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寒い朝①
冬休みが終わって、またいつもの日常が始まる。
朝の寒い中を目覚まし時計に叩き起こされて、暖かく温もった布団から自らの意に反しながらも自ら進んで寒く冷えきった世界へ身を投じる。
学校について、久し振りに一年A組に立ち寄る。
勿論新年初の秋月穂香詣でを兼ねてはいたが、どうも正月の初日の出を見たあと、ファミレスでの榎田さんの憂鬱そうにみえた態度が気になって仕方がなかったので本田に相談しに来たというわけだ。
俺の交友関係の中で本田はズバ抜けて情報収集能力が高い、それに付き合いは浅いものの女子の友達も多い。
俺が今迄の経緯を話すと本田は直ぐに「分かった」と返事をして鈴木麻衣子のほうをチラッと見た。
おそらく本田の頭の中では誰に相談してどのように情報を集めていくのか既に固まっているのだろうと思った。
将棋はナカナカ上達しないくせに、こういうところの頭の回転は異常に早い。
これから先、どんな道に進むのか分からないけど、旨く自分に合う仕事を見つけることができたら俺たちなど及びもしないくらい出世しそうな男だ。




