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反乱の終わり⑫

 自分はロウマの副官にならなくて、心底ほっとしたゴルドーだった。


「お前の能力を遠くから見せてもらったぞ。面白い能力をしているじゃないか」


「そうか?俺はあんな変身能力より、もっと便利な能力がよかったよ。火を噴くとか、雷を出すとか」


「贅沢だな。ところで、あの能力はなんだ?」


「俺の能力は『ヴェート』。ハイエナになる能力だよ」


 ハイエナは西方に多く生息している獰猛な生物だった。体に縞の模様があり、長い鼻と足が特徴であり、見た目は犬のようだが、学者達の調査によると猫の仲間らしい。家畜を襲ったり、死肉をあさったりするところから、人々から嫌われている存在の生き物だった。


「ハイエナねえ……」


「なんだ、おっさんハイエナを知らないを知らないのか?」


「知っているよ。私は西方の出身だ。嫌というほど見たし、自分の家畜をやられた経験もある。本当に嫌な思い出しか残ってない」


「それは大変だったな。でも、それは俺の責任ではないぞ」


「分かっている。しかし、ハイエナか……お前は野犬の方がお似合いだぞ」


「絶対に馬鹿にしているだろう、おっさん」


「正解」


 笑い合いながら会話をしていると、やがて二人は野営地に到着した。ロウマ達がいる幕舎に向かうと、そこにはすでに主だった騎士達が勢ぞろいしていた。


 軍議ではそこまで話す事は無かった。引き続き城に残って処理をする者が決まっただけだった。残るのはシャニスとディナ、キールだった。ロウマとグレイス、シャリ―、ゴルドー、イメール、ロバートは帰還となった。


 解散しようとした時だった。


 騎士が一人、報告に入って来た。


「申し上げます。たった今、多数の反乱軍の残党が降伏してきました」


 いきなりな事だったので、ロウマを初め、一同はどうすればいいか分からなかったが、とりあえず代表を通すように言っておいた。しばらくすると、代表と思われる男が縄をかけられて通された。頬がこけて、疲れ切った表情をしているその男は、ヴィドーと言った。


「降伏したいのか?」


 ロウマが尋ねた。


「降伏したいのです……」


「なぜ降伏したいのだ?」


「降伏したいのです……」


「言っておくが裁くのは私ではないぞ。陛下だからな。それは分かってくれ」


「降伏したいのです……」


 どうも返答がおもしかった。それに様子もおかしかった。ヴィドーの目はうつろで、口からよだれが垂れていたし、手もさっきから意味もなく、ぶらぶらとゆらしていた。

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