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怪獣襲来編─4

彼──ダガーラは王城の地下施設に入る。

200haもある広大な地下施設には、彼の専属の研究者達の叡智の結晶が製造されている。

それは何かと言うと──


「ついにここまで来たか...これで奴らとも対等に戦うことが出来るな...。」


そう呟くのは、ダガーラ王だ。

それに返事をする者がいる。


「へっへ...そうでしょうな...。

陛下が前々から長い時間をじっくりとかけてここまで作り上げてきたのですから...」


ダガーラが、"奴"と、怪獣と対等に戦うために作り出した対怪獣専用人造巨大最終兵器。

それが、この3機の《ゲヴァイエット》である。

この《ゲヴァイエット》というのは、日本語にして暴力という意味であるドイツ語だが、何故それをダガーラが知っているのか。

そう、それこそダガーラが前世でドイツに住んでいた、という証拠なのだが、それを誰にも知られるよしはない。


そして、その3機の《ゲヴァイエット》にはコードネームがついている。


コードネーム:Gw-001 『アンガロフ』


アンガロフは、名前の通り攻撃に特化したゲヴァイエットである。

両腕には主武器のプラズマブレードを装備し、二刀流で怪獣を翻弄する。

そしてその背中には、怪獣を空から叩くためのジェットとウィングが搭載されている。


コードネーム:Gw-002 『ヴァタイディゴン』


ヴァタイディゴンは、こちらも名前の通り、防衛に特化したゲヴァイエットだ。

その左腕には鉄壁の防御力を誇るスヴェアシールドを装備し、右腕には近接攻撃に特化したグレイブハンマーを握っている。

また、両肩にTNTで言えば10万トン分の威力を持つ強力なミサイルを左右3つ抱えている。


コードネーム:Gw-003 『アギル』


アギルは、やはり名前通りに素早さに特化したゲヴァイエットだ。

その俊敏な躯体を生かし、素早い連続攻撃を怪獣に喰らわせる。

主要武器は閃光のような速さで怪獣に何度も突き刺すフラッシュスピアーと、腰部のサイドに2丁構えている大型の銃アイヌブァフを装備している。



この3機には、その他にもさらに驚異的な機構も備わっているのだが、それを知っているのはダガーラとごく一部の高位の責任者のみ...


しかし、怪獣は1000年に1度のみ現れる。

なので、怪獣が実際に現れた場合、ゲヴァイエットを持ってしても勝てるかどうか、分からないのだが...。


ダガーラは、そんなことは知るわけもなく闇に包まれる笑みを浮かべた。

そして、次の視察に移る。

そこにいるのは、この世界で唯一の"転移者"。

人生の最高潮で幸せを味わっていたまさにその瞬間にこの世界に転移してきた。

ある意味では不幸だろうが、やはり幸でもある。

なにせ、この世界の王とも言えたあのアベルディアを、倒すことが出来たのだから。

そして、今は次の王であるダガーラの元で不満のない生活を送っている。

彼自身、もともと戦闘狂なところがあった。

この世界に転移して、その才能が開花したのだ。

その業は、まさに一瞬。

瞬きをして目を開けた時には、自分の胸に穴が空いているのだ。

たとえ回復魔法や、自己再生を利用したとしても、既に体の中には彼にしか解除することが出来ない呪法が侵入し、その肉体を蝕んでいく。

彼に歯向かったものに待っているのは、苦痛に満ちる死、のみ。


そう、彼は気づいていたのだ。

自分が、この世界で最も強い存在であると。

自分こそが、この世界の王に相応しいのだと。


彼は今はまだダガーラの腹心である。

まだ。

しかし、彼が革命を起こす日もそう遠くはない。

そういった巨大な欲望を持つ彼は、来たる日のために、自分が王になるために、ゆっくりと、しかし着実に、誰にも知られずに準備を進めていたのだった。





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