見せつけられる現実⑧
セイウンはパリスが倒れたのを見届けると一息ついて崩れた。その体を誰かが受け止めてくれた。
エレンだった。
「よく頑張ったわね」
その声と彼女の体の温かみにセイウンは酔いしれた。
***
離れた場所から様子をうかがっていたグレイスとゴルドーは、
「見事な突きだったな、おっさん。しかし、セイウンが驕っていたとは意外だったな」
「だからあいつは認めれないのだ。これからも化けの皮が、はがれるはずだ。エレンもそのうち、あいつに嫌気がさすはずだ」
「おっさん、よく見ろ。娘さんはあいつの体を抱き上げているぜ。ますます仲が深まっているぜ」
「ゴルドー、疲れているんだろう。錯覚というやつだ」
「否定すんなよ。いい加減、二人の仲ぐらい認めてやれって」
***
「気付いていたのですか?」
セングンは、サイスとガリウスの二人に話しかけた。
「かつて似たようなことが、クリスト様にもあった」
サイスが言った。
クリスト=フォスターの驕りが出たのも、セイウンと同じで初戦に勝利したからだった。どうやらセイウンよりも顕著に出ていたらしく、自分よりも弱い者に対しては、優しく接する事をせずに常に厳しく当たっていた。
「そんな時に現れたのが、ゴートだった」
「セイウンとエレンを育てた孤児院の院長ですね」
「そうだ。あいつが仲間になって、クリスト様を変えられた。やり方は先ほどのパリスと違い強行的では無かったが、ゆっくりと話をされて性格を徐々に徐々に、柔らかくしていった」
一体どんな話をしたのだろうか気になるが、今はそんな事を考えている場合ではなかった。




