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日の出④

 俊介と榎田さんが、俺の思うような関係になったとしても、俊介が秋月穂香と一緒にならないなんて保障はどこにもない。


 そして、そうなったときに悲しむのは俺だけではなく榎田さんも巻き込むことになる。


 閉じられた部屋のどこからか隙間風が入り込み、その中に微かなラベンダーの香りがしたように思った。



”あなたを待っています”



 ふと花言葉が頭を過ぎる。


 真っ暗な、朝の道を自転車で走る。


 冬用の手袋が役に立っているのかどうか分からないくらい指先が冷たく感じ、凍てつく空気が鼻の粘膜を刺激して鼻水が止まらない。


 こんなに朝早い時間なのに初詣に行くのだろうか、道には絶えず車が走っている。


 家を出て十分ほどでT神社のたもとに到着した。


 自転車を近くの公民館にある駐輪場に停めてから参道に向かうと、階段のところには既に三木、本田、俊介、そして榎田さんが来ていて俺を待っていた。


「遅いぞ!もう、みんな上がっているよ」


 本田が言うと、三木が


「そう言っても、まだ実際の日の出までは四十二分あるから余裕だけど、天体の出没時刻っていうのは、その天体の中心が地平線と重なった瞬間とされ……」


 と面倒くさそうなことを言い出した。


「ほら、あの辺りからでるのかな、少しだけ空の色が紺色っぽくない?」


 と俊介が東の空を指差した。

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