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それぞれの出発⑦

「ハイドン、ロウマはどうなっているんだ?」


「どうなっていると言いいますと?」


「つまり、異民族の土地に居座り続けるか、レストリウス王国に帰還するかだ?」


「それは分かりません。私が向こうの土地に着いた時は、レストリウス王国に帰ることをこばんでいたようですが、もしかしたら今は気が変わったかもしれません」


「お前の推測か、それは?」


「そうです。推測です」


 沈黙した。


 バルザックやセングンからしてみれば、面倒なことだった。帰って来ないのならいいかもしれないが、帰って来られると厄介だった。


 ロウマの率いていた部隊は、極めて精強であり、これまでに外敵を幾度も破っている。バルザックも破られた一人だから、ロウマの部隊の恐ろしさは嫌というほど身にしみていた。


 心配している表情のセングンとバルザックだったが、セイウンが二人に声をかけた。


「あんまり深刻な顔をするなよ。奴が帰って来た時は仕方がない。迎え撃ってやろうぜ。ハイドン、お前は引き続きロウマの動向とレストリウス王国内の様子をさぐって報告してくれ」


「分かりました」


「バルザック、前の敗戦なんて、くよくよするな。明日は明日の風が吹くだ」


「これは申し訳ありません。俺としたことがつい……」


「セングン、準備はもうできているか?」


「今日のか?ああ、全て整えている。後はお前次第だ」


「分かった」


 セイウンは首を縦に振った。


 ある程度話すと、セイウンは三人と別れた。気が付くと、部屋を出た時の空腹感もどこかに行ってしまった。今はレストリウス王国との、いや、帰って来るかもしれない男との戦が待ち遠しかった。


 絶対に帰って来い。


 セイウンは口に出さなかったが、心中で吠えていた。

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