ロウマとナナー③
再び溜息をついたロウマだった。
「いい加減にしなさい、シャリー!」
「ディナ姉さん……」
現れたのはディナだった。相変わらず一括すると迫力がある人物だった。長女のライナは相手を諭すようにしかるが、ディナは冷たい表情で怒るため、一括された者は、すぐにひるんでしまう。
「すみません、姉さん……」
「あなたはいつまでたっても子供ね。そんな風だから、元帥が苦労するのよ。見なさい。元帥の顔は日に日に、やつれていっているわ」
「そんなことは……」
「無いと言うの?」
「いいえ。師匠、すいません。弟子が師匠に迷惑をかけるなんて、弟子失格です。今後は気を付けます」
「まあ、気を付けてくれ」
ロウマは苦笑しながら忠告した。
「そんなことより、ディナ。何か用か?」
「用があるのは、元帥ではなく、シャニス将軍の方です。将軍にお客様です」
「誰ですか?」
「行ってみれば分かります」
任務や患者以外で人が訪れることがほとんどないので、シャニスは客が誰だか分からないまま幕舎から姿を消した。残ったのはロウマとシャリー、ディナの三人だった。
「ディナ、一応君に聞いておきたいことがあるがいいか?」
ロウマが尋ねた。
「どうぞ」
「オルバス騎士団が敗北したことは、もう耳に入っているだろう」
「ユースチス団長も討ち死にされたそうですね」
「キールの話によると、ユースチスは出兵の前に中央に来て、自分の後任を中央から派遣するように要請していたそうだ」
自分が死ぬ事を予期していた末の処置だろう。彼がなぜ死地に急いだのかロウマは理解できなかった。報告によると急に突撃していき、矢に当たって死んだそうだ。




