日の出⑦
俺は当然、秋月穂香と仲良くなれるようにとお願いした。
榎田さんは、俊介のこと?
それとも受験?
それとも将棋のこと?
俊介と本田は一体なにをお願いしているのだろう?
「あれ?調べてきた資料の数字が若干違うのかなぁ。きっちり同じ時間にならない」
不意に三木の現実離れしたというか現実というか、ともかく場にそぐわない彼独特の世界感満載の会話をすたので想像の世界から現実世界へ連れ戻された。
どうやら、太陽の全体が現れるまでの時間が、計算と実際の観測で少し誤差があったらしい。
「空気が汚れているからじゃない?」
どうでもいい話をグダグダ言われても困るので、テキトウな返事を返す。
「ナイス、進藤。屈折率を計算式に当てはめるのを忘れていたよ」
テキトウな答えが、三木にとって正解を導き出すヒントになったらしい。
さっきまで横にいた俊介、本田、それに榎田さんの三人は境内の上級生のところに行って楽しそうに話をしていた。
俺も三木と二人で直ぐに合流する。
三年生が合格祈願に神社に参拝してから『おみくじ』を引くというので俺たちもそうした。
横並びで二人ずつ並んだ。
榎田さんの隣に三木が並んでしまったので、三木を引っ張って俊介と入れ替えた。
三木は「えっ?なんか順番に法則でもあるの?」と鈍い事を言うものだから「レディーファーストと進入部員歓迎の意を表して」と、こじつけの理由を言う。
すると、三木はエラク感心してくれて
「進藤!来年は絶対、部長に立候補しろよ!」
と、言ってくれた。