反乱の終わり⑭(完)
城を出てから一月が経過していた。行く先々の村や町では、反乱軍が壊滅したという噂が流れていた。どうやら自分が構想していた通りの結末のようである。セングンには城を守れと言い残して去ったが、実際彼は捨て駒して使った。申し訳ないことをしたと今でも思っている。
ジュナイドはどうなったのだろうか。彼だけは生かしておきたかったので、危険を察知したら逃げて合流するように通達しておいたが、できれば生きていてほしかった。
露店で食糧を買いそろえたパリスは、酒場で待っているセイウンのもとに向かった。彼は先に食事をしていた。
記憶を無くしたセイウンは、槍の使い方まで忘れてしまったようである。せめてそこは無くさないで欲しかったが、面倒くさい奴だとパリスは溜息をついた。パリスが毎日稽古をつけてあげていた。
「パリス」
セイウンが話しかけてきた。
「どうした?」
「反乱軍の幹部はどのくらい生き残ったのだろう?」
「ほとんど死んだようだ。お前と話をしていたセングンという男も死んだらしい」
「そうか……」
「気にするな。お前が悪いわけじゃない。負けたあいつらに責任があるんだ」
「うん……」
セイウンは納得しているようで、納得していない感じの返事をした。
食事を終えた二人は酒場を出ると、しばらく歩いた。すでに南の大国パルテノス王国の領内に入っていた。残りは首都を目指すだけである。
これからある人物に接触を図るが、果たして好意をもって接してくれるだろうか。当たるも八卦当たらずも八卦である。
パリスはただ一歩前進するのみだった。
(第三部『セイウン~猛毒の誕生~』 了)
第四部に続く