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第十六章 反乱の終わり①

 城は陥落した。ゴルドーとイメールの率いる軍が最初に突撃して、続いてロバートとピルトンの軍が攻撃をしたおかげで一気に片付いた。シャニスとディナの軍は追い打ち程度で済んだ。


 反乱軍も死にもの狂いで向かって来ていた。おかげで北方から連れて来た民兵の半数が戦死した。みんな世話になった者だった。忘れようにも忘れる事ができない顔である。ロウマは、それぞれの部隊から戦死した将兵の報告を静かに聞いていた。


 とある名前が耳に入った。


 ピルトン。


 ハルバートン家の執事の男。一緒に洗濯物を干し、食事をして、調練に励んだのが昨日のように感じる。総攻撃の際に、増援を送るか悩んでいる時に自分に活を入れてくれた。


 握ってくれた手の感触が生々しかった。


「手厚く葬ってやれ」


 一言述べると、ロウマは立ち上がり、グレイスを伴ってある場所へと向かった。医療班の野営地だった。


 シャニスにロバートへの面会の許可をもらうことにした。彼はピルトンの最期を見届けた人物であり、彼を殺した男から頬を斬られて負傷していた。


 短い間だけだが、面会の許可は下りた。


「ロバート、無事か?」


「無事なわけねえだろ。頬を斬られたんだぞ」


「確かにな。これでは無事とは言わないな」


 苦笑したロウマだった。


 ロバートの顔には大きな絆創膏ばんそうこうが張られていた。しばらくはその姿で過ごさなければいけないようだ。まったくもってかわいそうである。


「これじゃあ痕が残るぜ」


 ロバートがぼやいた。


「傷は騎士の勲章だぞ」


「冷たい一言だね。もうちょっと気遣う言葉もないのかよ」


 二人はお互い楽しそうに笑い合った。側に控えているシャニスは、おもしろくないという表情だった。


 シャニスの意を悟ったのか、グレイスが本題を切り出してやることにした。


「ロバート、お前の頬を斬り付けて、ピルトンを殺した男はどんな奴だ?」


 それが出た途端、ロバートの顔がこわばった。やはり楽しそうにしていたとはいえ、思い出すのはつらいようである。微かであるが、息が荒くなっていた。

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