飛翔する獅子⑦
「バルザック、城門を破ろうとしている部隊もいるぞ!」
デュマからの報告により、さらに弓隊を分散させた。城門を破ろうとしている部隊に向けて矢を放たれた。多くの敵が矢に当たって、濠に転落していった。城塔から様子をうかがいながら、セイウンは、ほっとした。今のところ自分の軍が優勢だ。
この勢いが続くのなら勝てる。セイウンは拳を握った。
だが次の瞬間、城壁を守っていた兵士の何人かが倒れた。中には城壁から落ちて姿を消した者もいる。敵も城壁に向けて矢を放ち始めたようだ。
「セングン、行くぞ」
「待て。頭領が簡単に前に出るな」
「だけど……」
「まだ待つんだ。少なくとも敵が城壁を登るまでは」
セイウンは苦虫をかんだような顔をした。頭領というものはなんて無力なものなのだろうか。セイウンの内なる怒りをよそに、城壁では矢に当たっていく者が相次いだ。
バルザックとガストーは架けられるはしごを次々と、落としていった。
次々と聞こえる兵士達の悲鳴が、セイウンの胸を熱くしていった。
早く愛槍のジャグリスを振るって駆け回りたい。
また城壁の一角から悲鳴が聞こえた。声の方に目をこらしたセイウンは、敵が一人城壁をよじ登って来たことを目で確認した。
「行くぞ、エレン!」
「うん!」
「おいおい、二人とも」
「止めるな、セングン!」
「馬鹿を言うな。僕を置いて行くなと言うんだ」
セングンが、にやりと笑った。どうやら彼も本気になったようである。
セイウンも胸をなで下ろした。
「来い、セングン!俺の名をとどろかせてやる。よく見ておけ!」
「楽しみだ」
***
思った以上に抵抗されている。さすが以前も、陥落に時間を費やしただけはあった。おそらく、こちらの被害も多くなるだろう。




