王国訪問編─③
そんな感じでこちらの世界の話を聞きつつ、のうのうと国の門の前の行列で並ぶ。
辺りを見回すと、意外にも人間が少ない。
ってかいない。
人間かな?
と思ってよく良く見てみると実は耳が長めだったり、角が生えてたり。
完全なる人間はこの世界には居ないのか?
そんなことを思ったら、聞くしかないに決まってる。
だってここには"イフリート"くんがいるんだから。
「なあなあ"イフリート"?
この世界には人間は居ないのか?」
「居なくはないのだが...
話せば長くなるぞ。
それでも聞くか?」
「あったりめェよ!」
「この世界は昔、異世界からの侵入者によって革命が起きたのだ。」
「革命?」
「そうだ。
その者の名は『オタノベナカ』。」
「オタノベナカ?どっかで聞いたとこあるような...」
「我は【日本】に渡ったあとから気づいたのだが、『織田信長』の事だ。」
「...ッ!」
「資料から何から、全ての時間がぴったりなのだ。
ちょうど『オタノベナカ』がこの世界に現れたのが約5500年前だからな。」
「ま、待ってくれ。5000年前って...」
「ん?言い忘れていたことがあったな。
こちらの世界の10年は、【日本】での1年に当たるのだ。」
え?
ちょっと。
初耳ですけど?
「そういうのはさ、早く言ってよ。」
「おっと、すまんな。
話を戻すが、『織田信長』は本能寺の変では死んでいなかった。
正確には、死ぬはずだった。」
「どういうことだよ...?」
「『織田信長』は、本能寺に閉じ込められたあと何らかの事象によって一時的に発生した異次元通過ホールと呼ばれる、要するにこっちの世界に渡ることが出来る穴を通ったのだ」
「えっ...え?」
「そしてその『織田信長』が作り上げた王国、それがこの国なのだ。」
そんなことを急に言われましても。
僕ちゃんの頭が追いつきませんて。
それはさておき。
俺は聞きたいことがあったんだよ。
「そう言えば─」
「おっと、我らの番が来たようだぞ」
俺の聞きたいことは悲しくも掻き消されてしまったが、まあ後でいくらでも聞けるだろう。
ってことで、怪訝そうに俺たちを見ている門番の元へ向かった。
うう、もう限界...
もうダメです、マリーさん...
あとは頼みます!