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 二人がそれぞれ違う表情であたしを見ていた。

 レミチャは微笑んでくれているけど、フェルリクは無表情で何を思ってくれているのか分からない。

 だけどレミチャだって微笑んではいるけど、それが慰めなのか、とりあえず落ち着かせようとしているだけなのかは分からない。


 今は何も分からないし、考えるのもいやだった。


「ごめんね、あたし帰る」

「大丈夫か?」

「送って行くぞ?」

「ううん、大丈夫。ありがとう」


 それだけ言って教会から出て、まっすぐ家に帰る道を歩く。


 まだお昼だから太陽は夕焼けに変わってないし、月も隠れてる。

 とても気持ちのいいお天気のはずなのに、気分は良くならない。


 二人といたほうがよかったのかもしれない。

 いつも一緒にいた人がいないからあたしの気分はこの空みたいに晴れないんだ。


 そんなことを思っているうちに家に着いた。





 家に入ってすぐのキッチンのテーブルの上にママが作ってくれてある夕食が置かれてあるのを横目で見てから、部屋に入ってベッドに横になる。


 牧師さん、大丈夫……じゃないんだよね。きっともうお別れの時なんだ。

 誰かとお別れするのはやっぱり悲しいし寂しい。


 こんなの一度だけでよかった……のに。


「あれ、二回目? 一回目は誰と……ママ、かな」


 枕を抱えながらひとりごとが漏れた。


 ダメ。ぐるぐるになる。

 考え事をしちゃダメ。


 何か想像してみよう。


「うーん、時間は夕方かな。瓶を持って、砂浜を走って、海岸で貝殻を一緒に……」


 ――ボフッ。枕に顔を埋めて想像中断。


 なんで海が出てきたんだろう。この近くに海なんてないのに。それに一緒って……。


 ああ、ダメ!


「やっぱり時間は夜のほうがいいかな! 森を抜けて、大きなお花畑に飛び込んで、お花で何かを一緒に……」


 ――バフッ! 枕を壁に投げつけて想像中止。


 森を抜けてあるのは湖! 大きいお花畑なんてない! 一緒に何を……。


 いやだ、いやだ!



 何がいやって


「想像なのにしたことがある気がする!」


 誰がいやって


「あたしと一緒にいる人……」


 レミチャでも、フェルリクでもない。だからって顔も分からないし、声も聞こえないし、何も見えてこない。



 ――ポロッ。

 涙が出てきた。


 頭の中がぐちゃぐちゃで。お別れしたくなくて。牧師さんのことだけで頭がいっぱいだと思うのに。どうして知らない誰かのことを……。


「っ……ふっ……っ!」


 涙が流れるうちに目が痛くて開けていられなくなるから目を閉じたらぼおっとして眠る感覚に近いものを感じてきた。


 もう……このまま、ねむってしまおう。でも、だれかに側にいてほしい。

 名前をよぶだけでも、気がまぎれるかも、しれない。


 いつも一緒にいてくれる二人を、よんでみよう。


「あべ……んと……の、て………」


 なのにあたしの口から出てきたのは名前にならないただの音だけだった。





 そして次の日、牧師さんが息をしなくなった。

 泣かないでおこうと思っていたけど、我慢することはできなくてママに抱かれながら一人で泣き続けていたら牧師さんの体が光に包まれて消えていってしまった。


「ソリス、牧師さんはね新しい世界に旅立ったのよ。だから何も悲しくはないのよ」

「っ……う、ん……うん」


 ママは泣いてるあたしをずっと抱きしめてくれていた。


 あたしが落ち着くと教会にある小さなキッチンでママがご飯を作ってみんなで食べた。


 食べている時にレミチャとフェルリクが学園に入学して自分たちがいない時にはこの教会を任せたいとママに頼んでいて、ママは笑顔で頷いていた。



 もう少ししたらあたしは十五歳。

 学園に入学しなきゃいけない。


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