本章突入編─6 からかい上手の能力視覚化さん
「ガーエンーっ!」
どうだろう。
この言葉、飢えてるオスにはよく効く。
しかも可愛いとくれば。
ゴクリ。
「やっと降りてきたか。朝飯は出来ているぞ。」
ちっ。
なんだよ、つまんねーな。
もうちょっとキュンと来たような反応があってもいいじゃないか。
ま、ガエンの作る飯は美味いので文句はない。
「やったぜ!」
思わず男の口調になる。
やべ。
「焦るな。我の前では前世の男を出してもよかろう。ただ、他の奴らがいるとな...」
うん。そだねー。
それはちょっとあかんね。
以後、気をつけます。
俺はご飯を食べながら誓う。
誓うってほどのことでもないけどね。
「そう言えば、お前は〔装束変化〕を持っているのか?」
え?何それ。
名前からして服のなんかだとは思うけど。
「なんじゃそれ?知らない。」
知らないことを素直に伝える。
「そうか。これをもっていると色々と楽なのだが...。
知らないのなら、伝授しよう。」
???
なんだかわかんないけど、とりあえずありがとう。
感謝をするのは大事なのだ。
「まず、自分で着てみたい服を頭に思い浮かべろ。」
俺の着てみたい服?
うーん、ハイカラな感じの和服かな。文明開化の辺りの。
「浮かべたよ」
「よし。では、その素材を浮かべろ。」
素材?なんだろう。
麻では無いな。絹かな?
なんとなくはそんな感じだと思うんだけど。
「浮かべた。」
「最後に、自分がそれを着ている姿を想像するのだ。」
着ている姿?
こうかな。
お、いい感じじゃん?
結構可愛い。
んん。
違和感発生。
スキルが増えたな?
この話の流れだと、多分〔装束変化〕だろう。
でも一応確認する。
うん、間違いないね。
〔能力視覚化〕の権能でスキルの権能を見れるので、なんとなくは理解した。
要するに、頭に浮かべた服を実際に着ることが出来るのだ。
正確には、ドレスチェンジみたいなことかな。
換装、ってことだ。
ほええ、それはすごい。
それだけかと思いきや。
そのスキルで作った服ならば、強度や柔らかさ、肌触りや素材の伸縮率を変えることが出来るようなのだ。
すげー。
これ、鎧とかも思い浮かべたら行けんじゃね?
でも、今はやめとこ。
急に重いもの身につけても危ないし。
ってことで、さっき浮かべた格好にする。
おお。
俺の服が光を纏い、形を変える。
光が収まると、そこには俺の想像した和服があった。
俺の髪の毛の色は黒髪なので、日本人さがある。
角は相変わらず2本生えているけど、それはあんまり関係ない。
へー。女の子になっても着れるんだね、和服。
って、そりゃそうか。
ま、俺も見た目が大人になったわけだし、まえの子鬼の姿よりは侮られないだろう。
しかし、謎なのがさっき確認した〔爆炎〕と〔燃焼〕だ。
〔能力視覚化〕を持ってしても、権能を見ることは出来なかった。
見ようとしても、表示されるのは【???】という文字だけだった。
うーん。
なぞ。
ま、当分はガエンが何とかしてくれるだろうし、俺も他に何個もスキルがある。
これさえありゃ、なんとかなるでしょ。
うん。
ところで、気になることが前からあった。
この〔能力視覚化〕、もしかして自分の能力を見れるんじゃないか?
スキル以外の。
そう思っていたのだ。
他の誰かを見る時は【視覚化不可能】って出てくるんだけど、俺のなら行けるだろう。
俺のスキルなんだし。
と、言うことでやってみる。
【「クレア」
種族:人魔鬼
体力:1500
攻撃力:500
防御力:1000
スキル:〔能力視覚化〕〔擬態〕〔身体武装〕〔危険察知〕〔爆炎〕〔燃焼〕〔装束変化〕
称号:精霊を従えるモノ】
ほうほう。
行けましたねぇ。
強い...のか?
分からぬな。
ガエンをやってみたい。
あー。
くそ。
なんで出来ないの?
あ!
やべ。
気づいちゃった。
これ、〔能力視覚化〕の権能。
自分の能力を見ることが出来る、って書いてあるわ。
あちゃー。
朝からちょっとショックですわ。