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取り合えず仮

「余はこの時を待ち望んでいた!! よくぞここまで辿り着いた勇者よ!」


 余は魔物を統べる王-魔王-である。そして、魔王の宿命。刻まれた運命は人間の勇者と戦うことにある。余の偉大なる父は勇者と戦い……、あとは語ることもあるまい。


 今はわが魔王城へと足を踏み入れ、余の目の前へと姿を現したこやつとの時間だ。


「フフッ、フハハハハハ! さぁ、矮小なる人間よ! 我と雌雄を決し……」


 "俺"は気が付いた。目の前の勇者から感じる力が非常に小さすぎる。優秀なる武人は己の力を隠す術があると聞くが、コイツは違う。単純に弱い。そんな力を感じる。それを裏付けるかのように


「あ、俺レベル1なんで戦えないっす」

「レベル1」


 俺の目が点になる言葉を当然の様に言ってきやがった。

あまりにもおかしい。レベル1で通り抜けられる程、余の配下達は弱くない。それに、コイツの装備は全て伝説級の素材で作られた物だ。


「あ、勇者ガチャで手に入れた『転移の書-魔王城-"UR"』使ったんですよ」

「ガチャ」

「いやぁ、この装備自慢する相手が欲しくてッスね。見てくださいよ、まず頭は『不死鳥の兜SSR』で体は----


 

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