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父と娘③

 うつむいたセイウンだった。ショックが相当大きいようである。


「もういいよ。俺なんて誰からも信用されてないんだ。生まれて来てすみません」


 とうとう床に座りこんで、いじけてしまった。十七歳にもなって、みっともない男だと一同はあきれ果てた。


「エレン、何があったんだ?」


 今度はバルザックが、エレンに尋ねた。


「実はね、ここ最近、城内で下着泥棒が起きているの。もちろん女性だけのね。干しているものばかり狙われていたから、城の女の人達で犯人を捕まえようと、昨日から見張りをしていたの」


 城内には一応、エレンの他にも女はいる。全員、残党の村から来た者ばかりである。十七年前にレストリウス王国に負けて苦境を乗り越えた兵士達の手により育てられた者なので、当然気性も男勝りばかりである。


「待った結果、洗濯物を干している場所で、うろうろしていたセイウンをみんなで取り押さえたのよ」


「明らかに犯人はお前だ」


「セングン、だから俺はやっていない!びっくりしたよ。いきなり襲われ、縄で縛られて、その後はエレンの前に引っ立てられて行く始末。エレンなら俺のことを信用してくれると思ってたのに、こいつは俺の顔を引っぱたくから散々だったよ」


「その立派な作品は、その時にできたのか?」


 セイウンのほおに付いている真っ赤な手形を指差しながら、セングンは笑いをこらえていた。


「私もついかっとなってしまってのよ。悪かったわよ。でも、あんたも悪いのだからね。普段の行いを見ていれば、疑ってしまうわよ」


「いいよ、エレン。俺もこれを機に自分というものを見つめ直そうと思うよ」


 セイウンは、しょんぼりしていた。


 すると、デュマが口を挟んだ。


「でも、セイウンではないとすると、一体誰なんだ?一応この城に住んでいる奴らの部屋を、捜索する必要があるし、犯人が分かった場合は、再び同じことが起きないようにするため、厳しく処罰しないといけないな」


「いや、もう犯人は分かっているのよ」


 エレンが罰の悪そうな顔をしていた。

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