~カペト王国 戦士育成所~
~カペト王国 戦士育成所~
カホタの副官マダカは、40人の強化戦士候補を選び出し、3ヶ月のトレーニングに参加させていた。
カホタは、初日の挨拶のため、40人の前で各人を見渡しつつ喋りはじめた。
「 今や、カペト王国はこの大陸支配に向けて詰めの段階に来ている。カペト軍はこの星の中で最も強い軍隊であろう。そして、私はその中でもよりすぐりのメンバーで強化戦士軍 〃カホタ42+1・ダンスも可。よ” を3ヶ月で作りあげる。とても厳しい3ヶ月となるが、選らばれた君たちなら必ずやり遂げるだろう! 」
大きな拍手と歓声を想像していたカホタは、静寂に腰がぬけそうになった。
それどころか、不精そうなカホタが一番嫌いなタイプの大男が前にフラフラと出てきて喋り出した。
「 これは、これは立派なお嬢様戦士だ、お嬢様の生まれたころから戦士の俺を教育してくれるのかい? へへへ、ジャンズ・ダルのかい?フォローミ~。ハハハ。言ってみな~ 」
カホタは心の中で「 マダカのやつ、こんなクソオヤジ選びやがって、キモイ~。ジャンヌダルクだろ、しかもフォローミーの発音、最低じゃん。」と言いつつも、顔色一つ変えず、
「 誰か、マダカを呼んでくれ 」
スタッフの一人が、
「 マダカさんは、体調不良でお休みです。」
カホタの眉は一瞬ビクッと上下したが、顔色ひとつかえず心の中で「 また、マダカの体調不良という名のドタキャンかよ~絶対、こいつに声掛けて、やめさせれないから、こうなることわかってたんだよ。アイツ~」
そして、カホタはその男に向って大きな声で、
「 元気なオジサンだ、何年やってるか知らないが、剣術で見せて貰おう。 」
そして、目にもとまらぬ早さで腰の剣を抜き、構えた。
しめしめとばかりに、その男も剣を抜き猛烈な速さで、剣の先を時計まわりに回しはじめた。
この大陸での剣術は、フェンシングの剣ににていて、非常に細い尖った針先を相手の急所につくき、そのあと強力な電流を相手の体に流しこんで勝負が決まる。
もはや、一触即発の向き合う二人の闘気は凄まじく、それを見る戦士たちも、この勝者こそついて行くべき人だと思っていた。
クソ下品なオヤジ戦士も、いざ剣を構えると、その目は獲物を狙う熊のようになった。
回転を続けるオヤジ戦士の剣は最初こそ空気を切る音がしていたが、もはやブレのないその回転は音もたてず小さ目の円を描いていた。
カホタはその円が、急所を狙い抜く範囲を広める為のものだと見抜いた。
ものすごい気迫だが勝負はあった。私の狙いは範囲を広げる必要もなく、確実に急所を射抜く。送り込む電流の設定を半分に下げた。相手が動いたら、こちらも動く。
真剣な睨みあいが続く。どちらも動けない。闘気のため、体力を消耗していく・・・。
カホタは、スッと力を抜いた。それに反応して、小さな円を描く剣がカホタの胸に向かって来る。カホタのバトルスーツに触れる寸前で、剣は止った。
回転していた剣もやがて止まる。
カホタの剣は既に相手の急所を正確についていた。
見ていた全員、結果だけを見た。誰もカホタの剣の動きを捉えることができなかった。
しかし、やがて凄いことが起こったと気付き、口々に「 カホタ様 」「 カホタ 」 と言っていたが、「「「カホタ・カホタ・カホタ! 」」」大きな歓声へと変わっていた。
こうして、カホタ42+1は旗上げを果たした。