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見せつけられる現実⑥

 セイウンは喜んでパリスと一騎打ちする事にした。エレンに棒を持って来るように頼むと、彼女は近くにある練習用の棒を持って来た。


 パリスは先ほど軍の指揮の際に使った棒を引き続き使用することにした。


 二人はお互い向き合った。


 向き合った途端、セイウンは妙な感覚に襲われた。


 喰われる。まるで獣と向き合っているような感覚に等しかった。パリスから発されている気はまさに、野生の獣の放つものに酷似していた。


 違う。酷似ではなかった。まさに獣同然だった。足が動いてないことに、セイウンは気付かされた。


 動け、動けと何回も念じたが、駄目だった。本当に足は凝り固まってしまった。


 次の瞬間、突きが胸に入り込んだ。にぶい音が体中に響き渡った。受け身をとることもできずに、セイウンは地面に転がった。


 胸に鈍痛が残った。


「立て」


 パリスが言った。


 セイウンは、痛みをこらえながらも棒を握りしめた。


 しかし、取った時点で、新たなる突きが胸に入り込んだ。突きと同時に、蹴りも顎に向けて入れ込まれた。


 いつの間にか口中を鉄の味が支配していた。


「立て」


 また言われた。


 セイウンは何度も立ち上がったが、その度にパリスの容赦なき突きや蹴りが入った。


「どうした、自信があるはずだろう?」


「…………」


「どうやら認めたくないようだな、今の現状を。セイウン、貴様はおごっている」


 衝撃的だった。自分が驕っているなんて、そんなはずがなかった。自分はいつも通りの自分である。

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