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帝国騎士編─6 マリーさん

「おはようございます!」


お、おお、なんだいきなり。

元気なのはいいんだけどね...?

って、誰だっけこいつ?


「お、おう?

んで、お前さんは...」


「まさか忘れられてる!?ちょっとショックですけど...」


ん?

いたっけ?こんなやつ?


「──クレアファンクラブ筆頭、名をマリーと申します」


マリー。

マリーってあんま聞かないような。

と言って、そこまでマニアックな訳でもないけどね。

よく聞くよ、モブキャラで。

あー、あー、いたな、確か。

こんな奴が。

俺の記憶力疑われるけど、前世と合わせたら37くらいになってんだからしょうがないっちゃしょうがないよね。

ま、それは置いといて。


「だとすれば、なんでお前がここに?」


「そんなのは当たり前です。クレア様のお顔を拝みに参った所存です」


あ、当たり前なんだ。

若干引くわー。


「で、俺は今男に...なってない?」


「男?クレア様は女性ですよね?」


「うーん?〔精巧擬態〕で男になってたはずなんだけどな?」


マリーに聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、ボソリと呟く。

おかしいな...

まさか!


【〔精巧擬態〕:対象のイメージを具現化する。ただし、効果は意識している間のみ発動する】


お、おい。

聞いたか、そこのお前。

意識している間のみの発動だって。

やべーな。

ってことは寝たらおしまいってことか。

じゃ、もう1回やっとくかな。


ポン!


はい、男クレアですヨロシク。


「く、クレア様...今のは?」


「ああ、大したことないよ。性転換しただけ」


「性転換...!?

はいいとして、男性になったクレア様も素敵...」


お、おう。

いまのは聞かなかったことにしとくからそこんとこ宜しく。


「さて、韋駄さんの天ぷら食べに行くか!」


「韋駄...さん?」


「そ。

韋駄さんが美味しく作ってくれる天ぷら。

あ、韋駄さんは料理長の名前ね。すっげえ優しい人だからマリーも驚くと思うけど、行く?」


「ここで行く以外の選択肢がおありとでも?」


お、おお。

だからよ、ちょっと押し気味なんだって、マリーさんよ。

もはや引くしかねえじゃんかよ...。


とりあえず、俺への愛は伝わってくるけども。



▶◀



「ここだぜー。

どうだ、広いだろ?」


「はい...、とても」


男は広いものと大きいものに憧れを抱くんだよな。

ロボットのコックピットなんかがそう。

あー、この世界にもロボットとコックピットという概念を持ち込みたい...と思ったけどここ日本じゃん!

できるかもな、ワンチャン。

そのワンチャン期待しよう。


さて、韋駄さんの天ぷら、略して韋駄天を食べるとするか。


「韋駄天1つ!」


「あいよ!」


そう、俺たちに余計な会話はいらない。

この短い会話だけで十分なのさ。それが、俺たち男同士の絆ってわけで──


まあ、実質俺は女だったわけだけども。


「ところであんちゃん、性別変わってねーか?」


「ん?バレたか。ちぇっ、兄貴っていう設定を貫こうとしたんだけど...」


「バレるバレる。でも、あんちゃんがもう少し兄貴を貫けばバレないかもしれんが...」


おっと、ありがたき言葉。


「そだね。もうちょっと粘るよ」


「そうするがいいさ。んじゃ、はいよ韋駄天」


「ありがとう、韋駄さん」


ちょっとした会話を済ませて、韋駄天を貰う。

韋駄天っていっても別に足が早くなったりするわけではなかったりあったり。


ま、おいしいことに変わりはないから俺は気にしないけど。


お、マリーも韋駄天をGETしたようだ。


「マリー、ここ座れよ」


「ありがたき幸せ」


お、う。

だから、推しが強いってば。

それはもういいや...。


「んで、俺になんの用が?」


「んもう、強引に連れてきたのはクレア様でしょうに...でも、そんな強引さも嫌じゃないですよ」


「勘違いも甚だしいよ!?

俺にはちゃんと相手がいるんだからね!?」


嘘、いないんだけど...ま、言っとくだけ言っとこう。


「そ、そんな...。ですが、私は諦めません!」


「お、おう、せいぜい頑張れよ。

さておき...、要件は?」


「おっと、失礼いたしました。

実は、クレア様にお仕えしたく───」


「ちょっと待て」


あ?

それは待てよ。

俺の、仲間になりたい、いや俺の元で働きたい的な事言ってんのか、こいつ?


「それはいいのか...?」


「いいじゃないの、仕えさせてあげれば?」


突然話に割り込んできた瑞奈が謎の肯定。


「いや、たしかに俺も嬉しいっちゃ嬉しいけど?

でもさ...」


「でしたら!」


「でも、こんな幼女を働かせてるってなればさ...」


「お言葉ですが、私は子供ではありません。」


え?


「私はその...種族的なあれで」


あー、俺の幼少期みたいな感じか?


「事情はわかった。でもな...」


「どうしてもお願いしたいんです!

石碑の遺言に従うためには───!!!」


彼女は、最後の最後に爆弾を落とした。

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