榎田歩実④
二学期が終了して冬休みに入るとき、棋道部で三年生を労うため納会が行われる事になった。
大学受験を控えた三年生の先輩達が、久し振りに出席して最後の挨拶をする。
夏にも一度納会をするにはしたが、このときは全国高校将棋選手権大会を控えていた三年生はまだ現役だったし、女子部員の出席はなかった。
今回は三年生の女子部員四人と一年生の榎田さんが出席をして女子は計五人の出席となった。
一次会はデパートの中にあるバイキングの店に入った。
俺たちは三木、本田、俊介と四人でかたまって座っていたがバイキング形式なので座ったままではなく食料を取りに行く度に席を離れなくてはならない。
榎田さんは三年の女子と一緒に座っていて、最初は気のせいかとも思ったけれど榎田さんは注意してみると食料を取りに行くタイミングが、微妙に俊介が取りに行くタイミングとかぶっているような気がしてならない。
それにいつもより少しだけ落ち着きがない。
見ていると榎田さんの行動は”けなげ”という表現がピッタリとはまる。
テーブルはそれぞれ違うし、将棋をしていない今は話をする話題も見つからない。
それでも少しでも思いを寄せている男性の傍に居たいと思う気持ちが、けなげで切なく感じた。
俺はひとつだけ悪戯をしてみることにした。




