それぞれの出発③
自分よりもエレンが第一のあいつらが、自分に敬意を払っているなんて信じられなかった。バルザックには悪いが、その考えに賛同することはできなかった。
「バルザック、とりあえず言える事は、お前は俺の味方だと言うのは間違いない」
「これはありがとうございます!このバルザック=ドミムジー、それだけでも感無量です!」
バルザックは大げさにも頭を下げて礼を述べた。
いつも思っているが、気持ち悪い奴だなとセイウンは身震いした。懇切丁寧な態度が悪いとは言わないが、バルザックの態度は嫌悪感がはしる。
どうしてだろうか。
直感というものだろうか。
唸りながらセイウンはバルザックを見つめていた。
「どうしました、セイウン殿?お顔の色がよくないですよ」
「バルザック、その丁寧すぎる態度はやめてくれないか。体中がむずむずして仕方がない」
「ははは、セイウン殿。俺はあなたを尊敬しているのですから、そういうことをするのは至極当然ですよ」
「もう少し、砕けて接しろよ」
「ありがとうございます。ですが、決めている事なので、変えるつもりはありません。お気持ちだけでも受け取っておきます」
駄目だこれはと諦めた。