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Prolog 完璧な淑女

「カナリア・バーナード公爵令嬢、どうか私と婚約していただけませんか?」




 6歳の誕生日、屋敷の庭にてカナリアはある少年からそう求婚された。相手は翡翠色の髪に琥珀の瞳を持つ、社交界の天使であり魔術・剣術・学問全てに置いて天才だと持て囃される我が国の第二王子・リヒトだ。まさしく絵に描いたような麗しい王子様からの求婚に、カナリアも心を踊らせる。




「私でよければ謹んでお受けいたしますわ」




 そう申し分ない縁談に頷いて彼の手を取った直後だ、カナリアは急に激しい頭痛がして倒れてしまった。


 そして、その晩高熱に魘されながら彼女は思い出したのだ。この世界が前世で自分がプレイしていた乙女ゲームの世界であること。そして、カナリアは最愛の婚約者と親密になったヒロインに嫉妬し苛めに苛めていじめまくった後、ストーリーのラストで婚約者だったリヒト王子に棄てられ国外追放となる悪役令嬢・カナリアであると言うことを。




 しかし時既に遅し。自分はつい一日前、まさしくゲームで悪役令嬢に裁きを下す婚約者からの求婚をうけてしまったばかり。既に破滅フラグの第一歩は立ってしまったのだ。




 優しい今の家族に迷惑をかけたり悲しい思いをさせたくはない。かといって、ヒロインの人生を邪魔するのもちょっと気が引ける。彼女には何の罪もないのだから。


 皆が出来る限り幸せなエンディングを迎える為には、自分はどう破滅を回避するべきか……。




「そうだ!今から学べることは全て学んで、私がヒロインはもちろん誰にも代わりが務まらないくらいの完璧な淑女になればいいんだわ!!!」




 ーー……カナリアは勉強こそ得意だが、少々思考が単純すぎる残念なおつむをしていたのだった。




 だが、確かにカナリアのこの思いつき、悪い案ではないのである。


 貴族の結婚は言わば政治だ。代わりが居ない重要な立場の人間をおいそれと国から追い出したりはしないに違いない。


 そうして、ただの女子高生からある日6歳の悪役幼女となったカナリアは、ゲーム開始の16歳までに完璧な淑女になることを一人決意したのだった。



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