73/158
流浪の軍⑨
後はパクト山周辺の兵糧や新しく入る者についての内容だった。 兵士も先の一戦で一気に増えていた。そろそろ、本隊と別働隊を分けた方がいいかもしれなかった。
「頭領はどうですか?」
ハイドンが唐突に尋ねた。頭領とはセイウンの事である。
「オルバス騎士団を破って以降、調練に熱が入っているよ」
「それはよかったですね。兵士達の励みにもなります」
「そうだな」
セングンは、こくりと頷いた。正直言ってほっとしたのである。以前のセイウンは調練に出る事も嫌がっていたが、オルバス騎士団を破った事が自信に繋がったのか、調練に熱を入れ始めていた。特に入れているのが騎馬戦だった。
バルザックやデュマと相談しながら、騎馬の陣形を組んでは解除し、組んでは解除するの繰り返しをしていた。
「ただの戦争馬鹿にならないのを祈るがな」
セングンは苦笑していた。
「まったくですね」
ハイドンも同調していた。




