

「怜虹っ!!!!!」

破裂するように血を吹きながら怜虹が倒れていく。

怜虹に突き刺さっていたスクラーヴのヘイトは融けだし、流れ込むように怜虹の体の中に入っていく。

「まずい、あの性質のヘイトが体に入られるとしたらいつまた爆裂するか分からないぞ!内側からあれをまともに食らったら死ぬ!怜虹、早くホープを生み出して体内で相殺しろ!」

幻夢が怜虹に必死に呼びかけるが、返事どころか彼はピクリとも動かない。

「無駄だよ…既に僕のクウェックシルバーはこいつの身体中に回っている、そしてもう硬質化も始まってる」


「くっ…これでも喰らえ…!」

ラベンダーが立ち上がり、手で銃のハンドサインを作る。するとその突き出された人差し指に向かってブクブクと光泡が集まっていく。そして集まった泡は次第に大きくなり拳ほどの大きさにまで成長した。

「ベアル、あそこ…」

「何…?」

悪魔達もそれに気づいたようだが、ここまで溜め込んだものはもう止められない。

「穿て、暗闇を射る光泡の弾丸!『9番目の魔法・ハガラズの泡沫弾丸』!!」

泡状に変形させたホープをスクラーヴ達に撃ち出した。

泡沫弾丸はその凄まじい速度により形を歪ませながら、風切り音を響かせて飛んでいく。


「ふん…下らん。その程度の飛沫如き、この俺の神剣によって斬り潰されるが良い!」

「いや、どいて…ベアル、むしろ…僕がやった方がいい」

スクラーヴは前に踏み込み、掌を前に突き出した。するとさっき怜虹に傷つけられた腕から流れ落ちた血の血溜まりがバシャバシャと波立って針状に変化し、光泡を突き刺して割らせた。


「そんな…あれ程の速さを見切ったというの…!?」

ラベンダーは息を切らしながら地に膝をついた。「ラベンダーさん…!?」「だいじょぶ!?」と瞹と碧が支えるように彼女に飛びつく。

「大丈夫…私は」

ラベンダーは碧の回復分で自分のホープを使ってしまっていた。彼女は滴る汗を拭って、再びホープの再生成を始めた。


「スクラーヴ、この俺の能力を舐めているとでも言うのか…!?」

ベアルはスクラーヴに怒りの姿勢を見せたが、スクラーヴはやや呆れながら冷静に「あれを見て」と光泡が割られた所を指さした。

そこには針状のヘイトの光泡に触れた部分がドロドロと融けだし血の色に戻っていく様子があった。


「あいつが撃ったのは言うまでもなくホープの弾丸…ホープとヘイトは相殺関係にある。もしあの泡がベアル、君の剣で叩き潰す形で弾丸に当たったとしたらどうなるか流石に分かるよね?」

「当たり前だ、相殺するのならばこの剣は溶ける。だろう?しかし溶けたとて、また体内ヘイトが残存する限り生み出せばよいではないか」

「それは正しい…でもあいつの狙いはそれだけじゃない。天使はホープを生命力として体に溜め込んでいる。もしあの泡が僕達の近くで割れて、こいつらがあのホープを浴びたら…こいつらは回復する。それに折角僕がこいつに打ち込んだクウェックシルバーも相殺されて仕込みがパーになる。それは困るんだ。

つまりあの弾丸は僕達への攻撃だけではなく、こいつらを巻き込んで回復させるためのサポート技でもある。攻撃兼回復技ってところかな」

スクラーヴは動かなくなった怜虹の髪を掴んで、その体格差をものともせずにその体を高々と引き上げた。


「ねぇベアル、こいつもういいでしょ?見るからに虫の息すらしてないし」

「構わん。殺した後の手順は確認した通りにやれ」

「………分かった」

スクラーヴがまた目を見開き、彼のアイ解放を示す、風車のマークが彼の瞳に映った。


「…!」

スクラーヴの目の前で何かが破裂したようだ。

「またそれかい…?意表を突いたと思ってたのなら残念だね。こいつを助けようとしたのか?それは無理な話だ」

スクラーヴの目の前でドロドロと針が血の色になりつつ融けていく。ラベンダーの泡沫弾丸を割って止めたのだ。

「はぁ、はぁ…っ、これも聞かないなんて…幻夢…こいつを早く止めて…ッ!?幻夢!?」

「フハハハハハハ!!!そいつも無理だなぁ、なぜならこいつのホープはほぼ底をついたからだ!見ろ、この光剣の何と細々しいこと!こいつは俺にホープを与えようと奮闘した訳だが、逆にこの俺の神剣にその希望を削ぎ取られてしまったようだな!!なんと哀れな天使たちよ、同情するぞ!!!」

ベアルが派手に高笑いをした。

その奥では血だらけで息も絶え絶えの幻夢が、支柱の太さにも満たない程度にまで細くなってしまった光剣を握って立ち尽くしている。

彼の余力は立っていることで精一杯のようで、しばらくして幻夢も地に倒れ込んだ。


「お兄ちゃん!!!」

「幻夢!!」

瞹も碧も口々に彼に呼びかけるが返事がない。

「こいつもここまでのようだな…?さて、ところでお前たちをこれからどうするか…だが、俺は女子供に手を出すつもりは無い…それは戦士として、男として無礼に値するからな。安心しろ、お前たちの首は刎ねん。

しかしそれはお前たちを無事に帰す、ということでは無い。お前たちにはまだ確かめなければならん事が山ほどあるからな。俺たち悪魔の繁栄の邪魔になる者は、地の果てまで追い詰め、排除し尽くさねばなるまい。力づくで連れ出してその目を研究させて貰うこととしよう。その前に…


こいつの『斬首刑』を執行する」

読んで頂きありがとうございました

怜虹の体にはクウェックシルバーが完全に回っている、幻夢の意識も朦朧としていてその首元には剣が突き立てられ…!!

次回も乞うご期待!(しないでね)


(新コーナー)

☆Babyfaced Rumors(天使たちの噂小話)!

「スクラーヴは残忍な人体実験を施され、味覚が麻痺して無くなっているようですが何故かコーンスープだけは飲んでほっとするそうです。不思議ですねぇ」

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