総攻撃③
「行け、ロバート」
「任せろ。付いて来い、ピルトン」
「御意」
二人して場を離れようとしたが、ロウマはすぐに呼び止めた。
「どうした?」
「まずはゴルドーと合流しろ。それからあいつにこう伝えろ『禁を解け』と」
「それだけでいいのか?」
「十分だ。すぐに理解するはずだ」
ゆっくりと頷いたロバートは、踵を返すとその場をあとにした。これから先は、全て彼らに任せよう。
側のグレイスはロウマをただじっと見つめていた。何か言いたげであったが、黙っているようだった。
「言いたい事があるのなら、遠慮せずに言え」
「とうとう、戦場で特殊能力を使わせるのですね。ジュリアス殿でさえ、使わせなかったのに」
「父は父。私は私だ。思えば私は父に縛られすぎた。もう解いてもいいだろう。何か間違っていたか?」
「いいえ、それでこそ我が主です」
グレイスは、にやりとほくそ笑んだ。
***
何度も何度も突撃させているが、矢や岩に当たって死んでいく騎士達が続出していくばかりだった。これではきりがなかった。自分にもロウマと同じく特殊能力があり、それさえ使えばあんな城門は楽に破壊することが可能である。
しかし、ロウマから戦場で特殊能力の使用は禁じられていた。
次々と斃れていく騎士達の姿を目に焼き付けながら、ゴルドーは唸っていた。
「悩んだところで仕方ないよ。ここはじっくりと待とうよ」
自分に対して諫言をしてくれたのは、新しく副官に任命されたハルバートン家の三女イメールだった。北方でロウマからたっぷり鍛えられていたようであり、調練に関しては上手だった。