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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編

作者: 碧

──グァオォォォォ



──キャァァァ──





ドラゴンの咆哮と人々の悲鳴が響き渡る




空を見れば、何十ものドラゴンが空を舞い、次々と建物を壊していく…




爪や牙で直接壊す者も、炎のブレスで広範囲を一瞬で壊す者もいる





下を見れば逃げ惑う人々を狩る白と黒の鎧を着た騎士達がいる




数は数百単位…まるで一人も逃がさないと言うように女子供老人まで皆殺しにしていっていた




淡々と、本当に淡々と流れ作業で人を斬り殺していく黒衣の騎士




冷淡に何の慈悲もなく魔法を使い焼き殺し、凍らせ、生きたまま闇に沈める白衣の騎士





この場所では今まさに圧倒的な力を持った者達による一方的な虐殺が繰り広げられていた





誰一人逃げられぬように周りには強力な結界が張られいる



頼みの綱である兵士達も紙切れの如く容易に殺されていく





悲鳴や怒号、泣き声がいたる所から発せられていた




ドラゴンの咆哮が常に響き、爆音や怨嗟の声が断続的にあがる





それは正に地獄絵図とも言える光景が眼下に広がっていた









この日この時──



ストゥール王国という名の国とその王都は、三千年という長い歴史に幕を閉じたのだった…










しかし、その裏でもう一つの物語が始まってもいた




人間を恨み、滅ぼす事を決めながらも、人間に恋をしてしまった憐れな少女…




彼女の想いが新たな物語を紡ぐ───










燃え盛る王都の一角、本来なら一番防衛の厚い王城…彼女はそのバルコニーで眼下の悲劇を見守っていた





「燃えてるね」



「…ああ」




隣には彼女の想い人が…寄り添い手を繋いでいる




ただその顔は酷く苦痛に歪んでいた




「後悔してるの?」




彼女が労るように彼に訊く



「…………」




彼は無言で眼下の光景を眺めるだけで答えない




ただ、目の前で殺されていく人々を助けるつもりもないのか彼女と繋いでいる手は繋がれたままだった




彼女は慈しむように大切な宝物を包むように、その手を包んだ




なぜならそれ(手)は、彼が他人の死よりも彼女を選んだ証なのだから…




彼女の顔に安堵の表情が浮かんだ。




普段は、自由気ままで不真面目なくせに人が苦しんでいると放って置けない




そんなお人よしな彼だから、余計に今こうして駆け出さないでいてくれる事が嬉しい




段々と強くなる彼の力を感じながら彼女は喜びに震えた。








彼と彼女の出会いは遡ること一年前―――



神の使いたる天使の導きのもと、他種族を滅ぼさんがため行われた勇者召喚でだった…



不運にもそれに巻き込まれた彼…池ヶ(イケガヤ) 龍樹(リュウキ)は儀式に参加していた見目麗しい彼女と出会った





龍樹は始めから共に来た勇者である渋谷龍聖(シブヤ リュウセイ)とは違って疑り深い性格をしていた




国王の言葉を疑い、国を疑い、彼女をも疑った





この国の王を操り無理矢理召喚した勇者(人形)、本来ならすぐにでも敵国を滅ぼさせるつもりだった彼女の計画を龍樹は意図せずに邪魔をした



そのあとも、同様なことが続いた



「よく考えろっ!?バカ龍聖」



どんな手も使って勇者を騙しても、そう言って勇者の頭を叩くだけで此方の思惑はすべて防がれた




何度も何度も…それはもう業を煮やした彼女が龍樹を殺そうとするほどに、




でも彼は死ななかった…何度やっても天が味方するように彼は助かる




仕方なく、彼女は自分が女であることを利用してまで彼を殺そうとした




だが、優れた容姿をしている彼女を前に彼は何の反応もしなかった




それが余計に、彼女の乙女心に火をつける




この時おそらく、彼女は今までで初めて自分が女であることを実感できたのだろう




冷静に考えれば、悪役をやってもらうためだけに勇者を呼び出したのだ




そんなにこだわる必要もなく、少し苦労するだけで変わりはいくらでも用意できる




そんな事実を、何度も自分の策を邪魔されて頭に血の上っていた彼女は気づかなかった





気付いた時にはもう手遅れだった─────彼女は恋に落ちてしまったのだから












お読みいただきありがとうございます。

本編?の方が全然書けていませんが、近いうちに進めたいと思っています。

もしよろしければそちらも読んでください


この内容は本編でやる内容のあらすじ?予告?みたいなものになります。

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