反乱の終わり⑦
びくびくしているロビンズを眺めながら、ハシュクはにたりと笑みを浮かべた。
「まあ、話は食いながらでもしよう。その肉を拾いな。砂を払えば食えるだろう」
言われた通りに砂を払ったロビンズは、食事に戻った。再開された食事は美味いとは言い難いが、それでも腹を満たすには十分だった。
やがてうさぎも骨だけになってしまった。今度こそ、話をしてもらうべきである。
「あの……」
話しかけようとしたロビンズの目の前に、水筒が差し出された。
「喉が渇いただろう。飲んだら話してやる」
「…………」
「毒なんて混入してないよ。かわいい弟子を手にかけるほど、僕は野蛮ではない」
「いただきます」
ごくりと一口飲んだロビンズは、水筒をすぐに返すとじっとハシュクを見据えた。目が早く本題に入れという意思を伝えていた。
「せっかちだな。まあいい。城なら陥落したよ。防戦したけど、残念だったね」
「みんなはどうなったのですか?」
「バルザックとデュマ、ガストーは城が落ちる前に脱出したよ。サイスとガリウスは戦死。セングンとレジストは僕が殺したよ。それからお前が世話をしていた患者は見捨てた。さすがにパクト山にいるハイドンとヴィドーの方までは分からないけどね」
「先生、今なんて言いましたか?」
「だから、バルザックと……」
「違います。僕が世話していた患者やセングンさんにレジストさんをどうしたのですか?」
「見捨てた。それがどうかしたの?」
けろりとしていた。この男は、どうかしているのだろうか。患者や今まで苦楽を共にしてきた仲間を平気で手にかけるなんて、狂っているとしか言いようがなかった。
ロビンズが指をさして何か言おうとしていたが、ハシュクは分かっているように頷いていた。
「言いたい事は分かるよ。狂っているとか、間違っているとか、どうかしているだろう。でもね、僕はしっかりと考えた結果、彼らを見捨てたのだよ。敵の方が医療の設備は整っているから、しっかりとした治療は受けられる。それにロウマ=アルバートは捕虜に対しては残忍な扱いはしないから安心だ」
「じゃあ、セングンさんとレジストさんを殺したのはなぜですか?」
「やれやれ、こうなったら詳しく説明しないと駄目なようだな」
時間はかかったが、ハシュクはしばらくの間、バルザックの正体とその後で、何が起きたのか延々に説明してやった。驚きを隠せないロビンズだったが、異論を挟むことなく、最後まで聞き入っていた。