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「天獄というのは神から人に一つだけ与えられた力のことで、生まれた時に祝福か判決を受けることで天か獄かに分けられる。自然を操ることもできるんだ」

「あたしにもあるの?」


 でも自然の力なんて使ったことない。


「誰でも天獄は持っている。けれど天獄を扱えるのは十五歳になった人間だけだから君が扱えないのも当然だろうな」

「そうなんだ」


 十五歳にならないと使えないのはどうしてなんだろう。

 別に今すぐにでも使わせてくれればいいのに。


「天獄は天と獄の力に分けられていて、それぞれ天力と獄力という力を必要とする。その力は人間の体力と、気力が必要になる」

「体力と、気力ね」

「ああ、人の成長と共に増加していくそれらが天獄を扱うのにちょうどいいぐらいになるのが十五歳という年齢ではないかと言われているな」

「その二つだけで神様のくれた力を使えるの?」

「体力と気力を混ぜ合わせる神の力が加わる。先ほど言った生まれた時に受ける祝福か判決の際に、天王か魔皇の加護も同時に受けることになるんだ」


 そうだよね神様のくれる力を人の持つ力だけで使えるわけないよね。


 でももし、もしもこの世界のどこかに神様からの祝福も判決も受けなかった人がいたらどうするんだろう。


「でも、もしもだよ。神様が大嫌いな人だったり……それか神様に大嫌いって思われてたりしたら……」

「それはありえない。人として生まれてきた者の定めとも言えるものだ。それとも君はそんな人に会ったことがあるのか?」


 一瞬誰かの顔が浮かびかけたけど、すぐに消える。


 今のは……? あれ、あたしあるような気がするのに。


「うーん……」

「まあ、もしいたとしても天獄を扱えはしないだろうな。人の持つ力だけで神の力を扱うなんて自殺行為にも等しいのだから」

「え?」


 自殺行為? それだけ危ないってことかな?


「神の力が加わることで天獄は発動する。加わるというのは負担を減らすことと同じだと思ってくれればいい」

「うん」

「10の力を扱うのに人の力は5しかない。それに神が5を加えて助ける。しかし神が5を出さないとする。しかし10を使うために人は5を生み出そうとする」

「5を作る力がとても大変だってこと?」

「ああ。しかしそんなこと人にはできない。できたとしてもそれは体力、気力だけでなく生命力までもを奪われるだろうな」


 そんなことできる人なんているわけないか。

 どうして変なこと思いついたんだろう。


 神様の力をくれてるんだから天獄がすごい力ってことは分かった。

 分かったら今度はそんなすごい力を十五歳になったら使えるってことが信じられなくなる。


「勝手に使えるようになるの?」

「できないことはないだろうが、普通はできないだろうな」

「じゃあ、どうやって……」

「人間は十五歳になると学園に入学するんだ。それぞれの国にある学園に」

「学園……」


 その前に私の住んでいる国ってどこなんだろう。

 何も知らなさすぎて恥ずかしい……。


「君が住んでいる町、リジマッハは中央国センテルの領地だから、セントラル学園に入学することになるな」

「あたしだけ?」

「いや、私とフェルリクも一緒だ」


 よかった。一人で学園に通うなんて不安で仕方ない。


「友達を作れる自信もないし……」

「ん?」

「ううん、なんでもない! それより学園てどんなところなんだろうね」

「ふむ、とりあえず入学式の際に神官から天獄を判別してくれるようだな。それで初めて自身の天獄を認識できるようになるそうだ」

「じゃあ、あたしの天獄が分かったら帰ってすぐママに……」

「学園にいる間は寮生活らしい」

「え」


 それじゃあママに会いにいけない。 

 でも、きっと休みの日とかがあって、その日には会いに行けるよね。



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