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超有名アイドルとキサラギの争い―Superidol VS KISARAGI―

※この作品はフィクションです。地名は一部が実名になっておりますが、実在の人物や団体等とは一切関係ありません。一部でノンフィクションでは…と突っ込まれる要素もあるかもしれませんが、この作品におけるフィクション扱いでお願いします。


※コメントに関しては『ほんわかレス推奨』でお願いします。それ以外には実在の人物や団体の名前を出したり、小説とは無関係のコメント等はご遠慮ください。


※小説家になろうへ移植する際に一部セリフを変更している個所があります。

《エインフェリア…北欧神話で戦死者の魂という意味らしい》


《この世界では解体された超有名アイドルファンや元超有名アイドルメンバーをエインフェリアと呼んでいる》


《そして、超有名アイドルの神格化を企む人物によって設立された団体もエインフェリアと言う》


《彼らが、どうやって大規模な組織となったのかは定かではない》


《エインフェリアの目的は『アイドルの復権』を目的としており、先日発生した大規模集会の襲撃事件とは無関係を主張している》


《テレビにエインフェリアの幹部がたびたび出演する場面を見ると、過去に何度か日本で行われていたある争いを思い出す》


《ある時はアカシックレコードを巡り、またある時は日本経済を大きく揺るがせる状況を生み出した》


《しかし、この世界にはもう片方に属する組織の存在は確認されていない》


《確認出来ないだけなのか、それとも…?》


《エクシアとヴァーミリオンの設計図は、あるコードネームを持った人物によって送られてきた》


《自分は、それを元にして完成させたにすぎない》


《既にヴァーミリオンの適格者は決まり、残すはエクシアのみとなった》


《どこまで彼らのシナリオ通りなのだろうか?》


《設計図とは別に送られたメッセージには、こう記されていた》


【繰り返される超有名アイドルとキサラギの争いは、1つのテンプレートを元に制作されている】


【超有名アイドルが勝つ事、それは日本経済の破滅を意味している】


【それを止める為の手段、それはアカシックレコードにある】


【しかし、この世界にはアカシックレコードのサイトは存在しないらしい。まだ作られていない等の可能性も否定できないが…】


【超有名アイドルという存在を永遠にした時、全ての世界に存在する資金は超有名アイドルの所有物と化してしまう可能性がある】


【それだけは阻止しなくてはならない。何としても、アイドルと言う存在を正しい方向に軌道修正させなければいけない】


【単純に超有名アイドルを黒歴史にしたとしても、音楽ゲームや同人楽曲がアイドルに変わる楽曲としてメインになったとしても…】


【我々にとっては、超有名アイドルの抜本的な方針転換がされない限り敗北にも等しいのだ】


メッセージは、ここで途切れている。差出人は、キサラギと書かれている。


「キサラギか…。確か、ARゲームの開発会社に同じ名前を見つけたような―」

空野輝そらの・てるは、設計図をベースにして2つのARウェポンである《エクシア》と《ヴァーミリオン》を開発した。しかし、ヴァーミリオンは既に奪われ、別の適格者が選ばれた話を風のうわさで聞いた。


#####

シーン2:秋葉原・アカシックレコードサーガ発表会会場付近


西暦2014年6月1日午前10時、日本・秋葉原のゲームセンター近く。


「色々とあったが、ロケテが無事に終わって良かった」

「一時は、超有名アイドルファンによる騒動もあったらしいが…」

「超有名アイドルファンによる騒動自体も注目を浴びる為の自作自演説があった位だ。疑惑も晴れた事で、こうして無事に発表の日が来たと言うべきか」

ゲームセンター近辺では、大勢のギャラリーが出来ていた。人数にすると300人前後と言う気配だろうか? この様子に関しては動画サイト等でも生中継されている。

【どんな展開になるのだろうか?】

【わざわざゲーセンの外でイベントを行うと言う事は、外ではないとイベントが出来ないと言う事なのか―】

【これで雨が降っていたらイベントは中止だったろう…】

【イベント内容は今日まで非公開、相当凄い物が発表される可能性もあるな】

【ネット上の何処かに転がっていると思ったら、ブラフだったオチも多かった―】

【革新的なARゲームという事だったが、どういった物が来るのか?】

ネット上でもイベントで何が行われるかは非公開だった為に期待が高まっていた。ネット上では1万人以上が生中継の様子を見ているらしい。

「超有名アイドルとキサラギの争い…それを阻止する為にも、あのARウェポンは―」

大勢のギャラリーから離れた位置でイベントの様子を見ていたのは、リニア=ゼロだった。今回はカジュアルな衣装を着ている。


ここで時間は、5月5日の午前10時頃までさかのぼる。彼女が怪盗クリスタルグラスとして、エインフェリアの構成員と戦っていた時の事である。

「あなたたちの目的は何!?」

リニアは襲い掛かって来た構成員に対して、無駄かもしれないが質問を投げる。問答無用で襲撃してくる以上、それを知られてはいけない事情でもあるのかもしれないが…。

「我々の目的は『全ての世界に存在する資金を超有名アイドルにささげる』事。その為には、あらゆる手段を使って超有名アイドル以外のコンテンツを黒歴史に―」

「それって、超有名アイドルを悪用した魔女狩りって事なの?」

質問の答えは構成員Aが答えた。答えが戻ってくるのを期待していなかったリニアにとっては少し拍子抜けだった。そして、リニアが魔女狩りという単語を発した時、構成員Bが激怒したらしく…。

「魔女狩りと言う単語は、ここでは不適切だ。我々は超有名アイドル以外のコンテンツは存在自体が悪だと思っている。全てのお金は超有名アイドルのみに使う事が許された物なのだ。そうした絶対悪を殺人以外の手段で闇に滅するのが、我々エインフェリアの目的―」

「その為には、超有名アイドルファンを利用して他のコンテンツを法律を利用して滅する事や、関係会社を超有名アイドル専門会社へと買収で乗っ取る事も辞さない。超有名アイドルこそ、唯一神であり、全ての民衆が楽しむ事を許された娯楽なのだ」

構成員Bに続くように、構成員Cも語りだした。どうやら、エインフェリアを放置すれば超有名アイドル以外のコンテンツが全て消滅してしまうらしい。それだけは何としても阻止しないと…。

「全ての人間が超有名アイドルを認めている訳ではないわ! それをどうするつもりなの?」

リニアの問いかけに構成員Aは、こう答えた。

「その時は、マインドコントロールも辞さない。違法レベルの物を使えば、警察が黙っていないだろう。だから、合法的な範囲で超有名アイドルをサブリミナル的に番組へ出演させ、ファンを増やし、最終的には地球上には超有名アイドルファンしかいなくなる。それこそが、エインフェリアの最終目的になる」

マインドコントロールという言葉を聞いた瞬間、リニアは身震いがするような思いだった。彼らの考え方は狂ってるとしか言いようがない。拝金主義や超有名アイドルの力押しが続いた代償、それがエインフェリアのような歪んだアイドルファンを生み出し…。

「超有名アイドルとキサラギの争いは過去の話にすぎない。これからは超有名アイドルが全ての世界の理想郷となり、楽園となるのだ!」

構成員Dの言葉を聞いたリニアは、右手に持っていた剣を変形させ、アスファルトの地面に向かって叩きつけた。そして、周囲には鞭を叩きつけたような音が響き渡る。

「許せない。歪んだ思想しか持たなくなったファンを生み出した超有名アイドルを―」

リニアの怒りは有頂天に達していた。そして、右手に持っていた蛇腹剣で構成員を全て撃破したのである。


6月1日午前10時10分、北千住のビル近くにあるアミューズメント施設。

「アイドルに必要とされるものは金の力ではない。本当に必要なものは…誰もが共感できる姿だと言うのに」

身長170センチ前後、黒のベリーショートヘアに背広姿という男性が屋内2階に設置されたオンライン麻雀ゲームをプレイしていた。

「エインフェリアの考え方は人々に共感される事はないだろう。それは、過去の事件が物語っている」

彼の名はセラフィム。それが本名ではないのは確かなのだが…。

「超有名アイドルに依存した経済バブルを生み出した日本は、いずれ何らかの形で反動を―」

相手プレイヤーが切った牌をセラフィムは逃さなかった。そして、タッチパネルのロンボタンをタッチする。

「今は踊り続けるがいい。日本経済を100%超有名アイドルが支配する未来に…明日はない!」

次の瞬間、黄金の龍が現れる演出となり、その役は…何と役満だった。しかも、国士無双である。


同日午前10時30分、秋葉原のイベント会場では最新ARゲームであるアカシックレコードサーガの発表が行われていた。

【まさかARゲームで出るとは予想外だった】

【これはある意味で革新的になる予感がする】

【プレイ料金が他のARゲームと変化するか次第か。他のゲームも1000円弱でレンタルを揃えられるが…】

【大体、ARゲームに必要な物を全て揃えようとすると10万円でも足りない状況になる。ある意味で超有名アイドル商法と似たり寄ったりなのかもしれない】

ネット上では色々な声が聞こえる。そんな中でネットのつぶやきをARブレスでチェックしている人物がいた。

「超有名アイドルに限らず、さまざまな業界が拝金主義になりつつある現状では…超有名アイドルだけを全滅させても答えは同じか」

身長180センチ前後、若干細身で貴族を思わせるような装飾やデザインをしたARスーツを着ている。どうやら、彼も別のARゲームに参加している人物らしい。

「あれはジークフリートじゃないのか?」

「ARデュエルで有名な…。まさか、彼もアカシックレコードサーガに参加するのか?」

「違うだろう。ARデュエルにも同名プレイヤーはいるが、あの貴族を思わせるスーツはARミュージックのジークフリートだ」

周辺にいた数人のギャラリーがジークフリートの方を振り向く。彼はバンド演奏等を体感できるAR音楽ゲームであるARミュージックでも有名なプレイヤーで、ランカーとも呼ばれている人種である。

「ジークフリートも来ている…」

ジークフリートの方を振り向いたギャラリーの一人には、瀬川春香せがわ・はるかの姿もあった。それ以外にも他のARゲームからのプレイヤーが会場には姿を見せており、ジークフリートと同じように注目される結果となった。


###


同日午前10時30分、会場ではアカシックレコードサーガの説明が行われている。登録前の諸注意、簡単なルール説明等も行われた。

【今回のARゲームは2対2の対戦型アクションゲームか…。ARデュエルが1対1の格闘技とすると、こちらはサバイバルゲームと言った所か】

【ロケテではLPを先に0にした方が勝ちだったな。コストの方はどうなるんだ?】

【ロケテはコストのセッティングが既に行われている状態だったが、今回はカスタマイズフリーと言う事になるらしい。装備の組み合わせでコストが決まる方式のようだ】

【ロケテであったランダムマッチングは今回も行われるのか?】

【ランダムマッチングも健在だ。談合試合や無気力試合のような不正を防止する観点で実装されるらしい―】

【別のゲームでは談合マッチングが問題視されていた位だからな。これ位の事は当然対応するか】

【ARウェポンを使うとの事だが、他のゲームで使用していた物は使えないのか?】

【ARウェポンはARブレス等と違って専用という意味合いが大きいからな。今回は使えないらしい。スーツに関しては他のARゲームと共有可能と言う話だが…】

【基本的には、ARゲーム未プレイの場合はARブレスを購入してからスーツ等はレンタルで体験プレイ、ARゲームをプレイしている場合はARウェポンのみをレンタルすればいい】

【ARブレスはレンタル不可で購入の必要性があるが、スーツはレンタルで済ませている場合が多いかも…】

ネット上では、説明会の合間に細かいルール等の確認をつぶやいているネット住民が多い気配がした。


「午前11時より、エキシビションマッチを行います」

司会進行をしている男性から予想外とも言える発言が飛び出した。何と、エキシビションマッチを行うと言うのである。実際にプレイしている光景を見てもらい、その後に参加を決めてもらおう…という形式らしい。

「今回のエキシビションマッチはロケテストで好成績を出したメンバー4名による特別マッチングで行う予定です」

どうやら、今までのロケテストの成績を参考にして選んだ4名と言う事で会場の盛り上がりは急激に上昇する。

「メンバーに関しては、この4名に―」

そして、ステージに上がったのは…。

「ジークフリートがいるぞ!」

「隣には瀬川春香まで…。残り2名は分からないが、かなりの腕前を持っていると見て間違いないだろう」

ステージに現れたのは、ジークフリート、瀬川、何故かスタッフに呼ばれたリニア=ゼロと…。

(こういうステージに上がっても良かったのだろうか…)

最後の1名に選ばれたのは、西雲七海にしぐも・なつみである。

(この剣がどれほどの力を持っているのか…)

西雲が左腕に装着していたのは、周囲のギャラリーは気付いていないが、ARウェポン《エクシア》だった。


時間は西暦2014年5月24日午後1時のゲリラロケテ最終日までさかのぼる。

「まさか、このタイミングでロケテストを行っているとは予想外だった。しかも、場所は草加市と来た」

草加市のアミューズメント施設に到着したのは、空野輝そらの・てる。今回は、西雲と現地合流と言う事になっている。

「公式ホームページに記載なし、情報がつぶやきサイトで信頼できるソースが一切ない。果たして、本当にあるのか―」

空野が店内に入ると、そこには驚くべき光景が広がっていたのである。


「エクシアの適格者が決まったのか…?」

店内ではアカシックレコードサーガが10台置かれている状況だったが、それ以外にもARウェポン《エクシア》が展示されていた。しかし、今はエクシアの展示はされていない。適格者が数時間前に現れたからである。

「あの場に置かれていた剣は?」

「あれだったら、11時頃に適格者が決まったから展示している物を適格者に譲った後になりますね―」

空野がスタッフにエクシアの行方を聞いたところ、既にロケテの行われている場所を後にしたとの事だった。


その頃、同じアミューズメント施設の2階では…。

「あの人は―」

別の音楽ゲームで列待ちをしている西雲が、何処かで見覚えのあるような人物を発見したのである。しかし、人違いと言うのを懸念して声をかけるのは止めた。

「!?」

彼がプレイ終了後に台を離れた時、声にならないような驚きをした西雲。それは当然の流れだった。彼の外見は、背格好等を除けば西雲隼人という人物にそっくりだったからである。


【西雲隼人を見たと言う目撃情報があったらしい】

【それは100%デマだろう。怪盗クリスタルグラスはフィクションの作品なのに、コスプレイヤーを見たと言う目撃談があるが…】

【あの伝説とも言える人物がアミューズメント施設に姿を見せるはずがない】

【西雲隼人と言っても、実際に顔写真が週刊誌等に載っているわけでもないのに…】

ネット上では、西雲隼人の目撃談が出るたびにデマとして叩かれるのがテンプレになっている。それほど、彼が公の場に出てくると言う事は皆無と言っても支障はない。

【彼は裏ネット世界でも…おっと、ここでは裏ネットに関しての話題はNGか】

【裏ネット世界とは?】

【別の用語にすると、並行世界、パラレルワールドとも言われている。その詳細は全く分からないのが現状だろう】

【俺たちと同じような存在が西雲隼人の世界にもいるのか?】

【それは全く分からない。ただ、向こうの世界にいる西雲隼人がこちらの世界にもいないとは限らない…という噂があるらしい】

【パラレルワールドでなくても世の中には同姓同名の人間が3人はいると言われている。その類という可能性もあるかもしれないな】

そして、ネット上で話す事がNGとされている裏ネット世界。ここでは、ネットの大規模掲示板以上にデリケートな話題となっている。その正体を知る者は、未だにいない。


6月1日午前11時、遂にエキシビションマッチが始まろうとしていた―その時である。

「そのエキシビションマッチ―自分も仲間に入れてもらおうか?」

ステージとは別のスピーカーから声が聞こえた。声の主に気付いたのはリニアのみだが…。

「まさか、アーカイヴか」

【おいおい、スペシャルゲストにしては豪華過ぎないか?】

【アーカイヴは乱入者だろ? ポジション的に】

「エインフェリアが乱入してくれれば、少しは楽になったのだが―」

現地組もネット視聴組も、想定外と言える乱入者であるアーカイヴに驚きを隠せなかった。

「姿を見せたらどうだ?」

その一言を発したのは、何とジークフリートだった。

「いいだろう、その誘いに乗ってやる!」

その一言と共にアーカイヴが人混みの中から姿を現した。しかも、周囲の観客は彼がいた事にさえ気付いていた様子もない。

「相変わらず正体は不明のままか―」

姿を見せたアーカイヴを見たジークフリートがつぶやく。フード付きの黒マント、フードを深く被っている為に正体も全く不明なのは変わらない。ただ、唯一変わっていた物があった。それは、彼が持っている2丁のハンドガンが…。

「強奪されたヴァーミリオン!?」

驚きのリアクションをしたのは、意外にもリニア=ゼロだった。驚くのは瀬川辺りと会場は見ていたようだが…。

「奴の姿はないが…目的に変わりはない。お前達がこれを超える力を持ったプレイヤーかどうか試してやる」

アーカイヴの示している物がヴァーミリオンである事は明白である。ヴァーミリオンとエクシアは他のARウェポンとは全く違う能力を持っている。それと比較しようと言う事自体、無茶な話かもしれない。


###


同日午前11時10分、アーカイヴの乱入はあったが、エキシビションマッチは無事に開催される事になった。

《マッチング準備が完了しました》

マッチング準備完了の表示がされ、その後に表示されたマップは何と秋葉原電気街周辺だったのだ。この展開には周囲も驚きを隠せない。

「どういう事なんだ?」

「まさか、ARデュエルと同じリアルフィールドを使用したゲームなのか?」

「ゲームと言うよりは、ARという空間で展開される箱庭戦争だな」

「これはエントリー条件が厳しい訳だ」

【これはARと言うには無理があるが、その辺りは大丈夫なのか?】

【まるで、リアル戦争ゲームを思わせるような…。色々と不安点もある】

【ARウェポンに殺傷能力を持たせる事は一切禁止されている。それ以外にも不正改造の類はライセンスはく奪対象になる。それ以外にもルールの穴を突いた行為を続けるプレイヤーにも警告を入れるらしいが…】

【かなり徹底されているようだが、それでも1度の大事故で日本が瞬時に傾く事も考えられる。これは格闘技をベースにしたARデュエル等とは違うのだぞ】

「ARゲームが『ゲームであると証明する』為に…ここまでするのか?」

「その昔、ゲーム自体が一時期存続の危機になる位に問題が浮上していた。それこそ、超有名アイドルというコンテンツに吸収されて消滅する位に」

「その他のコンテンツも超有名アイドルに吸収され、消滅危機になった物はいくつかある。それ位、芸能事務所が無尽蔵の資金を使って日本の全てを掌握しようとしていた」

「それこそ、超有名アイドル以外は黒歴史扱い…地球上で存在するコンテンツは超有名アイドルだけという世界を実現しようと考えていた」

「力による思想の統一など不可能に近い。超有名アイドルとキサラギの争いがそうであったかのように…」

ネット上や現地勢なども巻き込み、ARゲームに関する議論が行われる。中には、地球上のコンテンツが超有名アイドルだけにしようという思想が危険であると警告をするのだが…。


準備完了後、マッチングメンバーのシャッフルが行われた。2対2というシステムの為、誰もが5名の内の1名が次のバトルに回されると言う展開に…なるはずだった。

「まさか、このマッチングになるとは…」

「予想外過ぎる…!」

「もしかして、誰か1名が辞退したのか?」

マッチングが決定した後のメンバー表示には瀬川の名前はなかったのである。


《ジークフリート(コスト1000)&アーカイヴ(コスト5000)VSリニア=ゼロ(コスト3000)&西雲七海(コスト2000)》


コストは合計6000チームVS5000チームと言う組み合わせである。どうやら、コストなどの関係で瀬川が辞退したようにも見えるが…。

「瀬川は様子見をしているのか?」

「おそらく、アーカイヴの持っているARウェポンがコストを大幅に増やす原因だとすれば、向こうのARウェポンは…?」

「装備によってコストが上昇するシステムが裏目に出たのか?」

瀬川の様子見に対し、アーカイヴのコストオーバーを指摘している現地組だが…。

【単純に瀬川はARデュエルとの兼ね合いで辞退した可能性もあるな。どちらもARスーツがあるとはいえ、怪我をすれば致命的だ】

【瀬川のコストは4000だったな。それを考えるとマッチングによっては瞬時にコストオーバー危機もあるのか】

【コストオーバーが宣言された地点で撃破されたら、即終了だったな。他の対戦型ゲームでも似たようなシステムはあったが―】

【彼女の出場辞退は、近日中に行われるARデュエルの全国大会合わせが有力かもしれない】

【しかし、それだけだとジークフリートもARデュエルに参戦している。それ以外にもARデュエル以外のARゲームとも兼業プレイヤーも存在する】

【どちらにしても、瀬川がエキシビションを辞退した理由は単純な物ではない…】

現地組の意見も一理あると考えているが、ネット組は瀬川がARデュエルでも有名なランカーであるという事を踏まえ、全国大会の予選に出場するのでは…と別の理由を考えていたのである。


「奇しくも、この組み合わせになったか―」

ジークフリートはアーカイヴの方を睨むが、そんな事は関係なかった。西雲とはロケテストの時に何度も戦った…ある意味で宿命とも言えるライバルとなっていた。

「アーカイヴ―」

一方で、リニア=ゼロはアーカイヴと戦った事もある。ある意味でも因縁の対決となった。


同刻、梅島にある5階建てのとある芸能事務所の会議室では…。

「向こうも遂に動き出しましたか―」

パンダの着ぐるみをした人物が、エキシビションマッチが始まった事で話を切り出した。

「我々に必要なのは、ARゲームではない。かつて、キサラギによって壊滅させられた超有名アイドルの立て直しだ」

しろくまの着ぐるみを着た人物がパンダの話をきいた直後にテーブルを軽く叩く。

「芸能事務所も超有名アイドル規制法案等で身動きが出来ない現状。今こそ、エインフェリアが本格的に超有名アイドルを立て直すべきです」

鷲の覆面をした人物が拳を握って断言した。その発言を聞いた他の着ぐるみや覆面をした人物が一斉に拍手をする。

「我々は超有名アイドルとキサラギの争いを断片的にしか知らない。そして、我々がエインフェリアを立ち上げた目的は同じ失敗を繰り返さないように団結をする事―」

議長らしき人物が、一連の流れを仕切っているようにも見える。彼は背広に虎の覆面と言う外見で、正体は全くの謎である。しかし、彼がエインフェリアと言う組織を立ち上げたのには何か理由があるのかもしれない。

「一連の失敗は暴走族や悪質なファンが超有名アイドル商法に便乗し、それが振り込め詐欺や暴力事件等の犯罪に使用されていた事。その懸念が消えた今こそ、超有名アイドルを復活させるチャンスなのだ」

虎の覆面は強い口調で発言し、会議室にいる構成員を激励する。


(彼らのやり方では、同じ事を繰り返すのは明白だ―。僕は僕自身で超有名アイドルとキサラギの争いを阻止して見せる)

忍者のコスチュームを着た人物が会議室を早々に退席した。後に、彼はエインフェリアを離脱して独自の行動を取る事になる。


###


同日午前11時20分、決着の方は既に決まっていた。

「あれがARウェポンなのか? どう考えても反則に近いのでは…」

「コスト5000はアカシックレコードサーガの最大コストに相当する。それに、これはエキシビションマッチ。勝負の勝ち負けはカウントされない」

「あのARウェポンのパワーは想像以上だ。それに―」

【どう考えても、常人のスピードじゃない】

【ARウェポンの100%を発揮した結果が、アレなのか?】

【100%で済めば問題はないだろう。アレは、それ以上のパワーを発揮していると言う事だ】

【エキシビションマッチの地点でバランス調整を余儀なくされるか?】

現地組もネットでも、その圧倒的なパワーとスピードには驚きを隠せなかった。いくらARゲームとはいえ、圧倒的以上の差がある。一歩間違えれば、一騎当千…それ以上の物がアーカイヴにはあった。


午前11時40分、イベントが終了した。アーカイヴの圧倒的とも言えるスピードには衝撃を受けたが、それ以上に衝撃的だったのはジークフリートである。

「コスト1000の装備でコスト2000並みのパワーを持っているとは―」

「あれが、アカシックレコードサーガなのか?」

「あれも情報の一部分に過ぎないだろう。プレイヤーがある程度増えてからが本番だろう」

「しかし、あれだけのシステムを作るのにいくらかかったのだろう? それを回収するのに、1クレジット500円位か?」

「そこまで行くとカードゲーム系のアーケード作品と同じだな。体感ゲームだと、1クレジット200円位と見るが」

「ロケテストだと1クレジット200円だったな。実際はARスーツやARウェポンも必要になる以上は、ARゲーム未プレイの場合は投資金額が上がりそうだ」

「ARブレスはARゲーム共通と考えると、どのARゲームをプレイしているかで初期投資も若干安くなる可能性がある」

「エキシビションを見る限りでは、ARブレス、ARスーツは必要だろう。ARデュエルで使用しているARバイザーは…なくても問題なさそうだ」

「ARブレスだけでも、他の装備はレンタルできる。体験プレイ用の装備も用意される事を考えると、向こうの本気が見えてくるな」

現地組からは、1プレイの値段等が話題になっていた。一方でネット組はと言うと…。

【ARゲームとは思えないような世界観を持っているように見えるが、現状では様子見か?】

【格闘技が不得意なプレイヤーでもプレイ出来そうな作品だが、銃刀法等が心配だ】

【むしろ、他のゲームでも過去にあった『現実と非現実』の区別が出来ない人間が増えてしまう懸念も考えられる】

【それ以上に、システムを悪用して超有名アイドル以外のコンテンツを排除しようと言う運動が起こりそうな気配もする。過去には別のコンテンツが―】

【流石にARウェポンを超有名アイドル事業に利用されるのは考え過ぎだろう。そう言った事がない事を祈りたいのは、向こうも同じだろうが】

【過去にあった『超有名アイドルとキサラギの争い』が再び現実化したら…今度こそ、日本でも海外資本のコンテンツが独占するような時代になってしまう】

【拝金型コンテンツのみが存在する世界、超有名アイドルコンテンツだけが存在を許された世界―】

ネット組の方は、ARウェポンが悪用されるのではないか、『現実と非現実』の区別が出来なくなる人間が増える等の別角度からの意見が大半を占めた。


午前12時、今回のエキシビションマッチの様子を撮影した動画が動画投稿サイトに公式公開された。それを見たユーザーの反応は…。

「えっ?」

「どういう…事だ?」

「???」

【訳が分からないよ】

【どうなっているんだ?】

【これが、アーカイヴの実力とは考えにくい。100%とは…】

【コスト5000ではなく、6000とか7000枠を作ってもいいレベル】

【これは間違いなく戦場にだしたら部隊を壊滅可能なレベル】

実際の動画を見て驚いている者、コメントで驚いている者とさまざまだが…注目を浴びているのは間違いなくアーカイヴである。


《これで一気に決める! ヴァーミリオン、アカシックバースト!》

アーカイヴのこの一言で、彼の持っていたARウェポンであるヴァーミリオンが赤く輝きだし、色が黒マントも赤に変化していた。

【軽く処刑用BGMが流れそうな展開だな】

【正にその通りだ。相手は全く手も足も出ない―】

その動きは、超高速と言っても過言ではなかった。通常時の3倍、それ以上の速度である。これだけのスピードを生身の人間が出せば…。

【あれだけの動きをしても疲労する気配も見せない。それだけ、ARスーツの能力が恐ろしいと言う事か?】

【ARデュエルでも50連戦して多少のスタミナ消費だけで済んだと言う格闘家もいる。彼も同じとは言いにくいが、それに似た実力を持っているのは事実だろう】

【あれだけの機能があれば、警察等でも配備されていておかしくはないはずだが?】

【あのシステム自体、警察が扱いには不適切であると判断されているのだろう。一歩間違えれば…】

【これは『ゲーム』として成立しているシステムだ。それをリアルに持ち込むのは間違っていると思う】

【ヒーローショーの延長線と考えるには、あの機動力等は無理があり過ぎる】

動画から流れてくるコメント等にも、アーカイヴの動きが常人ではありえない事、これをリアルに持ち込むのは危険である事等が書かれていた。

「これが、アカシックレコードにアクセスできる者の実力―」

その動画を見て驚いていたのは、エキシビションを辞退した瀬川だった。エキシビションが始まる前にイベント会場を後にした為、肝心の試合内容に関しては動画を見るまでは分からなかった。

「アカシックレコード、その力は人類が扱うには過ぎたるものと言われている。この世界にはアカシックレコードへ容易にアクセスできるサイトは存在しない。この力を扱う事の意味は―」

瀬川は何かに関して懸念を示していた。アカシックレコードにアクセスできる事、それは超有名アイドルとキサラギの争いを再び繰り返す事を意味している。


一方、同じ動画を見て懸念を抱いていたのはエインフェリアの構成員だった。

「アカシックレコードと酷似した、例の力は危険すぎる」

「あの力を扱う存在を発見し、超有名アイドルサイドに引き込むべきだ」

「あの力を使えば、超有名アイドル以外のコンテンツを無力化し、超有名アイドルのコンテンツを永久不変、無敵の存在にする事も可能だ」

「しかし、アカシックレコードの力は超有名アイドルを破滅させた力。キサラギに勝利を与えた力でもある」

「我々はアカシックレコードとは別の力を模索するべきである。超有名アイドル商法を暴走族等に悪用された時の教訓を学ばなければ―」

着ぐるみを着た構成員からは、アカシックレコードの力を頼るべきと考える者とアカシックレコードを使う事に反対する者に分かれていた。

「アカシックレコードに関しては、以前の争いがあった際に封印されたと聞いている。それにアクセス可能な手段は存在しないと―」

虎の覆面が言う事にも一理ある。確かに以前の超有名アイドルとキサラギの争いにはアカシックレコードが使用された。しかし、その強大な力をコントロール出来ずに超有名アイドル側が壊滅し、黒歴史化するという事態になった。

「しかし、あのARウェポンがアカシックレコードにアクセス可能な鍵だとすれば、我々の計画も急がなければならないだろう」

虎の覆面の一言で、超有名アイドル再生計画は再び動き出す事になった。その目的は…。


###


同日午後1時、既に500人近くのプレイヤーがARブレス等の装備を整え、アカシックレコードサーガを楽しんでいた。今回は、秋葉原近辺にARゲームのグッズや装備を購入出来るアンテナショップが増えた事もあって、その影響でプレイヤーが増えているのかもしれない。

「まさか、1プレイ200円とは驚いた」

「他のARゲームをプレイしているユーザーは、ARウェポンだけを揃えれば他のARグッズを共有できる。それを考えると、お得感がある」

「レンタル装備でプレイするとすれば、初回プレイは1000円、それ以降が200円と言う所か? ARゲームに必要なARブレスだけは自前で用意する必要だが」

「ARデュエルでも思ったが、架空と現実の区別がつかない位のゲームに仕上がっている。懸念されるのは、便乗商法よりも凶悪事件に発展しないか…と言う部分か」

「確かに、そう言った事件も懸念されるのはその通りと言えるだろう。しかし、その一方でそう言った事件が起きる度に『超有名アイドルが正義、それ以外のコンテンツは悪』という風潮があった―」

「それだけ、日本経済の99%近くを制圧していた超有名アイドルが絶対正義という市民は少なくなかったという事か」

「しかし、超有名アイドルに依存し過ぎていた結果が、超有名アイドルとキサラギの争いと言うのも事実だ」

2人の男性ゲーマーがアカシックレコードサーガのプレイ風景を見ながら談義をしていた。

【超有名アイドルが日本経済の100%を占めていたら、どんな世界になっていたのだろう?】

【おそらくは、超有名アイドルのシングルCDが税込1100円として、他のアーティストは11000円という値段設定になっていただろう】

【そして、超有名アイドルをCMに起用する事が必須条件で減税、それ以外は増税という事になっていたと思う】

【それは暴動が起きてもおかしくないレベルだな】

【最終的には、その暴動も『超有名アイドル以外のコンテンツが引き起こした事件』として処理され、ますます超有名アイドルが神に近付く―】

【超有名アイドル支援組織が、その昔に『超有名アイドルが無限とも言える資金を得るための手段』と言うのを考えていたな。結局は、それも実現する事はなかったが―】

【そう言った金を得る為ならば手段を選ばないというやり方が、超有名アイドル投資詐欺や超有名アイドルファンクラブを騙る出会い系サイトのような悪質事件を生み出したに違いない】

【いつから超有名アイドルに限らず、コンテンツ系は金優先の時代になったのだろうか? 下手をすれば、外資系に乗っ取りをかけられる可能性もあると言うのに…】

ネット上では、超有名アイドルが日本経済を独占したら…という想定で話が盛り上がっていた。


同日午後3時、ARゲームのアンテナショップには西雲の姿があった。

「どんなスーツを装備すれば…」

彼女がアンテナショップを訪れた理由は、ARスーツを購入する為だった。エキシビションでは用意されたレンタルスーツを使用した為、自前で用意できる物は自前で…と考えていた。

「こういった物はいかがでしょうか?」

西雲の前に現れたのは、自分と同じ身長のアンテナショップの女性バイト店員だった。

「この辺りだと値段が高そうな気配が―」

西雲がバイト店員の持ってきたカタログを手にして店員が指さすARスーツを見る。値段の方は1万円台と思ったら、5000円台というお安い値段だった。

「最近になってARスーツ需要も増えてきて、スーツの増産をしている事もあって一部モデルで割引を行っていますので…」

店員の説明を簡単にすると、PCの夏モデルから秋モデルに変わるような感じでARスーツのデザイン変更や能力強化を行っているらしい。それによって、一部のモデルで格安になっているようだ。

「2万円台のARスーツが1万円前後まで値下がり…。これはチャンスかも」

最終的に1万1千円のARスーツを購入する事にした。1つ前のバージョンだが、当時は3万円もした高級品である。スーツを倉庫から用意するまでの間に、西雲はカタログの他ページをめくっていた。


「フレームのバージョンアップをお願いします」

アンテナショップに別のお客がやって来た。彼は黒い背広を着ており、黒いベリーショートヘアという髪型の男性である。

「では、データを確認しますのでARブレスの提示をお願いします」

レジにいた男性の店員が彼の応対を行う。ARブレスを何かの機械の上にかざしているように見える。そして、作業は1分もかからないうちに終了した。

「バージョンアップは無料になっております。あと、確認のためにこちらの書類に必要事項を―」

どうやら、スーツやフレームのバージョンアップは無料らしい。アフターケアもバッチリと言った所だろうか?


「お待たせしました。スーツの方は若干大型になりますが、お持ち帰りにしますか? それとも自宅までお届けしましょうか?」

店員は30インチ位のテレビが入っているようなコンテナボックスを、倉庫から持ってきたのだ。この中にARスーツが入っていると言う事だろう。かなりの大型の為、電車内に持ち込み不可能だと言う事を後から聞き、仕方がないのでお届けにする事にした。

「お届けにする場合は、ARブレスを提示して下さい。特に、こちらから住所を聞くような事はしていませんので―」

住所を聞いて運送業者等に依頼をするのが普通だが、ARスーツやARウェポンの場合は物が物だけに直接お届けと言う事になるという事だった。店員の指示通りにARブレスを提示し、そこからショップの外に準備された輸送用キャリアで運ぶ事になった。


「これで運ぶんですか?」

西雲は外に止まっていたキャリアを見て驚いた。普通の車と言うデザインではなく、SF作品に出てくるようなデザインになっている。

「中には3メートル近いARフレームと言うロボットタイプもありますので、普通のトラックでは運べないんです。それで、この特注のキャリアを使用しています」

店員が一緒に家まで送っていってくれるとの事だったので、その言葉に甘えて西雲はキャリアに乗り込んだ。荷物の方も自分の物以外はキャリアに乗せている。主に、ARスーツとARウェポンの整備に使うツール関係である。


###


《ARデュエル、ARスポーツ、ARミュージック…さまざまなARゲームが一堂に集うアンテナショップには、さまざまなお客がいた》


《ARゲームに関しては賛否両論で、未だにゲーム脳等を引き合いにしてARゲーム廃止を訴える人もいるのだと言う》


《確かに、ARゲームは今でこそ多くのファンを獲得しているが、当時は色々な問題の方が多かったと言う話を、キャリアの中で店員から聞いた》


《ARゲームの悪い所だけを集め、それを叩き台にして撤廃するように署名活動を行っているという話も彼女から聞いた》


《こういった流れを見ると、ネットでも言われている超有名アイドルとキサラギの争いが現実化する事…》


《それを望んでいる人間もいるのかもしれない。自分は、超有名アイドルが戦争の道具になるなんて信じられないと考えていた》


同日午後7時、夕食も食べ終わった西雲は自室のパソコンを起動させていた。

「超有名アイドルとキサラギの争い…」

西雲は何か引っかかるものを感じ、ネット上を調べたが特に情報は見つからなかった。

「つぶやき等では単語も出てくるのに、何も情報がないはずはないのに…」

情報規制がされているわけでもない、認知度もマイナーのはずもない。それなのに、情報が出てくる気配がない。

「一体どうすれば…?」

そして、西雲が視線を向ける方向にあったのはARウェポン《エクシア》だった。


1カ月が経過した7月1日、正式稼働を迎えたアカシックレコードサーガに緊急事態が起こった。

【やっぱり、その路線になるか】

【エキシビションはノーカウントとしても、アーカイヴの能力がケタ違いすぎる】

【チート等が実装されていれば警告が出るはずだが、それも反応しない】

【もしかすると、あのARウェポン自体が特殊なのかもしれない】

【そう言えば、特殊なARウェポンと言えばもう一つあったなー】

きっかけはアーカイヴのバランスブレイカーとも言える能力にあった。その能力があまりにも桁違いであると判断した運営は、即座にバージョンアップを施して最速で実装したのである。それが、7月1日の事である。

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