~コンチ砂漠地点弍~
~コンチ砂漠地点弍~
次の日も、トモサとミサニを乗せたバイクは砂漠を猛スピードで突き進む。
トモサのマイクにミサニのこえが入る。
「 おにい。ちょっと胸が苦しい。」
トモサは心配になり
『 少し飛ばし過ぎたからな、この辺りで少し休もう。』
「 うん。ありがとう。」
そう言って、ミサニはバイクの速度を落として言った。
ミサニは胸を押さえ、苦しそうに
「 ごめん、おにい。急いでるのに・・・」
『 いや、かまわん、あれだけの速度だと、少しのブレでも転倒する可能性がある。処理能力が上限に張りついたのだろう。』
「 うん。ありがとう。でも違うの、たまにこういうことがあるの。」
『 そうか、機能不良があるのかも知れん。トライコーダープローブで点検しよう。』
そう言って、トモサはカバンから検査装置とプローブを取り出した。
トモサはミサニの胸の辺りに赤色と黒色のコードの先についた小さな棒を当てた。
暫く、トライコーダの波形をみながら、
『 ミサニ、すまないバトルスーツの前を開けてくれ。』
「 うん。」
と言って、ミサニはバトルスーツの電子ファスナーを下ろした。
『 よし。防御のためにバトルスーツにはシールドが張られてるから、信号が通らないんだ。』
そして、再び2つの棒を当てようとすると、ミサニは、アンダーも外そうとしていた。
慌ててトモサは、
『 ミサニ、それは外さなくていい。信号通るから・・・』
ミサニは、
「 おにい、昔、良くお医者さんゴッコしたでしょ!。」
トモサは呆れた顔をして、
『 お前と私は、こないだ会ったばかりだろ・・・』
「 おにい。やっぱり覚えてないのね。」といってアンダーを外すふりをやめた。
『 やっぱり??』
少し引っかったが、トライコーダの波形をみながら、
『 わからん、何故フェーズのずれが生じるのだ。タスクの遅延でもフェーズのずれはない。キューにタスクが固着しているのか? 私とタイプが異なるのか。』
不思議そうにしているトモサに、少し元気そうになったミサニが、
「 おにい。少し落ち着いた。」
と言うと、確かに波形も落ち着いていた。
『 不思議だな、やはりオーバロードかな。』
あまり納得しないまま、トモサはトライコーダーを鞄に入れた。
その時、今度はトモサの頭に稲妻のようなショックが伝わった。
かがみ込むトモサに、ミサニは驚き、
「 おにい、大丈夫? 死なないで・・・・。」
『そんな簡単に殺すなよ。大丈夫。だが、これは強力な電磁波だな。とにかく、ここを離れよう。ミサニの胸の痛みも是が原因かも知れない。ゆっくりでいい走れるか?』
「 うん。おにい、もう大丈夫。乗って、おにい。」
二人を乗せたバイクは再び走りだした。
しばらく走ると、トモサの頭痛も収まった。
その日、二人は、シールドを張り、早めに休むことにした。
念のため、機密ファイル以外もバックアップをとっておいた。
電磁波の影響を心配してのことだった。