表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/158

記憶④

「戦いたいのは兵士達ではない。お前だろう」


 パリスだった。場に似つかわしくない笑みを浮かべており、一同を見渡していた。


「どういう意味だ、貴様?」


 サイスが剣のつかに手をかけた。ガリウスが止めに入ろうとしたが、セングンに制された。


「言葉の通りだ。表面上は他人のことを考えているようだが結局、中身は自分の事だけ。人のさががよく出ている」


「貴様、侮辱する気か!」


 サイスが瞬時に剣を抜いて、パリスに突きつけた。剣はちょうど、パリスの額で止まった。一方、パリスは動じる様子もなく、サイスを見つめていた。


「斬るつもりがあるのか?」


 挑発ではなかった。真剣に尋ねているのである。


「俺がお前の立場だったら、首なんてさっさと落としているぞ。お前は剣をおどしに使えと師から習ったのか?」


「減らず口を。だったら、今すぐその首を……」


「できるのか、お前ごときに?笑わせるなよ、サイス」


 セングン達の背筋に寒気がはしった。場にいたほとんどの者が、一歩後ずさりしていた。彼が何気なく放った一言なのに、なぜ怯えてしまったのだろうか。セングンは額の汗をぬぐうと、サイスに目を向けた。


 当のサイスは、凝り固まっていた。何か反論したいようだが、唇を震わせており、うまく反論できないようだった。持っていた剣が床に落ちた。鈍い音が、城内に響き渡った。


「本当に笑ってしまうよ。これがかつてクリスト=フォスターと一緒に戦った奴の実力か。がっかりしたよ」


 頭をかきむしったパリスは次に、セングンに顔を向けた。表情から自分に何か話があるようだ。セングンは軽く首を縦に振った。


「決まりだな」


 セングンとパリスは、バルザック達をその場に残して近くの空き部屋に入った。中で何が話されているのか、バルザック達には知る事はできないので、とにかく待つしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ