猛毒ウェルズ=アルバート⑥
「さてと。俺からの報告は以上だ。次はお前らの意見を聞こう。まずは、この場にいないサイスとガリウス、レジストを招集しよう。話はそれからだ」
意を悟ったのか、ガストーが部屋を出て三人を呼びに行った。まもなく三人は姿を現した。
まず目を見張ったのは、廊下に流れている多量の血とすでにこと切れているセングンだった。一瞬何が起きたのか分からない三人だったが、その場の空気が異様だったのとデュマとガストー、ハシュクに返り血が付着していることから全てを察した。
「落ち着きなさい、お三方。俺から話しましょう」
落ち着き払ったバルザックは、三人の前でさっきまでデュマ達にしていた話を丁寧に説明した。聞いている三人は時折、セングンの遺体に、ちらちらと目を落としていた。やがて話が終わると、バルザックは手で自分の汗をぬぐった。
「ふう。二度も同じ説明をするのは疲れるな。なんだかワインが飲みたくなったよ。デュマ、ワインはあるか?」
「ねえよ。欲しけりゃ自分で厨房まで取りに行け」
「冷たいな」
「ふざけるな!」
レジストが怒声を上げた。あまりにも大きな声だったので、場にいた全員が、思わず耳を塞いでしまった。
むっとしたバルザックは、レジストをにらみつけた。
「説明に何か不満な点があったのか、レジスト?」
「何が『転生』の能力者だ。何がウェルズ=アルバートだ。この仲間殺しめ。よく平気な面でここにいるな」
「その男は反乱軍を辞めているから、もう仲間ではない。だから殺しても大丈夫だ。レジスト、人生において割り切りは大切だ」
「なんだと、貴様!」
怒りが爆発した。レジストはバルザックに向かって喰ってかかった。