表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/158

父と娘⑦

「おっさん、娘には会いたいか?」


「会いたくないというのは嘘になるな。だが、複雑だ。なんといっても十年以上も顔を会わせてないから、会っても分からないだろう。たとえ分かったとしても、こんな父親には会いたくないはずだ」


「そんなことないぜ。子供はやっぱり親に会いたいものだよ」


「なぜそんな事が言える?」


「俺の親父は十七年前の反乱鎮圧の際に、命を落としてしまった。おふくろや使用人から聞いた話だと、自慢できるような父親ではないらしい。はっきり言って、軽蔑している。でもな、死なずにどこかで生きていたとしたら、俺は会いたいよ。どんなに悪くてもやっぱり自分の親父だからな。そうは言っても俺の親父はもう墓の中だ。遺体はしっかりと帰って来た」


「そうか……子供は会いたいものか」


「そうだぜ。だから、勇気を振り絞って会いに行こうぜ。けど、その前に反乱鎮圧が先だったな」


 そう言うと、ゴルドーは頭をぼりぼりとかきむしった。


 思わずグレイスは苦笑してしまった。不思議な男だった。この男といるとなぜだろうか、素直になってしまう。なんだか勇気が湧いて来た。くよくよしても、仕方がない。自分はやるだけのことを、やってみよう。グレイスは自分に言い聞かせるように頷いた。


「話は変わるけど、ロウマはどうしているだろうな?」


「ナナーやアリスに任している。私は彼女達の力を信じてみようと思っている」


「あの女達に何かできるのか?」


「女を甘く見ない方がいいぞ、ゴルドー。女というものは、好意を寄せている男の前になると、とんでもない力を発揮するものだ」


「よく分かるな、おっさん?」


「これでも妻帯者だったからな」


 グレイスは再び苦笑した。




     ***



 軍議が始まった。これから戦っていくための重大なことだった。


 最初に口を開いたのはセングンだった。


「僕達の軍もだいぶ力が増してきた。これからはもっと大きくなるはずだろう。そのために各部署の役割分担を僕なりに行った。それを早速諸君に伝えておきたい」


 一同は神妙な面持ちで頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ